経産省前脱テント裁判・第9回公判ー「結審」策動を強行
  撤去攻撃は燎原に火をつける

 十二月三日の午後、東京地裁で「経産省前・脱原発テント裁判」の第9回公判が開かれ、夜には参院議員会館で裁判報告集会が約百人の参加で開かれた。この日の裁判では、審理はこれからという段階にもかかわらず、村上正敏裁判長が結審を通告し、弁護団が裁判官忌避を申し立てるという波乱があった。
 法廷では、前回法廷で当事者参加を申し入れた43名のうち、福島の女性など6名が入廷し、双葉町から都内に避難している亀屋幸子さんが陳述を行なった。亀屋さんの陳述は、着の身着のまま転々と東京へ避難し、メディアでその存在を知って経産省テントと出会ったこと、そのテントがいかに心の拠り所となったか、を語るもので実に感動的なものであった。
 ところが、これを聞いていたはずの村上裁判長ら3名の裁判官は、一時休憩として消えたあと、戻ってきたら突然、証拠・証人調べの請求を却下する、そして「今回の法廷で弁論は終結」と発言。即座に「忌避!」と弁護士が申し立てた。このなか、裁判官は逃亡してしまった。
 民事訴訟法第26条には、「忌避の申立てがあったときには、その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続きを停止しなければならない」とある。村上裁判長は、テントが業務妨害になっているのかどうか、現場検証すらしていない。現場を見ず、証人調べもせずに、国側の書面だけで判断するなら、公正な裁判とは言えない。
 十一月二七日の進行協議では、第十回公判を二月二六日と裁判長自身が指定していた。また、亀屋さん陳述を認めるなど、我々被告側を油断させておいての、だまし討ち「結審」であった。
 夜の報告集会では、一つはこの「結審」について、もう一つは、川内原発再稼動反対の現況についての報告であった。
 大口弁護士から、忌避申立てによって、裁判は中断している状態のはずだが、これを無視し、年度内の判決強行が予想される。国=原告勝訴の判決であれば、我々は控訴であるが、仮執行宣言が付けられるだろう。仮執行=判決確定前の強制撤去を許さず、これを国内・国際的に大きな社会問題にしていく必要がある、と報告された。
 川内原発の再稼動反対については、渕上太郎さんから「川内テント」(久見崎海岸)、岩下雅裕さんから「川内の家」(薩摩川内市街)について、各現況を報告してもらった。十月・十一月の薩摩川内市・鹿児島県の「同意」強行で、地元住民のがっかり感は否定できないが闘いは続いている、一月二五日には再び全国集会を鹿児島市で行なうこと等が報告された。
 経産省前テントの闘いも、大きな転換点に来ている。撤去攻撃を逆手に取って、脱原発の闘いをさらに拡大していくにはどうすればよいか、知恵が集められ、連帯が広げられるだろう。(東京W通信員)


