釜ヶ崎メーデー
  戦争法案阻止・特掃拡充を

 五月一日、大阪・釜ヶ崎では「第46回釜ヶ崎メーデー」が行なわれた。主催は、釜ヶ崎日雇労組・反失業連絡会。
 前日のメーデー前夜祭に続き、当日は西成総合センターで集会を行ない、100名を超える仲間の隊列で、地区内デモを闘った。
 その後、大阪市・府に対する要望書提出行動を闘い抜いた。要望書は、釜ヶ崎就労・生活保障制度の実現を目指す連絡会として提出され、「特別清掃の拡充」等5項目を、松井知事・橋下市長に断固要求するものである。
また、その夜は、「中之島メーデー」に参加した仲間、「連合メーデー」に清掃担当として参加した仲間(今年も連合メーデーでの清掃の仕事が、約100名の釜ヶ崎労働者に提供された)、また、「特掃」で働いた仲間、通常の仕事帰りの仲間、これらが三角公園に再結集して「メーデーまつり」を開き、この日の闘いを終えた。
 今年の釜メーデーの特徴は、まず第一に、原発再稼働、改憲、戦争への道を突き進む安倍政権との対決、とりわけ5~6月の「戦争法案」の上程阻止・廃案の闘いを、その一翼を担って釜ヶ崎労働者が闘うことを確認したことである。
 第二の意義は、沖縄民衆との連帯を、強く打ち出したことである。
 「メーデーまつり」では、辺野古新基地建設阻止の闘いの映画『辺野古現地からの報告』が上映され、また、昨年9月から3月まで現地でカヌー隊として闘い抜いた釜ヶ崎の仲間が発言した。
 第三の意義は、五月十七日に「大阪市廃止・特別区設置」の是非を問う「住民投票」が実施されるが、府・市への要望書に「行政区分の変更の有無にかかわらず、釜ヶ崎対策及びホームレス対策が後退することがないようにせよ」とあるように、住民投票の結果がどうあれ行政に対しては、「野宿をさせるな!」「仕事をよこせ!」「働いてメシを喰わせろ!」の闘いを強めていくこと、具体的には、「特掃の週3回への拡大!」「55歳以下の仲間の社会的・公的就労のしくみを作れ!」を求める反失業闘争の方向を、再度確認したことである。
 第四の意義は、こうした闘いを、全国・全世界の労働者、闘う人民との団結をめざす闘いとして勝ち取ることを確認したことである。
 さて残念ながら、大阪では、「連合メーデー」「全労連メーデー」、そして全港湾や全日建設、また全労協などによる「中之島メーデー」と、メーデーが分裂して開催されている。
 釜ヶ崎でも、「西成分会」との統一メーデーとは成っていない。大事なことは、「分裂」を固定化するのではなく、できる限りの統一行動を実現すること(これは反原発をはじめ、安倍政権との闘いの中で確実に前進している)、それができない場合でも、「別個に闘い、共に撃つ」という視点で臨むべきである。
 釜ヶ崎ではメーデーの成功を受け、反失業、反戦・反基地、反原発・再稼働阻止の闘争、沖縄連帯の闘争を全国の仲間とともに闘い抜く。「原発も、基地・戦争も、差別も、失業もなく、安心して働き生活できる社会」をめざし、当面の安倍政権打倒・戦争法案阻止を全力で闘い抜く。(釜ヶ崎S)
 なお、「第86回中之島メーデー」(主催は、大阪全労協などによる実行委員会)は、大阪市・剣先公園において、約1000人(主催者発表)が参加して行なわれた。(編集部)


