労働者派遣法の大改悪案、臨時国会の激闘開始
  改悪案阻止し安倍打倒へ

 安倍政権は、労働者派遣法の大改悪案を今臨時国会に再提出し、十月二八日に本会議で趣旨説明、二九日から衆院厚生労働委員会での審議入りを強行した。
 昨年来の派遣法改悪案は、今春の通常国会では、条文に欠陥が見つかり、また介護保険の利用者負担を増やす等の「医療・介護総合確保法」の成立が優先されたことによって、一頓挫していた。しかし安倍政権は、アベノミクスという虚構が崩壊しつつある中、労働者使い捨ての推進だけは強行しようとしている。この派遣法改悪案は、「臨時的・一時的」という現行派遣法の原則を否定し、ずうーっと派遣・なんでも派遣を大っぴらに可能とするものである。均等待遇も実効策はまったく無い。
 派遣法をめぐる経過では、08年米国発金融恐慌による「派遣切り」によって、労働者派遣制度が社会問題化し、09年政権交代によって、民主党主導で派遣法改正案が提出された。資本は、派遣は使い手が悪くなったとして、「派遣」から「請負」などへの偽装的転換を進めた。その後、この不充分な改正案は成立したものの、施策が進まないうちに、安倍自公政権の復活となってしまった。
その第二次安倍政権は、アベノミクスによって「世界で一番企業が活動しやすい国にする」として、再び雇用破壊の大反動を開始した。近年の非正規雇用の拡大は、定年後の非正規再雇用が大きく影響しており、派遣労働者が大きく増えたわけではない。しかし今、安倍政権は派遣会社と派遣先大企業のために、派遣拡大の大逆行をやろうとしている。
この派遣法改悪案を、政府・与党は十一月七日までに衆院委員会で強行採決し、会期末の十一月二九日までに成立させんとしている。
 これを許さず、昨秋来の闘いがようやく燃え広がりつつある。いまや、派遣法改悪阻止!に続いて、安倍政権打倒のスローガンが加えられるべきであろう。
 拙速な派遣法国会に対して、まず審議初日の十月二九日、「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション」(全労協、全労連、独立単産など)が、国会前座り込み行動などで闘いの火蓋を切った。
 この日は連合も、800人規模で国会前座り込みを行なった。六年ぶりの国会前座り込みといわれる。連合は、原発反対や集団的自衛権行使反対など内部不一致課題では、まったく機能しないが、このかん労働規制緩和反対ではそれなりの行動を起こしている。闘いの拡大によって、連合や民主党を、安倍政権と徹底対決せざるをえないようにさせることも重要だ。
 派遣法改悪案を廃案にさせ、安倍政権を打倒しよう!(A)
 

札幌
  10・18~19コミュニティ・ユニオン全国交流集会
  あらゆる働き方に権利を!

 十月十八日・十九日の両日、第26回コミュニティ・ユニオン全国交流集会が64団体、310名余の仲間を集めて、札幌市で開催された。
 一日目は、午後一時からの全体集会の後、第26回コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク総会が開催された。
 総会では岡本事務局長から、2014年度の活動報告と2015年度の活動方針が提起された。活動報告では、安倍政権による労働者派遣法大改悪案など労働分野の規制緩和を許さないたたかいや、過労死防止のたたかいなどを進めてきたこと。また、各ユニオンが創意をこらして街頭での賃金アンケートを行ない、圧倒的多くの労働者の賃金が上がっていないことを暴露し、「最賃いますぐ時給1000円に!」のキャンペーンに結びつけてたたかってきたことなどを報告した。
 活動方針では、「あらゆる働き方に権利を!」「生活できる賃金と均等待遇を実現しよう!」を合言葉に、コミュニティ・ユニオンを拡大し、社会的発言力をいっそう強くしていくこと等を提案した。
 活動報告と活動方針は圧倒的拍手で確認され、採択された。続いて新しい役員が提案され、圧倒的な拍手で承認された。
 その後、札幌地域労組や名古屋ふれあいユニオンなど五つのユニオン・団体から、特別闘争報告がなされた。それぞれ特色のあるたたかいの報告であったが、東京過労死を考える家族の会からは、十一年間にわたる過労死をめぐる裁判をたたかいながら、超党派の国会議員に働きかけて、今年「過労死等防止対策推進法」を成立させたことなどが報告された。
 続いて記念講演に移り、「労働組合は必要とされているのか――反すう、そして確信へ」と題して、北海道学園大学の川村雅則准教授からの問題提起がなされた。川村准教授は、札幌市の公契約条例制定運動などで、札幌地域労組のメンバーと連携して活動してきた方。
 講演では、多くの労働組合が労働者一人ひとりの権利や生活を守る活動をなし切れていないなかで、いかに労組がその役割を果たしていくべきか、が提起された。今、多くの学生たちが労働者の権利について無知にされ、権利の侵害に対して、いかにたたかうか全く教えられていないままに社会に出されており、若い労働者が労働組合と結びつく機会が狭められている。地域ユニオンは地域の大学や高校と連携を図り、学生に権利を知らせ、たたかい方を教える努力をもっとすべきではないか、との課題が投げかけられた。これからのコミュニティ・ユニオンの大きな課題として受け止められるべきだと思う。
 夜は、夕食を兼ねて交流会となった。アイヌ民族による歌と踊りが紹介され、各テーブルでは北海道のご馳走が並べられ、大いに飲み、かつしゃべった。恒例になった各ブロック毎のユニオン紹介も行なわれた。
 二日目は、11の分科会に分かれて、課題毎に細かな討論が積み重ねられた。
 最後に全体集会に移り、各方面で暴走を始めた安倍政権に対し、一つひとつの課題に立ち向かうとともに、全国でコミュニティ・ユニオンの組織を拡大していくことを誓いあった。
 来年は、愛知県で全国交流集会を行なうことを確認した。(ユニオン労働者T)