福島原発告訴団
 12・12東京地検包囲行動&院内集会
 地検自ら起訴せよ

 十二月十二日、福島原発告訴団らは、東京地方検察庁が厳正な捜査を行ない、「起訴」の決断を下すよう求めて、東京地検包囲行動を貫徹した。
 それは、十二月九日に告訴団が東京地検に、「東京電力旧経営陣を不起訴とした2013年9月の判断には、事実誤認がある。地検自ら起訴すべき」との上申書を提出、それに続く大衆的闘いであった。
 東電旧経営陣らは、業務上過失致死傷容疑で告訴・告発され、14年7月31日には東京第五検察審査会で、勝俣恒久元会長ら3人に「起訴相当」の議決が下っている。この議決を受け東京地検は、15年2月2日までに結論を求められている。この日程をふまえ、要の闘いとして打ち抜かれたのである。
 この日、包囲行動に先立ち、参院議員会館で院内集会が開催された。冒頭、海渡雄一弁護士は、原子力保安院の森山善範審議官が原発安全審査課長らに送ったメールを挙げ、「審議官クラスと東電役員との間で、津波対策のための追加対策は必須であるが、先延ばしすることが話し合われていた」との驚くべき事実を報告した。そして、「仮に検察が不起訴にしようとも、明確になった証拠を踏まえて、検察審査会が再度『起訴相当』の判断を下すことは明らか」と述べ、再議決による強制起訴ではなく、「検察は自らの手で起訴すべきだ」と主張した。
 また保田行雄弁護士は、「原発被災者を無視した政治が続けられている。しかし避難した飯館村民を励ましたのは、『起訴相当』議決だ。これが勝利すれば、福島からの訴えは大きくなる。東京地検に告訴団の声を届け、最後の決断を迫ろう」と訴えた。
 最後に、佐藤和良告訴団副団長が登壇し、「いよいよ決戦も決戦の時だ。2月2日まであとわずか、今日の行動で、検察に起訴するよう追い込んでいこう。」「被災者は、四度目の冬を迎えようとしている。自殺者が増え、折れそうな情況になっている。しかし東電抗議行動にも是非参加してほしい」と呼びかけ、集会は終了した。
 午後2時、東京地検前の歩道は、告訴団と支援者で埋め尽くされ、武藤類子告訴団団長の第一声で地検包囲行動が始まった。
 権力によって固く守られた地検に、「誰が原発事故の責任を取るのか!」と福島からの怒りの声が発せられた。そして「地検自らが起訴しろ!」「被疑者4人を起訴せよ!」のシュプレヒコールが検察官一人ひとりに向けられた。
 二時半、移動して東電本社前に結集した告訴団は、その日最後の東電抗議行動を開始した。
 佐藤副団長の挨拶の後、「サブドレン汚染地下水海洋放出に関する要望書」等三つの要望書が、武藤団長などから東電に手渡された。「溶け落ちた炉心で、高濃度放射性物質に汚染された地下水の海洋放出計画中止」、「汚染水対策の抜本見直し」などを求めた要請書だ。そして、東電への怒りのシュプレで行動を締めくくった。
 地検に「起訴」の決断を求め、共に勝利しよう!(東京O通信員)


12・13「反原発渋谷大行進」3800名
  川内原発再稼働反対!
   全原発廃止!


 衆院投票日を翌日にひかえた十二月十三日の午後、若者たちで賑わう渋谷・原宿地域で、川内原発再稼動反対・全原発廃止を訴える「反原発渋谷大行進」が行なわれた。首都圏反原発連合の主催で、世代を超えた3800名(主催者発表)の労働者・市民が結集した。
 安倍自民党圧勝が喧伝され、九州電力川内原発を皮切りに各地の原発再稼動が目論まれる中、安倍自公政権と「原子力ムラ」の暴挙を許さない闘いとして打ち抜かれたのである。
 大行進は、まずミニ集会で始まった。反原連のミサオ・レッドウルフさんは、「行進は、安倍政権の進める川内再稼動に反対し、全原発の再稼動を許さない闘いだ。その願いを渋谷の街ゆく人々に訴えよう!」と行動のねらいを明らかにした。
 つづいて、三人の反原連の若者が登壇し、「長い間原発が止まり、一つも動かずにやってこれた。このまま動かさずにいれば、脱原発になる。しかし、原発でもうけようとする人々が、再稼動を画策している。」「今日渋谷で、原発がいらないことをアピールして、明日の選挙に向けていこう。」「原発はあぶない!と訴えよう」と次々に思いを語った。
 集会終了後、いよいよ大行進が開始された。デモ隊は、サウンド隊を先頭に5梯団が、次々にケヤキ並木を出発した。首都圏反原連が主催する、今年最後の大規模デモだ。
 参加者は、「原発危険・安倍危険・棄権も危険」、「原発被災、福島県民の苦しみ・悲しみを忘れるな」など、手に手に思い思いのプラカードや横断幕を持って練り歩いた。原宿駅頭では、「再稼動反対!」「子どもを守れ!」などのシュプレヒコールを上げた。
ラップミュージックやドラム、チャングのリズムもにぎやかに、3・2㌔、2時間のデモを貫徹した。川内原発の来春再稼動を阻止し、全原発廃炉に向け共に闘おう。(東京O通信員)