日比谷メーデー
労働法制改悪・集団的自衛権反対

 五月一日、東京では「第86回日比谷メーデー」が日比谷野外音楽堂内外で、同実行委員会の主催で行なわれ約5千人が参加した。
 今年の日比谷メーデーは、4年前の「3・11」以降毎年掲げられている「原発の再稼動反対」のスローガンの他に、現在の重大情勢に対応して、「労働法制の改悪反対!一日8時間労働制の破壊を許さない!」、「集団的自衛権の行使反対!戦争国家体制を許すな!」を掲げて挙行された。
 午前十時前にメーデー集会は開会され、主催者挨拶が鎌田・国労東京委員長、連帯挨拶が武藤・都労連委員長と続き、国会議員からは福島みずほ参院議員が挨拶した。福島さんは、自身の「戦争法案」発言に対する、自民党の議事録削除要求を徹底批判した(この削除策動は、すでに破綻した)。
 連帯メッセージが、4・24ゼネストを闘う韓国民主労総、また全労連など中央メーデー実行委から寄せられた。
 闘争現場からは、労働契約法第20条の不合理な非正規差別の禁止条項を活かして闘っている郵政ユニオン、20条裁判原告団の浅川喜義さん。全国日系ブラジル人ネットワーク代表の橋本秀吉さん。フジビ争議(荒川区の富士美術印刷による子会社の偽装倒産・首切り)の現況について、全労協全国一般東京労組の小金井俊弥さんが報告した。各報告に、圧倒的な連帯の拍手が寄せられた。
 また、高田健さん(平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会)が、5・3横浜・臨港パークへの大結集と、戦争法案阻止の5~6月行動への総決起を訴えた。
 最後に、メーデーアピール採択の後、2手に分かれてメーデー行進が行なわれた。(東京A通信員)


5・17住民投票に「NO!]の投票を
 「大阪市を守れ」ではなく、労働者・住民の要求を対置せよ

 五月十七日に、「大阪市解体・特別区設置」案の是非を問う住民投票が行なわれる。すべての大阪市民は、積極的に投票所に行き、「NO!」の投票を行なおう!
住民投票が近づく四月には、大阪市内各地域で、「特別区設置協定書」についての「住民説明会」が開催された。どこも住民で満員で、橋下徹大阪市長のペースで開かれているが、こんにち全国的規模の議論へ発展したわりには、当該大阪庶民の関心は、客観的に言って低調であった。
これまで、この「大阪都構想」(今回の住民投票では、大阪市廃止と五つの特別区設置の是非が決まり、府が都になるには地方自治法の改定が必要になる)は、2012年に大都市特別区設置法が成立したものの、それに沿った協定書案(特別区設置案)は府・市議会で否決され、いったん「都構想」は頓挫していた。
しかし、昨年十二月の謀略的総選挙を前に、公明党と維新の取り引きが行なわれ、公明が住民投票実施に賛成へ転じたため(公明は大阪市廃止・特別区設置には反対、と欺まん的態度を取っている)、情勢は急転して今年三月、府・市議会で協定書案が可決という経過となっている。
我々が、住民投票でNO!を主張するのは、おもに二つの側面からである。
一つは、国政上の課題として、橋下・維新の会の策動は、安倍自民党の改憲・戦争国家の策動と密接に連携し、その一環を成しており、断固粉砕する必要があるからだ。
大阪維新の会は、今春の地方選でも勢力保持を果たし、安倍政権は来年夏の参院選挙とその後の改憲国民投票に向けて、維新を重要なパートナーとして評価している。
「改憲のためなら、なんでもやる」と公言する橋下一派は、改憲国民投票の予行演習として今回の住民投票を仕掛けてきた。その住民投票を、維新の墓場に転ぜよ。
もう一つは、地方自治・住民自治上の課題として、新自由主義的な地方行政制度の改変には、断固反対する必要があるからだ。
仮に、今回の住民投票が維新の思惑どおりの結果となった場合、橋下は市民の歓心を買うために、一時的にバラマキ、包摂策をとるかもしれない。しかし、かれらの本質は反労働者・反住民、排外主義の容認であり、労働者・市民生活への攻撃はさらに激化する。府・市がNPO釜ヶ崎に委託する特別清掃事業は、大阪市が主になっているが、大阪市が廃止されると市による他の公共サービスと同様、切り捨てられる危険性がある。
維新の関心は、市場原理主義万能の大都市経営・道州制にあり、地方自治とその核心の住民自治にはない。一見、五つの特別区で住民自治の前進かと見えるが、財政は大阪府(都)に集中される。
しかしまた、反・大阪維新の連合(自民党大阪府連、民主、日共など)が言う「大阪市を守れ!」という主張にも、積極的意味は見出せない。政令指定都市大阪市の現状を守れでは、ただの保守主義である。
現状は変革すべきだ。大阪・近畿圏では、生野区をはじめ在日朝鮮・韓国人の地方参政権取得の課題は重要だ(今回の住民投票においても、在日民衆および定住外国人の投票権は無い)。また、巨額の赤字の上に浮かぶ泉州沖空港(関西空港)の存続問題は、どうするのか。膨張する生活困窮者、かれらを直撃する生活保護切り下げの問題はどうするのか等々。これらの解決案を提示せず、行政区割りの是非を論じても無意味である。
「大阪都構想」案に断固反対しつつ、住民自治の前進のための要求を対置せよ。住民自治の先頭に立つ労働者の団結を強化せよ。反対票を、橋下と安倍に突きつけよう!(関西I)

