東海第二原発は廃炉しかない
   老朽原発の再稼働は論外―8・15東海村行動

 四月十一日、安部政権は「エネルギー基本計画」を閣議決定し、原発再稼働・新規建設、原発輸出、核燃サイクル推進に大きく踏み出した。そして現在、川内原発の再稼働を強行せんとしており、これを全原発再稼働の突破口にせんと画策している。
 一方、茨木県東海村でも昨年九月、村上村政から山田村政に交替、村上達也前村長の掲げた脱原発の基本が、揺らごうとしている。
 東海村には各種の原子力施設が集中し、核兵器級を含むプルトニウムが大量に保管されており、またその施設の一つ、日本原電㈱・東海第二原発は首都圏にもっとも近い原発であり、その苛酷事故は、首都圏を無人地帯と化す危険性を十分にもっている。
この東海第二原発をめぐる重大な局面を迎え、八月十五日、反核平和運動・全国ピースサイクルの一環として、「20年目の《六ヶ所村ピースサイクル》in東海村行動」が取り組まれた。

  揺らぐ原発不要―山田村政

 この一日行動には、首都圏各地や地元茨城県住民など30名弱が結集し、東海村役場訪問、東海第二原発・日本原子力研究開発機構要請行動、地元住民との交流会が行なわれた。
 最初の訪問地の東海村役場では、山田村長が脱原発首長会議に参加していないこと、「原発に係わる問題」には、村政全般の「意見に耳を傾ける」目的で、月一回、スーパーに場を設けていることなどが明らかになった。出向かなければ願いが届かないなど、新村長の脱原発に後ろ向きな姿勢は、職員の受け答えにも反映し、歯切れの悪い回答になった。

  再稼働画策の日本原電㈱

 次いで訪問した日本原子力発電㈱・東海第二原発では、昨年の対応とは打って変わり、机・椅子が用意され、丁寧な対応がなされた。日本原電では、住民説明会などに備えて専門の部署を設置、技術面にも詳しい係員を配置して、再稼動への批判を予測したパンフが作成されている。
 東海第二原発は、再稼働をねらって今年五月二十日、新規制基準への適合性確認を受けるため、原子力規制委員会(以下規制委)に申請を行なった。そのために日本原電は、地元住民からの意見を聞いた形をつくって、再稼働に突き進もうとしている。七月から九月まで、1地区30名程の住民説明会が実施される。そこでは、批判を封じ込める目的で会社OB等が参加し、スタッフも強化して、技術論では参加者が懐柔される仕組みになっていると聞く。
 東海原発再稼働は、新たな「安全神話」を作り出し、3・11震災時の東海原発「綱渡りの三日半」を否定し、老朽原発廃炉の拒否などを掲げて、強引に推し進められようとしている。
 日本原電は新基準に基づく工事について、「防潮堤建設・水密扉の設置…配管支持部の強化、ケーブル火災防止対策等を計画し、一部実施し」ているとする。「また、重大事故発生時の対応として高・低圧電源車の配備、大容量ポンプ車配備…フィルタ付ベント装置の設置工事等」「規制委の基準に基づき作業を実施、安全と思って進めている」と回答している。そして「原子力規制委員会に対し『安全審査』の申請を行なっております」と言ってのける。
 しかし原発は、人類にとって制御不能な危険な装置である。地震国日本では特にそうである。げんに規制委は「絶対安全かと言われるなら否定している」と明言、「規制基準への適合審査であって、安全審査」では決してないと表明している。
しかし日本原電パンフ『東海第二発電所の安全対策について』では、この「安全対策」なる用語が多用され、住民を欺き強引に再稼働せんとする姿勢が透けて見える。東海原発再稼働は、新たな安全神話によって推進されている。
 さらに日本原電は、福島第一原発1号機の事故を津波が主要な原因としてとらえ、地震による配管や機器の損傷を重視してはいない。「配管等が破断しても、冷却する装置が充実しているので安全」と説明さえしている。しかし、「配管と配線が絡み合う原発は、地震に弱く、直近で大地震が起これば、いかに耐震補強していようが、破局的事態は避けられない」、これがまともな専門家の意見である。
 また、日本原電は、福島事故と同様の事態になるおそれを危機一髪で回避した(綱渡りの三日半)、との報道を否定している。そして3機中事故を免れた2機の非常用発電で、「冷却停止に向けて安定した状態を保つため、現状の冷却方法を継続した方がより適切であると判断して、慎重に操作した」と強弁した。しかし、より高い津波におそわれれば、全電源喪失、大惨事の危機一髪の事態だった。また事実を隠蔽しても危険な状態にあった事実を否定することはできない。
 そればかりではない。東海第二原発は、廃炉の要求に対して、運転開始三十年で「高経年化の技術評価を行ない…長期保全計画に基づいて保守管理を適切に実施」、「機器については…補修等を適宜実施して」いるとし、原発の「健全性に…十分自信を持っており、現時点で廃炉にする考えは」ないと表明している。老朽化した原発の再稼働を明確にしたのである。
しかし原子炉は、核分裂にともない中性子が照射されることによって確実に劣化し、もろくなると言われている。非常用冷却システム(ECCS)などから何らかの理由で冷却水が炉心に注水されれば、原子炉の容器が破壊されるおそれがある。老朽化した原発では、中性子照射脆化が進行し、大惨事を招く危険性が増大する。第二原発再稼働は、暴挙以外の何物でもない。
この日の東海村行動では、日本原電側の再稼働ありきの対応に、参加者は次々に反論し、最後に、ピーサイクル全国ネットワーク共同代表の吉野信次さんが、「再稼働は絶対行なわないこと」、「廃炉への行程表の提示」をきっぱりと要求。第二原発への行動が終了した。

