統一地方選勝利、戦争法案提出をゆるさず
  安倍打倒5~6月決戦へ

 安倍首相は二月十二日、第三次安倍政権の施政方針演説を行なった。
安倍はその冒頭で、「テロと戦う国際社会において、日本としての責任を毅然として果たす」とし、対「イスラム国」有志連合の空爆と今後の地上戦を(当面は資金提供などで)支えることを強調した(関係記事3面)。
 しかし、安倍が施政方針演説で多く述べたことは、国家主義的な「戦争する国」作りのほうよりも、新自由主義的な「改革断行」、「多様な働き方」、「地方創生」のほうであった。大企業・投資家奉仕の市場原理主義的改革を、「日本を取り戻す」というナショナリズムを掲げて推進するというのが、今回の演説の反動的特徴となっている。
 安倍は、四月統一地方選を意識し、「60年ぶりの農協改革断行」を強調した。昨年来、自民・公明は、滋賀・沖縄・佐賀と県知事選で連敗を続けた。今年一月の佐賀知事選で、「佐賀のことは佐賀で決める」をスローガンとした保守系無所属に、自公肝いりの新自由主義的候補が敗北した。これは安倍政権に大打撃となった。安倍の「改革断行」の施政方針は、その後のJA全中とのボス交成立を頼みに巻き返しに出ようとするものであるが、地方から安倍が見放されつつあることは否定できない(関係記事1面)。
 また安倍は、「誰にでもチャンス」などと言って、「時間ではなく成果で評価する新たな労働制度」を強調した。そして三月二日、厚生労働省の審議会は、労働基準法改定案=「残業代ゼロ法案」要綱の塩崎厚労相への提出を強行した。これは「8時間労働制」そのものの破壊である。適用範囲は省令で決められ、最初は狭くして導入し、だんだん広げていく。労働者派遣法で、嫌と言うほどお馴染みのやり口だ。
 今春闘は、この法案との正面戦となっている。今やアベノミクス「官製春闘」の従属物に成り下がった連合中央を乗り越え、非正規労働者の立ち上がりを先頭にして、労基法改悪案阻止・格差拡大反対の春闘を実現しよう。
 さて、こうした新自由主義的攻撃と比べて、憲法改悪を頂点とする戦争国家作りのほうは、トーンダウンしたのかと言うとそうではない。
 安倍は二月四日、船田元・自民党憲法改正推進本部長と会談し、来年参院選後に改憲国民投票を実施するという方針を示した。改憲日程の具体的提起に、初めて踏み込んだのである。二六日には、自民党改憲推進本部が再始動し、まずは環境権などの発議によって国民に改憲馴れをさせよう、などと陰謀を開始した。
 二月十三日には、昨年「7・1閣議決定」を実効化する安保法制法案のための自公与党協議が開始された。三月中に、集団的自衛権行使一括法案の骨格を示すとしている。その一つとしての自衛隊派兵恒久法が出来れば、今後本格化する対「イスラム国」戦争での後方支援(兵站、軍事輸送)に、いつでも自衛隊を派兵することが可能となる。
 また、安倍は今夏の「戦後70年談話」では、二月二五日に有識者懇談会なるものを開始し、「村山談話」(「侵略と植民地支配を反省」)を実質的には否定せんとしている。
 もはや安倍政権は打倒するしかない、この動きが多くの水路から始まり、大きな奔流になろうとしている。
 一つは、直面する四月統一地方選で、自公系を大敗北させ、安倍政権の土台を突き崩すことが必要だ。大阪では、安倍自民党中央が橋下・維新一派を改憲で頼もしい味方とする中で、「大阪市解体・特別区設置」案が争点となっている。大阪では、維新の策動に反対しつつ、地元自民など既成勢力との闘いも問われている。
 一つは、原発再稼動反対、とくに経産省前テント強制撤去反対の今後の大展開である。(関係記事2面)。
一つは、沖縄の闘いの全国化である。二月二二日の県民大会の朝、シュワブ基地ゲート前で、山城博治沖縄平和運動センター議長ら2名が、警備員に基地内に引きずり込まれ、後ろ手錠の虐待によって米軍側に拘束された。名護署への身柄移送では刑事特別法で「逮捕」ということになったが、翌日釈放せざるを得なかった。ゲート前の県民大会は、この弾圧に大抗議し約3000人が結集して成功した。
 このむちゃくちゃな弾圧は、米軍側の主導とも見られるが、二月十九日に内閣府沖縄事務局と沖縄防衛局が、ゲート前テントを撤去せよと文書警告していたこと等を考えると、米日当局の共謀によるものとも考えられる。いずれにせよ、米軍と日本政府の焦りの現われである。
弾圧を糾弾し、辺野古での機動隊・海上保安庁の暴力を許すな。日本の民主主義を問い、辺野古基地建設強行を止めよう。翁長知事には、埋め立て承認検証委員会の結論を早く出すよう求める。
 一つは、統一地方選後に決戦局面となる戦争法案との闘いである。とくに首都における総がかりの大衆闘争が重要となる。
 来年夏の参院選挙が決戦なのではない。それは改憲発議阻止のうえで重要だ。しかし当面の闘いで勝利的に前進しなければ、参院選の勝利も得られない。五~六月決戦に勝利しよう!