年頭アピール

  矛盾激化する12・14総選挙・自公議席維持
  安倍政権は必ず打倒できる
                       労働者共産党 中央常任委員会


 旧年は、安倍首相の謀略的解散による12・14総選挙によって、自公与党が余裕の延命を果たし、二四日に自公連立の第三次安倍政権が発足するという事態で終わった。
新年は、春闘および統一地方選をはさんで、この延命した安倍政権による集団的自衛権行使のための関連法案、および日米防衛協力指針改定との闘いが山場となる。この戦争法案の通常国会提出を許さない闘いをはじめ、原発再稼動、辺野古新基地、憲法明文改憲の策動、これらを粉砕する闘いによって、安部打倒を目指すことが本年前半の課題となる。
安倍政権は必ず早期に打倒できる。自公がブルジョア議会で「3分の2」を維持していても、国民大衆「99%」との矛盾はますます激化していく。安部打倒闘争の展望と課題を、総選挙の結果から探ってみよう。
12・14総選挙は、戦後最低の投票率52・7%で、前回などの59%前後と比べても飛び抜けて低調となった。安倍の延命のための解散によって総選挙の意味が不明となり、有権者の47%以上が、安倍政権の統治に対し消極的に黙認あるいは離反したこと、これが最大の特徴であった。この中で、与党自民・公明が、前回をコピーするかのように衆院3分の2を維持するという、国費無駄使いの消耗な結果となった。
安倍政権の延命期間が、最長2年であったものを、最長4年に引き延ばしただけのことである。しかし国民との矛盾は激化し、頼みの綱の「アベノミクス」の破綻も全面的となる。安倍政権が4年もつことはありえない。
各党の獲得議席、各比例区総計得票率は次のようであった。自民党は、公示前の実勢295を四つ減らして291議席。33・1%。公明党は、四つ増やして35議席。13・7%。民主党は、十一増やして73議席。18・3%。維新は一つ減らして41議席。15・7%。次世代の党は、19から激減して2議席。2・7%。生活の党は、三つへらして2議席。1・9%。社民党は、現状維持の2議席。2・5%。日本共産党は、8議席を21議席に躍進させた。11・4%。
 自民党は、アベノミクスが破綻する前に早くやればやるほど落選が少なくなるという安倍の策略が当って、単独過半数を維持した。前途に自信がないくせ、「景気回復、この道しかない」という謀略スローガンを掲げた。
 朝日新聞の東京都での出口調査では、アベノミクスの評価については「成功」「失敗」「わからない」がほぼ三等分であるが、「成功」とみる人では62%が自民に投票し、「失敗」では31%が共産に入れている。しかし「わからない」の人でも、35%が自民に入れている。自民党はアベノミクスの争点化、原発や集団的自衛権の争点隠しによって、経済はともかく政権党に任せるしかないという消極的支持を掠め取っている。
 最大野党の民主党は、小選挙区の6割しか候補者を立てられず、総選挙を安倍政権の中間評価に堕すことに手を貸した。「今こそ流れを変える時」というスローガンを立て、「アベノミクスからの転換」を唱えたが、ブルジョア的対案としても抽象的であった。
 日共が、13年参院選の勢い(比例9・7%)を次いで、安倍政権への批判票を吸収することに唯一成功した。日共の得票推移を見ると、小選挙区比例並立制で初めて実施された96年総選挙で躍進があった。これは、自民・社会の連立政権で社会党がまったく評判を落として、日共が受け皿となったものである。その後、政権交代に到る民主の伸長、民主失敗後はエセ「三極」台頭によって、日共は長い低迷期となる。
 しかしついに、民主、エセ「三極」ともに破産して、自民批判の受け皿としての役回りが戻ってきた。これが、「自共対決」時代の実像である。
 前回総選挙の最大の特徴は、エセ「三極」の維新とみんなの比例合計29・3%が、自民を上回ったことである。その後、エセ「三極」は自民・民主離反者も含めて離合集散したが、今回は比例合計18・4%に落ち込んだ。減った分は多くが自民に戻り、一部は日共に回った。
 とくに、エセ「三極」の一部である極右・次世代の党が、壊滅的に敗北した。安倍の本音を代弁する次世代は、公明党は邪魔、次世代と安倍自民党が連立して9条粉砕というのを戦略としていた。しかし極右のシンボル田母神は、東京12区(北区など)で公明・太田に挑んだが、若い日共の池内さおり(比例復活)に粉砕されてしまった。東京の石原慎太郎、山田宏、大阪の西村真悟なども次々と議席を失った。
 沖縄の総選挙は、「本土」とまったく対照的であった。沖縄4区で仲里利信、1区で赤嶺政賢が勝利し、知事選での翁長勝利の構図「オール沖縄」が、四選挙区で自民に全勝した。
 仲井真が退任間際の十二月五日に、知事選敗北後の自らの言を翻して、辺野古工事変更申請の承認を強行した。日本政府の指令によるものであるが、総選挙では裏目に出た。この暴挙に県民の怒りは沸騰し、4区1区でも「日本政府派」に鉄槌が下された。
 以上をふまえ、どう闘っていくか。
第一には、安倍政権を包囲・打倒する広範な陣形を再構築しなければならない。「本土」で安倍の策略が効を奏したのは、「景気・雇用」では安倍をとりあえず当てにするしかなく、その危険性には眼をつぶる人々が、依然としてまだ多いからである。我々が、そうした人々をゆり動かし、ちょっとまてよ、と考え直させるだけで情勢は変わってくる。
沖縄では、辺野古新基地阻止を当面の具体的課題としつつ、「誇りある沖縄」の将来像が模索されつつある。「本土」でも、政治・社会の新しい路線を大衆的に模索しつつ、全国民的な広がりをもった民主的・左翼的な共同戦線を前進させねばならない。極右の脆弱性も明らかにはなったが、闘争の手綱をゆるめてはならない。
第二に、目に見える大衆行動を先行させることだ。わが労働者共産党は、昨年党大会で安倍打倒を当面の任務と確認し、本紙では「大衆闘争で決着をつける」と宣言した。ブルジョア選挙では、階級闘争の一時的集約はできるが、決着はつかない。本年の安倍打倒闘争を前進させるならば、改憲派の目論み(2016年参院選、2018年総選挙での改憲国民投票実施)などは完全に一掃されるだろう。
確信をもって、新年の闘いを始めよう!