4・27官邸前
日米新ガイドライン締結を弾劾する!
 「5~6月決戦」へ突入

 四月二七日の午後6時半、まさに米ニューヨークで日米「2+2」協議が開かれんとする時に、東京では、「新ガイドライン反対・戦争立法反対・安倍政権暴走阻止」をかかげる首相官邸前行動が、約800人の参加で闘い抜かれた。主催は、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。
 国会無視のガイドライン改定、今回の改定はとくに、集団的自衛権行使のための安保法制法案が国会に提出もされていない時に、その憲法の基本原則を変えてしまう内容を、行政(防衛・外務省)が勝手に対米約束してしまう暴挙である。
 怒りをもって参加者は、「日米ガイドライン反対!」「日米軍事同盟強化反対!」「辺野古新基地建設反対!」「集団的自衛権反対!」「戦争法案反対!」のシュプレヒコールを、首相官邸と訪米中の安倍首相に叩きつけた。
 集会では、「総がかり行動実行委」を作る3団体が発言した。
「戦争をさせない1000人委員会」からは、福山真劫さん(平和フォーラム)が、「戦後最大の平和と民主主義の危機だ。平和原則は空洞化されてきたが、歯止めはかけてきた。その歯止めがはずされ、米軍の手足として戦おうとしている。」「5月から8月が最大の山場、闘えば絶対勝てる」と訴えた。
「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」からは、高田健さん(憲法改悪を許すな市民連絡会)が、「国会『事前承認』はペテンだ。しかも事前承認は派兵新法についてのみ。公明党のペテンは許せない。」「どの世論調査でも、戦争法案は反対が多数派で、賛成は少数派となっている。絶対阻止できる。3団体の内そとを問わず、すべての人々に総がかりの行動を呼びかける!」と訴えた。
 「戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター」からは、吉田弁護士(憲法会議)が発言。
 3団体以外では、日弁連・憲法問題対策本部の山岸良太さん、赤嶺政賢衆院議員、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの木村事務局長、などなどが発言した。
 さらに、当日の党内調査会で結論を出してきた民主党から、長妻昭さん(党代表代行、衆院)と神本美恵子さん(参院)が発言した。
 長妻さんは次のように述べた。「法案が提出されてもいないのにガイドラインとは、とんでもない国会無視だ。その法案、民主党は防衛関係の法整備は認めるが、地球の裏でも米軍と共に戦争というのは認めない。」「また、議事録から『戦争法案』を消せというのは、言論統制で許されない。帝国議会での斎藤反軍演説は3分の2が消され、今も回復していない。」「安保法制法案が、強行採決になるかならないかは、世論によって決まる」。
 神本さんは、先刻の民主党安保調査会の結論、「専守防衛に徹する観点から、安倍政権が進める集団的自衛権の行使は容認しない」を報告した。派兵恒久法については、民主党は各ケースで特別措置法を、としている。
 官邸前行動への民主党・長妻氏らの参加は、おおいに意義のあることであるが、情勢を動かしていくのは大衆行動の発展である。この日の官邸前には、「集団的自衛権法制化阻止・安倍たおせ!反戦実行委員会」の人々も結集し、総がかりの一翼を担いつつ、大衆闘争を推進せんとしている。
 福山さんは「5~8月決戦」と言ったが、今から会期延長を折り込むのは、いかがなものか。6月24日の会期末をふまえ、国民総決起で国会を包囲し、延長阻止・戦争法案廃案をかちとる覚悟が問われている。「5~6月決戦」に勝利しよう。(東京W通信員)


福島原発告訴団が4・30検察審激励行動
  
強制起訴・再稼働阻止へ

 関西電力が高浜原発1、2号機の60年運転に向け、20年延長を申請するなど、「原子力ムラ」の暴走が続く四月三十日、東京地裁前では、「4・30検察審査会申立て&激励行動」が闘われた。行動は福島原発告訴団が主催し、300名を超える労働者・市民が地裁前の歩道を埋めた。

 4・14高浜差し止め決定!