今冬「臨泊」は越冬闘争の力で
  社会的就労の拡大求め、12・6釜ヶ崎講座学習会

 大阪市西成区の釜ヶ崎では、越冬闘争の準備がすすむ中の十二月六日、「釜ヶ崎講座・第8回学習会」が地区内の渡邉往診歯科3Fにて開かれた。
 講師は、NPO釜ヶ崎支援機構事務局長の松本裕文さん。「釜ヶ崎の今に思うこと」と題して、釜の直近の動き、支援機構の取り組みなどをスライドで紹介しながら、野宿を断ち切る支援とは何かを自らの抱負も重ねながら大いに語った。その話の概要は以下のとおり。
 ①今年も越冬の時節となった。「特区構想」の中で、行政による「南港臨泊」は打ち切りとなった。東京オリンピックや工事費の高騰などのあおりで、「新シェルター建設」入札は延びのびとなっている。今冬は、釜の仲間内の力での越冬宿泊支援となる。代替地としての今宮シェルターほか四つの施設での世話は、釜の労働者同士でやる予定だ。かって南港では、体育会系の学生を「ガードマン」として大阪市は雇っていた。本年は、特別清掃事業の登録メンバーを中心に面接・採用して、対処してもらう。この中で、労働者の意欲も高まり、仕事も拡大へつなげていけば、という立場で考えている。
 ②「西成特区構想有識者会議」の議論をへて、一部事業は予算化して動いている(街づくり合同会社設立など)。今秋以降、「街づくり検討会議」が6回もたれ、釜の諸団体・個人が集い意見を述べた。このこと自体は有意義なことだったと思う。しかし、この場で出た議論が政策として、すぐに反映してくるとは思っていない。私たち支援機構は、ワークショップをもち、個々の労働者からどうすれば日々の生活が良くなるか、意見を言ってもらっている。釜の労働者はある意味では、一方的な「聞き取り調査」にうんざりしているのではないか。だから、労働者一人ひとりがすすんで意見を堂々と述べられるような、地域内の環境づくりを強化していきたい。
 ③「困窮者自立支援法」のモデル地域ということで、西成区でも、これまで約220件の相談があった。「ホームレスにおちる前のセーフティネット」としての同法を評価したいが、釜のように日々500名以上の労働者がシェルターあるいは野宿という現実の中、それを生活再建へつなげていくという点では、同法には難点が多い。第一に、同法はホームレスには適用されないという足枷がある。しかし積極的な条項は評価しながら、就労支援に生かせたらと考える。私たちは、支援では受ける側の個性・特性を重視したい。現に支援事業として行なわれている具体策(地域内清掃、農業交流、アート事業など)に併せて、個々の就労意欲をそこなわない支援に高めていきたいと考えている。
 ④社会的就労の拡大・充実が、労働者・人を救っていく。「特掃」収入は現在3万円ぐらい。これが5~8万円ぐらいになれば、家賃を払って、つつましやかだが屋根のある生活ができる。この実態の打開のため、多様な発想で考えていきたい。就労意欲の維持向上、孤独状態の防止、そして何よりも働く誇りと活力をそこなわない支援を創りあげていきたい。
 以上の話であったが、釜ヶ崎支援機構による、野宿脱却という一人ひとりの思いを大切にしながら辛抱強く取り組んでいく姿勢を、感じとることができたのではないか。
 さて、釜ヶ崎の第45回越冬闘争がすでに始まっている。
 十二月二十一日には、ふるさとの家で、「越冬闘争支援連帯集会」がもたれた。安倍政権によるデタラメ総選挙・多数派維持によって、生活破壊はますます拡大するとみられる。これに対峙して、一人の凍死者も出さず、団結して越冬闘争に勝利しよう。
 十二月二八日夕は三角公園にて、越冬突入集会。この日から医療パトロールが始まる。人民パトロールは三十日より明年三日まで。
一月五日は早朝より、府市への要請行動(御礼参り)だ!仲間の結集を訴える。
なお釜ヶ崎講座は、十二月三十日・午後6時半より「越冬行動一日デー」、一月三日・午後1時より恒例の「釜めぐりツアー」を行なう(いずれも釜日労事務所前集合)。
(関西I通信員)