「緊急事態条項」改憲阻止!
 参院「改憲公約」の自民、大阪維新を打倒しよう


 1月4日通常国会が開会され、安倍首相が22日、施政方針演説を行なった。この演説で安倍は、「1億総活躍社会」などの文言で、破綻寸前のアベノミクスの惨状をおおい隠しながら、「国のかたちを決める憲法改正に答えを出していく」として、改憲実施の決意表明を行なった。
 しかし安倍自民党は、昨年来の安保法制反対闘争の高揚によって、9条改憲を当面の目標とすることができなくなっている。集団的自衛権行使の法制化は強行したが、その憲法明文改悪への波及に対しては、全国民的な抵抗をかえって強める結果となったのである。
それで、当面の改憲案としては、「緊急事態条項」の新設という計略を打ち出してきた。安倍の野党別働隊である「おおさか維新」も、当面の改憲の突破口を、地方自治条項改定案とすることを打ち出している。しかし緊急事態条項の改憲は、環境権の新設などの手口と違って、内容的に9条改憲と直結している。我々国民側としては、うまく闘えば、安倍政権の墓穴に転ずることが可能であるといえる。
自民党の2012年改憲草案では、緊急事態条項は、日本有事や大規模災害において、政府が緊急事態を宣言して勝手に法律を作れる、国民や自治体はそれに従わなければならないとするものである。これは、行政権独走の安倍政権による、立憲主義否定の極致である。戦争法が施行されると、海外での集団的自衛権行使においても、その要件としての「日本の安全が根底から覆される危険」があるのだからとして、緊急事態が宣言されかねない。
自民党は、「緊急事態条項は多くの国の憲法にある、特別なものではない」と言っているが、戦争をしない国の憲法とは真っ向から矛盾する。中国大国化・朝鮮核保有など安全保障環境の変化も、理由にはならない。日本政府が憲法9条に基づく外交政策を放棄し、米国との軍事一体化のみを進めていることが、東アジアの緊張を高める大きな要因となっているのである。
大規模災害の対処、これも理由にならない。5年前の東日本大震災・福島原発事故という未曾有の非常事態に、政府がうまく対処できなかったのは何故か。緊急事態法制が無かったからではない。誰一人そんなことは言っていない。誰もが、官僚が情報を統制し、自治体・住民を無視したからだと知っている。
その政府・官僚に全権を委譲するのが、緊急事態条項である。
 さて、むこう半年間の闘いは、議会政治上では、7月参院選挙に集約される。自公政権による戦争法の今春施行・発動に反対しつつ、具体的な改憲公約を参院選挙で掲げようとしている自民党、大阪維新を、また与党公明を、参院選で徹底的に敗北させなければならない。そのための野党共闘が、参院「1人区」などで進むかどうかが、多くの人々の間で現在の焦点となっている。
 しかし、この参院選挙闘争は、戦争法廃止・緊急事態条項反対の課題をはじめ、地域・職場からの大衆運動が前進しなければ、その勝利はおぼつか無い。議会野党を規制する力も、目に見える形での大衆闘争の高揚にある。これが、このかんの戦争法反対闘争の教訓の一つであった。主力は野党共闘ではなく、国民大衆じしんにある。
 選挙に対処しつつ、主権者人民じしんが立ち上がること、この当たり前を再確認しようではないか。