10・14第8回「脱原発テント」裁判
  43名が当事者参加申し立て

 十月十四日午前、経済産業省前「脱原発テント」に対し国が撤去と損害賠償を求めている裁判の第8回口頭弁論が、東京地裁で開かれ、午後には参議院議員会館で、約150名の参加で報告集会が行なわれた。
 この公判前の十月十二日の夕方、ネット右翼(「新社会運動」=「在特会」)4名および見張り2名が、テントを襲撃し、とくに第2テント(女性テント)に侵入して、内部をめちゃくちゃに破壊する違法な暴力襲撃を凶行した。
 その一週間前にも、街宣右翼が15台も押し寄せ、脅迫行為を行なっているが、今回のような右翼(と言うより差別排外主義暴力集団)による公然たるテント破壊行為は、初めてのことである。
 裁判報告集会では第一に、この右翼襲撃について報告された。当時テント当番で襲撃を現認した乱鬼龍さん(川柳作家)が、「右翼の襲撃は、原発再稼動に向けて力づくでも叩きつぶそうという、上からの意志が働いていると見るべき。これが繰り返されるかどうか。私たちの対処が必要になる」と報告した。なお襲撃翌日の十三日には、テントひろば運営委員会が、あらゆる攻撃に屈せず非暴力・不服従で闘い続けるとの声明を発した。また、カンパなど支援が即座に寄せられ、テントは修復された。
 第二に、裁判に43名が参加申立てをすることが報告された。これは被告とされた2名(正清太一さん、渕上太郎さん)だけが「占有者」ではなく、フクシマのおんなたちを含む43名が皆占有者であり、当事者だとするもの。申立てが受理されると、裁判闘争は被告テント側がこれからは原告として攻めるような、第二段階に入ると言えるだろう。
他にこの日の法廷では、テント設置場所は小公園とされていたもので、経産省が業務を行なう場所ではないことや、公共性をもった権利行使に対する損害賠償は、スラップ訴訟で権利濫用であるなど、重要な争点も提起されている。
報告集会では他に、「川内テント」が九月二六日に設置(川内原発現地の久見崎海岸)されたこと。東海第2原発再稼動が争点の、茨城県議会選挙(十二月十四日投票)での候補5名の支援。河合弘之弁護士が初監督の、映画『日本と原発』が十一月八日から公開など、多彩な報告がなされた。
次回テント裁判は、十二月三日。(東京W通信員)


10・29第2回函館市大間原発裁判
  地方自治の当然の権利だ

 十月二九日、函館市が下北半島・大間原発の建設中止などを求めて、国と電源開発㈱を訴えている裁判の第2回公判が東京地裁で開かれた。夕方には、「大間原発反対関東の会」など市民側の主催によって、参院議員会館にて約百名参加の裁判報告集会が行なわれた。
 裁判報告集会では最初に、工藤寿樹函館市長インタビュー(於・日弁連人権大会)が上映された後、弁護団の海渡雄一弁護士が、七月三日の第1回公判以降の経過、この裁判の特徴(自治体が原発差止めを求める初の裁判であること、国側は自治体に出訴権は無いとしていること)を解説した。
 それを受けて中野宏典弁護士が、本日陳述した第2準備書面を解説した。
準備書面は述べる。福島第一原発事故は、「地方自治体そのものを廃止するに等しいか、あるいはこれに準ずるほどの極めて重大な損害」を与えた。自治体には「存立維持権」(団体自治、公有財産および地域)がある。したがって、「極めて重大な損害を被るような施策を国が実施することは地方自治の本旨に反し」ており、当然自治体には司法判断を仰ぐ権利がある、と。
またドイツでは、ミュルハイム・ケアリッヒ原発の停止を判決した裁判(98年1・14連邦裁判所)で、マイエン市が原告となっていた例が示めされた。
続いて、市民訴訟の方の竹田とし子さん(大間原発訴訟の会)が、長期の大間原発反対運動、とくに函館地裁での2010年7月提訴以降の経過を報告。裁判長が代わって、十月の第14回公判では、意見陳述させない、傍聴席減らすという逆行があったが、来年度にこの裁判長はまた代わること、来年三月二七日・第15回、六月四日・第16回と裁判闘争は続くこと、原告一千名の目標まぢかにして第6次原告を募集中、と語った。
さて、函館市原告の方の裁判は、法律論争としては、「法律上の訴訟性」とか「原告適格」とか難しい面もある。しかし大間原発の特段の危険性(プルトニウム混合燃料をフル使用する世界初の原子炉であること、しかも原発をやったことのない会社が、実験炉・実証炉を飛ばして商業運転する)を考えれば、自治体がその住民の生命・財産・権利を守るために、提訴を含めて行動することは、あまりにも当然である。
次回の函館市大間裁判は、十二月二五日・東京地裁。(東京W通信員)