翁長知事、取り消しに着手
  日本政府は、違法な辺野古埋立て策動を中止せよ!


 9月12日、安倍政権が沖縄県民の願いを無視して辺野古新基地建設関連作業を再開したこの日、東京の国会周辺では、「止めよう!辺野古埋立て9・12国会包囲行動」が怒りをもって行なわれた。同行動実行委の主催、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委」の協力で実現され、約2万2千人の参加者で国会は幾重にも包囲された。
 この日12日早朝、防衛省沖縄防衛局は、辺野古立ち入り制限水域を示す浮標を再設置する等の作業を再開し、近くボーリング調査も再開するという。沖縄県は、このかん実施していたサンゴ損壊状況調査を、9月11日に終了した。沖縄防衛局は、その隙をねらって工事再開の暴挙に出たのだ。住民・市民のカヌーによる抗議行動を力で制圧しての暴走である。
 これに対して翁長雄志知事は、「あらゆる手段を駆使して新基地は造らせない」と発言し、9月14日、前知事による埋め立て承認の取り消しを表明し、取り消し処分に必要な手続きに着手した。事業者意見聴取を防衛局は拒否し、逃げ回っている。
 9月22日、翁長知事はジュネーブの国連人権理事会で演説し、「沖縄の人々は、自己決定権や人権がないがしろにされている」と訴えた。国際社会に日米両政府による辺野古新基地強行の不当性を訴え、また、沖縄が国際法で自己決定権をもっていることを前提に、その侵害を訴えたのである。
 取り消し表明と、それに続くジュネーブ演説、そして辺野古現地と全国の闘い、これに安倍政権は追い詰められている。戦争法案阻止の大詰め情勢のなか、12日の辺野古国会包囲は闘われた。

  9・12国会包囲に2万2千
 
 9・12国会包囲は、主催者挨拶としてピースボートの野平さんが、「今日沖縄防衛局が、作業を再開した。これを阻止せんと県内外から市民が駆けつけ、キャンプシュワブ・ゲート前でも座り込みが続いている。今日の包囲行動は、作業再開に抗議しつつ、翁長知事による埋め立て取り消しを支持する行動です。」「安保法案反対で求める民主主義は、沖縄建白書の中にこそあります。戦争法阻止、埋め立て阻止に勝利しよう」と訴えて、開始された。
 沖縄からの訴えは、まず安次富浩さん(名護ヘリ基地反対協共同代表)が登壇、「今朝、作業が再開され、大浦湾では、フロートを前にもってきて制限区域を明示する作業をしている。海上保安庁は、我々がカヌーで阻止せんとすることに、暴力で襲い掛かっている。しかし、国の主権者は誰だ、新基地建設に抵抗し闘う我々だ。新基地建設は、沖縄県民に対する裏切りと差別以外の何物でもない。我々は海でも陸でも闘う。沖縄の未来は、沖縄が決める。これが民主主義社会。安倍政権を非暴力の徹底抗戦で引きずりおろそう」と訴えた。
 つづいて、玉城義和さん(島ぐるみ会議事務局長)が発言、「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議は、政治的な立場の違いを超えて結成された闘う組織だ。」「今月下旬に知事は、国連人権理事会で報告し、米国や世界の世論に訴えることを計画している。このジュネーブ演説の前に、取り消し表明をされるよう知事に進言している。」「来週、戦争法案の参院強行採決がなされようとしているが、これを許さず、思いを一つに集約して、東アジアの人々と仲良くする国をつくる。もう一つの日本をつくる闘いで、連帯する必要がある」と呼びかけた。
 そして、沖縄選出の照屋寛徳、赤嶺政賢の両衆院議員、糸数慶子参院議員が次々に発言した。国会周辺には続々と人々が詰めかけ、各団体のアピールへ移る。
 内田雅敏さん(戦争をさせない1000人委員会事務局長)は、「安倍政権は、違憲立法だ!の拡がりに動揺し、それで中国の脅威を煽り立てている。安倍の政策で喜ぶのは、中国の軍拡派であり、日本の軍需産業である。」「1972年の日中共同声明は、『相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決』としている。日中関係を危うくしているのは、安倍首相であり、石原前都知事だ。中国の人々と日本の我々は、戦争を望んでいない。このことをアジアの人々に発信するためにも、辺野古新基地建設阻止、戦争法廃案の闘いを進めよう」と語りかけた。
 次に、協力団体の「戦争させない・9条壊すな!総ががり行動実行委」の高田健さんが発言、「8月30日午後1時45分、この道路一杯に多くの市民が結集した。それは60年安保以来の大結集で、戦争法案を許さない市民の怒りがここを埋めつくした。政府・与党からは、デモに囲まれて強行採決したくないとの声も聞かれる。あとわずかで国会が終ろうとしているが、我々は毎日毎日デモをやっている。今日のような闘いを、9月14日にも必ずやりとげる。15・16日以降も闘い続ける。沖縄と一体となって、辺野古新基地、戦争法案を絶対につぶす」とアピールした。
 また、専修大学4年生の元木大介さんが発言、「私たちは、辺野古ゼミを立ち上げて学習している。そこで沖縄に学び、何かできないかと考え、ハンガーストライキを打った。政治は、翁長さんのように民意に寄り添って動いていくことが大切だ。若者の未来も、若者が決める。『安保関連法案制定を阻止し、安倍政権を打倒するための学生ハンスト実行委員会』は、今後も抗議行動を実行する。支援をお願いしたい」と訴えた。
 午後4時前の行動最終局面で、緊急アピールが発せられた。「人間の鎖は、まだつながっていない。国会正門前をつないで、包囲を完成させたい。沖縄式のシュプレヒコールで、ヒューマンチェーンを完成させよう」と。
 「基地をつくるな!辺野古につくるな!」のシュプレが国会周囲をおおい、不当警備の壁は崩壊して参加者は横断歩道を埋め、2万2千人の人間の鎖が完成した。国会が大歓声に包まれる中、包囲行動は終了した。
 辺野古新基地建設、戦争法案、原発再稼働などで、安倍政権の暴走が続いている。そして、この三つの闘いで、安倍政権は全大衆との矛盾を激化させ、崩壊していく。地域・職場から仲間をつくり、国会前の大闘争を再び実現し、安倍政権を引きずりおろそう。(東京O通信員)