 
海外武力行使の事態でも
労働者は戦争動員される


 安保法制法案に対する労働団体の対応をみると、最大団体の連合が、慎重審議は言っても、反対運動を放棄している。すでに国会に提出されている労働法制改悪案には反対の取り組みをしても、戦争法案のほうには連合としては沈黙である。反原発と同様、不一致課題はやらないとしても、単産自決なのであるから、多くの加盟労働組合が最大の生活破壊である戦争立法に反対するよう、情勢を動かす必要がある。
 かって周辺事態法(1999年成立)から、武力攻撃事態法(2003年成立)や国民保護法(2004年成立)など有事法制に至る時期には、ナショナルセンターの枠を超えて「陸海空20労組」が反対運動を展開した。
 現在、この陸海空20労組の闘いが復活していないのは何ゆえか。自衛隊の海外での武力行使では民間労働者の動員が伴わない、と見られているかららしい。
 たしかに、国会に提出されんとしている11本の中には、国民保護法の改定案は含まれていない。国民保護法は、武力攻撃事態法の下位法として、日本有事における「国民の協力」を規定する。総則で「協力は国民の自発的意思にゆだねられる」としつつ、「罰則」があるというペテン的な戦争動員法である。
安倍政権が四月二七日に発表した「安保法制の主要事項に関する基本的考え方」では、国民保護法については、「存立危機事態」の認定を新たに要件として定める必要はなく、日本有事に適用する現行法で対応できるとしている。しかし他方では、「存立危機事態」に該当するような状況は、同時に武力攻撃事態等にも該当することが多いと考えられることから、その場合には、国民保護法が適用されることとなるともしている。
つまり、国民の戦争動員は、一般的には日本有事の場合であるが、海外で集団的自衛権を行使するような場合でも、事態は色々発展していくので、国民動員もありうるよと言っているのである。
そもそも国民保護法の扱いが核心問題なのではない。現行の戦争動員の体系は、どうなっているか。
武力攻撃事態法では、第5条で地方公共団体の責務、第6条で指定公共機関の責務を規定し、その施行令(04年9月)によって、「指定公共機関」160法人が指定された(陸海空の運輸・電力・国立病院など、おもな法人は全部入る)。
自衛隊法では、第103条で「公用令書」、すなわち赤紙を規定。公用令書は、知事が法人・個人に出すもので、「土地・家屋・物資」についての措置命令と「業務従事命令」とに大別される。その業務で、戦死・負傷した者への補償も記されている。第124条では業務拒否の罰則を規定。この公用令書は、第76条で「武力攻撃予測事態」においても出せる。
今回の一括法案で、この武力攻撃事態法や自衛隊法などが、集団的自衛権行使に沿ったものへ改定される。集団的自衛権行使なら、我々労働者は動員されないなどと言うことは絶対にできない。(A)