米帝国主義の走狗と化した安倍訪米
  「安保国会」闘争で打倒せよ

 安倍首相、中谷防衛相、岸田外相が訪米し、四月二七日深夜に日米・新ガイドライン合意を強行し、続けて安倍がオバマ大統領との首脳会談(二八日)と、米上下院合同会議での首相演説(三十日未明)を行なった。
 これによって、安倍政権が五月十五日頃に国会に提出せんとしている、安保法制諸法案の基本的性格がばくろされた。それは、アメリカの歓心を買い、アメリカ帝国主義を補完し、その世界中での戦争に馳せ参じるためのものである。
これでは「日本を取り戻す」どころか、「日本を売り渡す」ことにならないか。安倍の訪米演出は失敗した。当面の戦争法案(また、その先にある9条明文改憲)を支える政治基盤は動揺していく。我われの闘いによって、戦争法案は阻止できる。確信をもって「5~6月決戦」を闘いぬこう。
 日米防衛協力指針は今回、改定というよりも、安倍政権の集団的自衛権行使容認によって新ガイドラインに改変された。日米軍事協力を「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域」で、と連発されている。
 そして、「自衛隊は、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ」る事態に対処し、「武力の行使を伴う適切な作戦を実施する」と明記する。
 世界中で日米共同作戦である。前提となる法案が国会に提出もされていないのに、勝手に米政府と合意してしまった。「7・1閣議決定」による憲法解釈変更の強行につづく、国会無視・国民無視の行政権の暴走である。新ガイドラインは撤回せよ。
 さらに安倍は米議会演説で、この戦争法案を「夏までに成就させる」などと対米約束してしまった。国家主義者からアメリカの走狗に変身か。また「日本は米国と組み、西側世界の一員になって冷戦に勝利した」などと、旧態依然たる冷戦思考をばくろした。
 そして、「自らの行ないが、アジア諸国民に苦しみを与えた」と抽象的に語り、「侵略と植民地支配」という文言を抹殺した。安倍は訪米中、日本軍「慰安婦」制度についても、「人身売買」と言って民間業者のせいにし、軍関与を否定している。この米議会演説で、「戦後70年談話」の醜悪な中味が予想されるものとなった。今夏、安保国会が紛糾するなかで、安倍の世界的孤立は避けられない。
 さて戦争法案は、武力攻撃事態対処法、重要影響事態対処法(旧周辺事態法)、自衛隊法などの10本の一括改定案と、新法の国際平和協力法案(派兵恒久法案)であるとされている。
 世論は、これに6~7割が反対である。また、9条改憲反対は断然優勢を維持しており(朝日新聞調査では反対63%賛成29%)、改憲一般反対も近年は逆転して優勢になってきた。
 沖縄の辺野古基地建設強行についても、翁長知事による菅会談(四月五日)・安倍首相会談(四月十七日)以降、「本土」世論は好転しつつある。沖縄の対中・戦争基地化反対と、安保法制反対とは一つの闘いだ。
 勝てる条件は拡大しつつある。2015年「安保国会」闘争を、全力で開始しよう!