戦争法廃止の「政権交代」へ
  立憲主義破壊の安倍独裁政治打倒しよう!

 安保法制法案の9月19日強行成立以降、来年7月参院選挙を踏まえつつ、当面の日本労働者人民の闘争基調をどのように立てるか、ということは重要問題である。
 この問題では一つは、このかんの戦争法案反対の大闘争によって、議会政治では野党5党(民主、共産、社民、生活および維新)と、与党および追随者(自民、公明および大阪維新など)との対決二分状況が生み出され、戦争法廃止を主眼とした「政権交代」が問われる情勢となったという認識が必要である。
 また一つは、戦争法によって憲政(憲法に基づく政治)が異常事態に入り、立憲主義の回復が諸課題をつらぬくテーマとなってきているという認識が必要である。いわば「憲政擁護・独裁反対」である。
 安倍政権は、「安保」から一転して「経済」を強調し、戦闘突入のための戦争法施行作業を覆い隠そうとしている。10月5日、一部消費者心理には受けの良いTPPの「大筋合意」を演出し、今後は、消費税10%化の延期で国民の歓心を買う戦術も考えられる。
 しかし、安倍の独裁政治は覆い隠せない。第一に、昨年「7・1閣議決定」とその法制化である戦争法によって、基本政策が憲法的根拠を失い、安倍政権は言わばクーデター政権となっている。
 現憲法下の憲政は、1952年の日米安保条約発効によって異常事態に入ったが、政府答弁などによって憲法解釈が徐々に変えられ、長い時間をかけて事態はごまかされていった。しかし、安倍は閣議決定で憲法解釈変更をやってのけ、戦争法成立を強行して、再び異常事態に突入させたのである。
 第二に、沖縄への辺野古新基地押し付けの暴政である。翁長知事の埋立て「取り消し」に対し、違法な対抗策に踏み込んだ。法的根拠の無い工事を強行している。
 第三に、TPPである。秘密交渉で事を進め、関税部分を後出ししたが、経済ルールの領域は今も不明である。重要農業5品目と情報提供についての、2013年国会決議に違反している。日米多国籍企業による農業つぶし、安保法制の経済版であるTPP、その最終合意・調印・批准に断固反対しよう。
 第四に、原発再稼働である。川内原発の再稼働を、鹿児島県と立地自治体の同意だけで強行し、この「川内方式」を四国・伊方原発で、すべての原発で、強行せんとしている。周辺自治体と住民の民主主義が蹂躙されている。
 最後に、もっとも分かりやすいのが、野党の臨時国会開催要求の拒否である。憲法53条は、臨時国会の「召集を決定しなければならない」と明記しており、通常国会を早めにやればよいなどとは書かれていない。安倍政権は、またもや公然と憲法に違反した。
 立憲主義を掲げた闘いは、新左翼系にはあまり人気がない。日米帝国主義批判の内容のほうが重要だ、ブルジョア議会制度の枠内だ、などの理由である。この言い分にも一理はあるが、当面の情勢への実践的対応とはとても言えない。
安倍の独裁政治反対は、2015年安保国会闘争の直接民主主義的な高揚を、まさに継承する闘いである。選挙政策は、その闘いの一部分としてある。
当面の政権交代が、ブルジョア反動政権からブルジョア改良政権への交代に過ぎないことは明らかである。しかし、戦争法廃止・立憲主義回復の「政権交代」が民衆の闘いを主役として実現されるならば、そこには革命への大道が切り拓かれることとなるだろう。