 この行動に先立つ四月十四日、周辺住民らが、高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを求めていた仮処分裁判で、福井地裁は、再稼働を認めない決定を下している。
 その樋口英明裁判長は、仮処分決定にあたって、原子力規制委員会の新規制基準は合理性を欠き、適合しても安全性が確保されないと、決定の根拠を明らかにした。そして、想定を超える地震が来ないとの根拠が乏しく、基準地震動を下回る場合でも主給水ポンプなどの破損で、冷却機能が喪失・重大事故が生じると述べ、さらに人格権侵害の危険にも言及している。
 この決定は、脱原発闘争の成果であり、「原発再稼働を止めるための最大の武器になる」(河合弘文弁護士)ものである。
 ところが菅義偉官房長官は、「国は、この裁判の当事者ではない」、「再稼働は粛々と進めていきたい」と語り、規制委員会事務局の米谷仁総務課長は、「規制委は本件の当事者ではない」とコメントした。
そもそも原子力政策は国策であり、国のエネルギー計画に沿って、再稼働方針が決められている。国は当事者であり、仮処分決定を尊重する立場にある。そして規制委も、新規制基準に責任を有しており、当事者である。
ところが国や電力会社は、規制委の基準に適合したから安全だとし、いっぽう規制委は、「安全かと言われれば絶対安全とは言えない」、安全審査ではなく適合審査であるとして責任逃れをしている。この国と「原子力ムラ」の無責任体制が、福島原発事故を引き起こしたのだ。
続く四月二十二日、鹿児島地裁・前田郁勝裁判長は、九州電力川内原発の再稼働差し止めを求めた仮処分申立てを却下した。「新基準は最新の科学的知見に照らした」ものとし、それを是認したのだ。
そして、「一般的に科学技術は、危険性をゼロとするような絶対的安全性の確保は不可能」とまで言い切っている。原子力災害を、産業災害一般に解消することは許されない。13万人近い人々が未だに帰れず、1700人超もの災害関連死が起こっていることを無視した、無責任な決定である。
福島告訴団の闘いは、こうした無責任を許さず、国と「原子力ムラ」の責任を徹底的に追及し責任を取らせる闘争、もって再稼働を阻止する闘争として取り組まれている。
さて地裁前の集会では冒頭、告訴団団長の武藤類子さんが、「今年一月十三日の告訴は、四月三日に全員不起訴になった。東電と旧保安院などの津波対策担当者を告訴・告発したが、二ヶ月半で不起訴処分になってしまった。今日は、この事件について、検察審査会に不服を申し立てるために来た」と、4・30行動の目的を明らかにした。
次いで海渡雄一弁護士が、「今日検審に不服申し立てをするのは、東電・酒井俊朗、保安院・野口哲男など5名だ。酒井、高尾誠らは東電で津波対策の先送りをした当事者である。そして野口は、津波対策をとるべきとの主張に圧力をかけた人物である。保安院・名倉繁樹は最大の焦点が津波対策と知りながら対策をさせないよう画策し、同じく森山義範も悪質な行動をした。8人の被告のうち武藤・武黒・勝俣ら3人に強制起訴を、また、今日の不服申し立てによって5人の起訴相当を勝ち取る」と申し立ての内容を鮮明にした。
作家の広瀬隆さんは、「官僚たちは東電と一緒になって無責任な対応をし、再稼働を画策している。裁判で白黒をはっきりさせ、責任の所在をはっきりさせたい。それが再稼働阻止につながる。我々は必ず勝つ」と述べた。
そして正午過ぎ、激励の拍手の中、武藤団長、佐藤和良副団長、海渡弁護士らが不服申し立てのために東京検察審査会に向かった。
集会は続行され、「検審は起訴相当の議決をしてください」、「原発事故の責任を明らかにしてください」とシュプレヒコールを上げて終了した。東電幹部、保安院(現・規制委)等の責任を追及し、再稼動を阻止し、脱原発社会の実現に向け奮闘しよう。(東京O通信員)


4・25東京
〈4・28〉シンポ 戦後70年の日本と沖縄/アジア
 主権国家を超えて

 四月二五日、「〈4・28〉シンポジウム 戦後70年の日本と沖縄/アジア」が東京・全水道会館において開かれ、約150名が参加した。主催は、沖縄文化講座を事務局、情況出版を連絡先とする同シンポ実行委員会。
 4・28は、1952年にサンフランシスコ対日講和条約と日米安保条約が発効し、講和条約第3条によって沖縄が米軍政下に売り渡された日である。このシンポは今年で三回目で、日本復帰後は日米安保体制の支配下にある現在の沖縄での闘いに連帯しつつ、日本・沖縄の現状を問う企画である。今年は、安保法制法案と、沖縄を戦争の最前線に立たせようとしている安倍政権による辺野古新基地建設、これらとの闘いの最中の企画であった。
 講演が、仲里効さん(映像批評家)から、「<戦後なき沖縄>と敗戦70年」と題して行なわれた。仲里さんは、「復帰運動」にはリバイアサン(近代主権国家)を抱きしめたと言うべき陥穽があったが、1995年から沖縄の主体意識の変革が始まり、今日、ナショナリズムへ回収されないものとしての、自己決定権の意志が提起されるに至っているとの認識を提起するものであった。
 また、崔真碩さん(チェ・ジンソク、広島大学教員)が「<影の東アジア>から」と題して、また丸川哲史さん(明治大学教員)が「台湾・中国からの視点」と題して、各サブ講演が行なわれた。
 仲里効さんのお話しの基調にあるのは、「リバイアサン国家からの離脱」であり、近代主権国家批判である。復帰闘争の政治的評価としては論議も呼ぶが、今日の沖縄県民の闘いとその将来を展望するうえでは、重要な視点であると思える。また丸川さんも、「東アジア共同体構想を、阿Qの視点で考える」、崔さんも「近代を降りて『サラム=ひと』としてやり直したい」であるから、言わば「東アジア市民」主義的な共鳴が感じられた。
 また、安次富浩さん(ヘリ基地反対協共同代表)による、辺野古からのメッセージが紹介された。安次富さんは、翁長知事による菅・安倍会談での堂々の批判に拍手喝采を送りつつ、ヤマトでも「オール沖縄で示されているように、リベラル派保守勢力とも連携する度量が求められている」と提起するもので、とても刺激的なメッセージであった。
 最後に、5~6月の激動の行動日程を確認して、シンポは終了した。(東京W通信員)