安保法制法案の5月国会提出を阻止しよう
 世界中で米軍と共に戦争

 安倍政権の与党自民・公明は三月二十日、「安全保障法制整備の具体的な方向性」とする与党合意を行なった。この合意にもとづき、昨年の「7・1集団的自衛権行使容認閣議決定」を実効化するための安保法制一括法案を、五月中旬には国会に提出するとしている。
 この合意によると、「自衛隊法」「武力攻撃事態対処法」の改定によって、日本が攻撃されていなくても、日本の存立が脅かされる等の事態(新事態)であれば、米軍などとともに世界中で自衛隊が武力行使できるようにする。グレーゾーン事態でも、米軍の武器等の防護(空母の護衛など)ができるようにする。「船舶検査法」の改定と併せて、世界中で自衛隊が臨検をできるようにする。
そして在外邦人救出も、領域国の同意があれば、自衛隊が武力行使できるようにする。
 また「周辺事態対処法」の改定によって、「周辺」を消して世界中で、米軍などへの後方支援(兵站・軍事輸送)ができるようにする。
 また「派兵恒久法」の新設によって、いつでもどこでも、自衛隊を後方支援に派兵できるようにする。安保理決議がなくても「関連する国連決議」があれば、派兵できるとする。さらに「PKO等協力法」の改定によって、任務遂行のための「武器使用」ができるようにする。非戦闘地域という線引きも無くす。
 以上、とんでもない立法案であるが、結局なにが変わるのか。これまで武力攻撃事態法(2003年成立)、周辺事態法(1999年成立)によって、日本有事や朝鮮半島有事では、自衛隊の軍事行動、官民の動員・統制について法規定ができている。この2法も違憲立法である。しかしまだ、自衛隊が海外で武力行使することはできない。
 今回の立法案によって、同盟国の戦争であっても、日本のシーレーン確保であっても、「存立事態」だなどとして自衛隊が海外で武力行使できるようになる。論議の余地なく違憲立法である。
 集団的自衛権の行使とは、「他国の武力行使との一体化」ということである。さらに9条が明文改憲されると、後方支援などで与党合意が言う「他国の武力行使との一体化を防ぐ」という制約すらなくなる。自衛隊は中東の空爆にも参戦できる。安倍政権はそれを目指している。
 この戦争法案阻止の闘いは、「戦争する国家」づくりを許さない当面の天王山の闘いである。その闘いの成否は、日本人民と安倍政権との当面の力関係を決定づけ、向こう数年内に予想される憲法闘争の決戦的情勢にも、大きく影響する。
 戦争法案の国会提出じたいを許さず、提出すれば安倍政権の打倒に転化させる。この闘いは、国会内ではすでに勝ち目がない。対国会などの大衆闘争、全国的な大衆行動を、すべての反戦平和勢力が総ががりとなって爆発させる必要がある。すべての仲間たちは、「5~6月決戦」に立ち上がろう。