追悼・川上徹さん

 川上徹さんが、大動脈弁狭窄症・胃がん・肺炎などの合併症で一月二日に亡くなった。昨年のコレコンの忘年会では、元気が戻っているようで喜んでいたのに、残念でならない。
 一月二十四日、「川上徹さんとのお別れの会」が、日本青年館の国際ホールで開かれた。喪主は、お連れあいの川上蓉子さん。ご家族とともに、かつての全学連・民青の仲間をはじめとして三百三十名が参列した。お別れの会は、故人の人を引き寄せる魅力の集大成となり、厳粛な中にも温かさに包まれた集まりとなった。
 川上さんの名前は60年代末の学生運動の中で耳にはしていたが、出会いはコレコンの集まりであった。懐の深いというか、器の大きいというか、何ともいえぬ魅力のある人であった。しいたげられた人々に寄り添いたたかいを共にする熱き心が、その根底に秘められていた。われわれが生きた時代の左翼の中で、これほどの人はいないだろうと思われた。
 最近は、世の中の行く末に悲観する言葉が多くなっていたので、気になっていた。しかし、お別れの会にご家族が選んだ川上さんの言葉は、「社会の再建へ」であった。喪主の「お礼のことば」の中にも、「『世紀末日記』と、『夢と義侠と』…一見矛盾するような概念をどのように結びつけようとしていたのか…今となっては未完となりました」とあった。
 戦後70年の今年は、一時代の終わりであるとともに、次の時代をめぐる二つの道の激突の年になるだろう。安倍的な未来を拒否して「社会の再建へ」道を開く人々の闘いは、既に始まっている。私も、川上さんと共に「未完」を完成させる闘いに臨んでいこうと思う。(松平直彦)