2016
新年アピール

  労働者共産党 中央常任委員会

    行き詰る資本主義 共産主義運動の新生へ
    旗を挙げる機は熟した!


 超大国アメリカを主柱とする国際反革命同盟体制は、イスラム民衆を自己の支配秩序の内に包摂し切れなくなっている。イスラム諸国への軍事介入は、一部のテロリズムを含め民衆の武装反乱を呼び起こし拡大している。欧米は、みずからの軍事介入が生み出した難民の自国への受け入れ問題に揺れ、排外主義を台頭させ、政治的安定を失う事態を招いている。テロ反対をいうのなら、シリア・イラク空爆をやめることが先決だ。
 諸大国は、「反テロ」では一致しているが、一枚岩ではない。米・欧・日のヘゲモニーに対する中・露の挑戦に典型のように、大国間の軍事的緊張もまた高まってきている。
 根底にあるのは、資本主義の行きづまりである。
 リーマンショック後、諸大国は極端ともいえる金融緩和と財政出動で危機の乗り切りを図ってきたが、いま大きな曲がり角に逢着している。一つは、世界的な実体経済の建て直しを牽引してきた中国が過剰生産に陥り、中国発大恐慌の瀬戸際にきていることである。もう一つは、金融緩和と財政出動で産業界に流し込まれた大量のマネーが「先進国」においては、産業の成熟・市場の飽和という現実に突き当たって投機マネー化し、金融バブルを膨張させ、その崩壊の危険を高めていることである。
 そもそも投機マネーの肥大化は、失業の膨張と表裏である。この失業は、雇用形態の非正規化によって多くの労働者に分配され、隠蔽されている。「大恐慌」「金融バブルの崩壊」がその現実を明るみに引き出すのは、時間の問題である。資本主義は、社会の存立・人々の生存を保障できるシステムではなくなっているのだ。
 こうした中で諸大国の支配階級は、アメリカの世界覇権の下でではあるが、軍事力を押し立てた地域覇権の拡張をもって、自己の存立危機の打開を図り始めているのである。アメリカの世界覇権の衰退がこの趨勢を加速している。日本も例外でない。安倍政権が登場し、違憲の戦争法を強引に成立させ、侵略国家への転換・軍拡に踏み出し、大国ナショナリズムを鼓吹しだした意味はここにあるだろう。
 当面する日本の政治情勢の特徴は、次のようである。
 第一の特徴は、安倍政権が夏の参院選までは、昨年の安保闘争による痛手を「新三本の矢」なる欺瞞的経済政策で癒そうとしていること。しかし、アメリカの指揮統制下で侵略戦争を遂行する際の拠点の一つ・辺野古新基地建設は、アメリカの圧力下、違法かつ暴力的な工事遂行の姿を曝け出していること。そして今夏の参院選以降、スーダンPKOでの「駆けつけ警護」を手始めとして、シリア・イラク・アフガンをにらんだ参戦へ踏み込んでいこうとしていることである。
 安倍政権は、ここから出発する仕方で、アメリカの衰退する世界覇権を補完しつつ、中国の大国化に対抗して自己の軍事覇権を拡張していこうとしている。それは、大資本のためのグローバルな金融的投機環境の確保、兵器産業・原発産業を押し立てた市場再分割と一体的に推進され出している。この道は、国家と資本の自己利益のために、社会を壊していく道に他ならない。安倍政権を打倒し、この道を打ち砕くことが、労働者民衆にとっての中心課題である。
 第二の特徴は、支配階級の反安倍的部分が社民・共産とともに野党連合を形成し、安倍政権打倒・立憲主義回復・戦争法廃止でおおむね一致し、今夏参院選での協力を模索していることである。ただしこの連合と協力は、動揺的であり、今回の安保闘争の高揚に突き上げられて成り立っているものであり、労働者民衆の大衆闘争の圧力がないならば、容易に分解するものである。われわれは、9条改憲の策動、侵略戦争の道を打ち砕くうえで、市民・野党の選挙協力による今夏参院選での勝利が重要であることを確認し、労働者階級・人民の立場からこれを支持していかねばならない。
 第三の特徴は、労働者民衆が大規模に起ちあがり始めたことである。それは、「3・11」後の脱・反原発運動と、それに続く昨年の安保闘争である。また、自然との共生、協同・連帯の新しい社会を創造する運動も、引き続き広がっている。今日の資本主義には、このうねりを取り込み解体する力は無い。
 支配階級内のあからさまなアメリカ一辺倒・新自由主義推進勢力(「第一極」)や支配階級内の動揺的勢力(「第二極」)に対して、労働者民衆が自己の政治勢力(「第三極」)を起ち上げる機は、いま熟そうとしているのだ。
 主要な戦場は、永田町・霞が関から、人々が労働し生活する場に移る。自己決定権の旗を立てて日本政府と対決する沖縄に連帯し辺野古新基地建設阻止へ、伊方・高浜はじめ原発再稼働阻止へ、非正規・失業・移住労働者の中へ、地域・職場・学園へ、街頭・選挙区へ。根底からの運動を構築し、「第三極」を登場させよう。
 革命的左翼には、これを推進する役割が求められている。だが昨年の安保闘争は、革命的左翼の立ち遅れをこれまでになく浮き立たせた。共産主義運動の再建・新生は、待ったなしの課題である。この課題意識を共有する全ての組織・人々に訴えたい。共に新たな挑戦を開始しよう。