日朝ピョンヤン宣言13周年9・13集会
  東アジアの平和実現は
  日朝国交正常化から


 日朝ピョンヤン宣言から13周年となる9月17日の目前の13日、「日朝正常化を求める9・13集会」が東京文京区のアカデミー茗台で開かれた。主催は、日韓民衆連帯全国ネットワークなどによる同集会実行委。
 戦争法案に反対する連日の国会前行動の合間であったが、ホールいっぱいに人々が参加し、戦争法案反対・東アジア平和実現の決意を新たにした。安倍政権の戦争策動に反対し、東アジアの平和構築の確かな第一歩となるべき日朝の国交正常化をめざす、このような取り組みの重要性は計り知れないものがある。
 集会は、渡辺健樹さん(日韓ネット共同代表)の主催者挨拶に続き、高嶋伸欣さん(琉球大学名誉教授)の講演「拉致問題で歪む日本の民主主義―日朝ストックホルム合意と安倍政権」が行なわれた。日朝ピョンヤン宣言後も「冷戦構造」から脱却できない日本、とりわけ安倍政権は、ストックホルム合意(2014年)から一歩も踏み出そうとしておらず言行不一致、このことをマスコミは追及しようともしていない、等と指摘した。ここからの転換には、安倍打倒が必要だろう。
ノレの会による韓国民衆歌謡をはさんで、ウィメン・クロス・DMZ(朝鮮半島の北から南へ非武装地帯を越えた各国女性たちの行動)に参加した高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表、元那覇市議)から、特別報告「沖縄基地問題と朝鮮半島の平和を考える」が行なわれた。映像を交えた活き活きとした行動報告であった。
アピールでは、国会前の総がかり行動について高田健さん、「慰安婦」問題の解決を訴えるVAWWRACの山田恵子さん、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の森本孝子さん、在日韓国人元「政治犯」再審裁判の状況報告について韓国良心囚を支援する会全国会議の石井寛さん、現在の韓国および南北関係の動向について在日韓国民主統一連合の宋世一さん、以上それぞれから報告を受けた。
集会は、日韓民衆連帯・沖縄辺野古新基地建設反対・戦争法案反対の闘いを、安倍打倒・朴クネ退陣へつなげていく決意に満ちた場となった。(東京Ku通信員)


