横浜憲法5・3憲法集会
憲法決戦へ3万人超

 五月三日の日本国憲法施行68年の日、首都圏では横浜市の臨港パークにおいて、「平和といのちと人権を!5・3憲法集会~戦争・原発・貧困・差別を許さない~」が開催され、このかんの憲法関係では最大規模となる、3万人超(主催者発表)の人々が参加した。
主催は、平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会。これまで東京では5・3集会は、憲法8団体よびかけの5・3憲法集会実行委による日比谷公会堂集会と、平和フォーラムなどによる護憲集会とに分かれていたが、情勢をかんがみ、両者が合同するとともに、原発・秘密法・反差別などの市民運動も参加して、より大きな5・3憲法集会実行委となっている。
横浜港沿いに横長の広大な公園は、続々と集まる人々で埋まってくる。夏のような晴天の中、集会は午後1時半から開会された。
最初に、多くの呼びかけ人の中から、戦争と貧困の親和性について雨宮処凛さん、今一番大切な言葉として今集会の呼びかけ文(後述)を読み上げた大江健三郎さん、選挙だけでなく様々な方法で運動を広げようと澤地久枝さん、絶望から希望へと落合恵子さん、立憲主義を強調する憲法学者・樋口陽一さん、精神科医の香山リカさんが発言した。
政党挨拶は、民主党・長妻代表代行、日本共産党・志井委員長、社民党・吉田党首、および生活の党と山本太郎となかまたち、から行なわれた。
長妻さんは、「民主党は、防衛関係の法整備は認めるが、地球の裏側まで行って米軍と一緒に戦うというのは認めない」、「ナショナリズムをあおった人たちが、ナショナリズムをコントロールできなくなったのが、先の戦争の教訓」、「自民改憲草案が公共の福祉を削り、公けの秩序としているのも許せない」などを述べた。吉田さんは、「来年参院選は、憲法の一点で共闘を!」と呼びかけた。(熟考するまでもなく、参院選全国比例は改憲反対派の統一名簿たとえば政治団体「9条」、これで闘うべきである)。
沖縄からのアピールでは、高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表、また彼女は「島ぐるみ会議」、平和市民連絡会の共同代表でもある)が登壇。高里さんは、「安倍首相が訪米し、辺野古が唯一の解決策と対米約束したことは許せません」、「憲法施行68年ですが、沖縄にとっては43年です。しかも沖縄では、返還時に、有事には核を再び持ち込める、米軍基地もそのままという密約がなされ、憲法の平和・人権条項は実現されていません。そのうえ沖縄の民意をまったく無視し、辺野古新基地建設が強行されています」、「本土の皆さん、沖縄のためだけでなく、平和憲法のためにも、辺野古強行を認めないでください!」と訴えた。
続いて、リレートークが各分野の11団体によってなされ、集会は3時半に終了、参加者は大結集に意を強くして散会した。
最後に、会場で大江さんが読み上げた本集会の呼びかけ文を記す。
「私たちは、『平和』と『いのちの尊厳』を基本に、日本国憲法を守り、生かします。
集団的自衛権の行使に反対し、戦争のためのすべての法制度に反対します。
脱原発社会を求めます。
平等な社会を希求し、貧困・格差の是正を求めます。
人権をまもり、差別を許さず、多文化共生の社会を求めます。
私たちは、これらの実現に向けて、全力でとりくみます。
いま、憲法は戦後最大の危機の中にあります。
全国に、そして全ての国々に、連帯の輪を広げて、ともにがんばりましょう。」
(東京K通信員)


松戸5・3憲法集会
地域から戦争法案阻止へ

 五月三日、「2015松戸憲法記念日の集い」が、千葉県松戸市の市民会館ホール(定員1212名)をほぼ満員し、渡辺治さん(一橋大学名誉教授、9条の会事務局)の講演をメイン内容にして開かれた。主催は同集い実行委員会(74団体が参加)。
 折りしも、横浜・臨港パークでの3万人が結集した憲法集会が、また隣接する柏市においても初めて憲法集会が行なわれ、これらが同時進行するという、参加見込みからいうと悪条件にもかかわらず、松戸の集会にこれだけの大結集を実現できた。このことは、安倍政権が押しすすめようとしている実質的改憲と言える戦争法制、これに対する労働者・住民の危機感の表れともいえる。
 この松戸の5・3憲法集会は、実行委員会によって開催されるようになってからは十三回目を迎え、地域にしっかりと定着している。これも多くの参加者数の土台であろう。
 集会は、伝統芸能『和力』の和太鼓などの公演に始まり、実行委代表の太田幸子さんの主催者挨拶の後、渡辺治さんが登壇。
 渡辺さんは、レジュメに沿って90分余りの講演を分かりやすく、よどみなく語った。
レジュメは、「はじめに―岐路に立つ戦後日本」「1、安倍内閣は、なぜ改憲、集団的自衛権に執着するのか?」「2、安倍政権はどんな日本をつくろうとしているか?」「3、改憲をはばみ、憲法の生きる日本をつくる国民的協同を」とするもので、戦後70年の間に幾度となく9条改憲の岐路に立たされてきたが、今回は戦後最大の岐路である。歴史的にも米国の要請と自民党政権によって幾度となく改憲策動が持ち上がってきたが、民衆側の改憲阻止の闘いによって阻まれてきた。安倍内閣によって、真正面から自衛隊の海外派兵を押しすすめる策動に突き進みつつある。このことを通して、実質的改憲から明文改憲に進もうとしている。
また、労働者民衆によって岸内閣が引きずり降ろされた60年安保闘争時に比べ、市民運動の発展が様々な政治潮流を結びつけ、共同を促がす役割を果たす可能性を秘めるようになっている。安倍の改憲の目論見を阻むことは、この春から夏にかけて戦争立法を止められるかどうかに懸かっている、ここが正念場である、と講演はまとめられた。
このあと、場内から寄せられた質問に渡辺さんが丁寧に答えて、熱気あふれる講演会は終了した。
松戸憲法集会が終了したのち、松戸駅西口公園において、「活かせ9条松戸ネット」などの主催によって、「5・3怒りと抗議の集会とパレード」が約150名の結集で行なわれた。パレードは、「憲法改悪反対」、「国防軍はいらない」、「原発再稼働反対」、「辺野古に新基地はいらない」などのシュプレヒコールを上げながら、市内のメインストリートをデモ行進した。
地域での闘いを基盤として、安倍政権の戦争法制粉砕闘争の山場を闘い抜こう!(千葉A通信員)