第27回コミュニティ・ユニオン全国交流集会inあいち
  ユニオン運動の新たな展開へ


 9月26~27日、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの第27回総会と全国交流集会が、愛知県刈谷市で開催され、全国から約400名の仲間たちが集まった。
 26日午後1時から始まった総会では、①多くの反対運動の取り組みにもかかわらず、労働者派遣法改悪が強行され(9月11日成立、9月30日施行)、また労働基準法改悪(残業代ゼロ法)や解雇の金銭解決法の目論見もすすめられている。安保法制の強行採決など安倍政権の暴走が続いている。②「最賃いますぐ時給1000円」運動への取り組みが広がり、各地で運動が展開されてきている。③鈴鹿さくら病院でのスト禁止仮処分損害賠償裁判闘争など、争議支援を全国的に取り組み成果を上げてきたこと等、今期の特徴的な闘いが確認された。
 2016年度の活動方針としては、15年度の活動を受け継ぎ、安倍政権と対決し、労働法制の更なる改悪阻止、最賃1000円キャンペーンの展開など社会的労働運動への取り組みを、一層強めていくことを確認した。新たな役員体制を固め、来年は10月に広島で全国交流会を開催することを約束した。
 続いて特別報告。フィリピントヨタ労組を支援する愛知の会からは、同労組のメンバー数人とともに、不当解雇に対する闘いの現状が報告された。東京東部労組メトロコマース支部からは、契約社員差別の現状が報告され、またユニオンみえ・シャープピノイユニティの仲間からは、組合員37名の指名解雇撤回闘争の現状などが報告された。
 午後3時から全国交流集会。名古屋の中谷雄二弁護士と大内裕和中京大教授から、基調的な講演がなされた。
 中谷弁護士は、労働問題での自らの体験的な紹介から話した。中電事件といわれる中部電力での共産党系職員の不当解雇事件の中で、明らかに誤認で解雇された人がいた。彼は自分は違うと弁明すれば解雇から逃れられたにもかかわらず、解雇の不当性に怒って最後まで弁明せず、解雇反対闘争を闘った。これこそが労働者の団結、連帯の本質だ、と闘いの中で教えられたと話した。また争議において、勝利への道を開くのは組合員の団結した行動だ、ということも強調した。闘いの中から、思いもよらない解決の道が見つかった経験なども話した。
 最近の安保法制の問題について。多くの労働組合が闘いの前面に出なくなっている。労働組合は平和・人権など社会的課題について正面から取り組むべきであり、それができない労働組合は労働組合とはいえない。平和や人権の問題について積極的に関与する労働組合運動を担って欲しい、と提言した。
 大内教授は、現在の奨学金制度とブラックバイト、若者の貧困と安倍政権がねらう若者の経済的徴兵制が連動していることを明確に話した。
 親の貧困が進み、親からの仕送りが期待できなくなっている学生は、奨学金を利用する以外に学生生活ができなくなっている。今、奨学金は政府の方針で、大半が有利子制度になっている。学生は奨学金の利用額を低くおさえるために、アルバイトをせざるをえない。過酷なブラックバイトでも辞められなくなっている。大学を卒業する頃は数百万円の借金を背負って、今度はブラック企業であっても会社を辞められない。若者が貧困に落とし込められる。
 すでにアメリカで拡がっているが、一定期間兵役につけば奨学金の返済が軽減されたり、免除される。若者は貧困から抜け出るために、兵役に就かざるをえなくなる。アメリカ型の戦争国家がつくりあげられる。安保法制が強行可決された今、日本はこうした現状におかれている。この課題に労働運動として正面から向き合う必要があると、大内教授は提言した。
 夜はパーティー。北海道から九州まで各ブロック毎に参加者の紹介があり、交流を楽しんだ。
 翌27日は、14分科会に分かれて意見交換。最後に全体集会を行ない、今集会での教訓を胸に明日からの闘いを進めようと、集会宣言を採択して終了した。(ユニオン活動家S)