  住民の反撃は準備されている

 東海第二原発での闘いを終え、自転車隊を先頭に最後の行動、交流会が実施される地域コミュニティセンターへと急いだ。
交流会には、東海村を始め、近隣地域から闘う仲間が結集、活発に意見が交わされた。参加者からは、「脱原発の声が後退している。それは、老朽化した原発を動かすはずがないと思いこんでいること。経済的影響を過大に評価していることが原因」との厳しい現状が語られた。また一方では、「原発の経済的影響が東海村では小さい事や、福島の現状を話し、避難がいかに困難かを説明したり、過疎化をさそう物こそ原発と説明して、運動を広げている」との発言があった。
運動は創意工夫をこらし、したたかに展開されている。そして女性の仲間から、「原発再稼働を争点に、地方選に打って出る。仲間も集まりつつある」との力強い発言がなされた。反撃の闘いが地域に根ざして着実に準備されつつある。
 東海村1日行動は、東海第二原発再稼働阻止・廃炉の闘いを一層地域に根づかせ、連携を強めて、六ヶ所への行程につなぎ、終日行動が終了した。(東京O通信員)


8・30再稼働反対☆国会前大集会に7千人
  川内再稼働反対9・28鹿児島へ

 川内(せんだい)原発再稼動阻止のための、現地鹿児島での8・31川内行動を前に、八月三十日の国会議事堂前では、「0830再稼動反対☆国会前大集会」が開催され、約7000人(主催者発表)が結集した。
 集会は首都圏反原発連合の主催で開かれ、川内原発再稼動阻止の声と共に、国会・首相官邸前での脱原発行動への規制の検討を始めた自民党に対する、抗議のコールも上げられた。
 冒頭に首都圏反原連のミサオ・レッドウルフさんが、「原発を絶対に止めるという固い決意で、デモや集会を続けていく」とアピール。
 次いで市民団体、政党の決意表明。協力団体の一つの「さようなら原発一千万人アクション」の鎌田慧さんが挨拶。
鎌田さんは、七月三十一日に東京検察審査会が、東京地裁が不起訴とした福島刑事告訴の裁判について「起訴相当」を議決したことを踏まえ、「罪があったら罰するのが当然。再稼動を認めることは、国家の犯罪を認めることだ。東電は危険を知りながら、安全対策をしなかった。そのため、子どもたちの健康が奪われ、仕事も奪われたのに罰せられない。この不正は決して許さない」と訴えた。また、「川内原発の再稼動阻止のために力の限り闘う。核兵器を持つことも遮断する」と力強く発言した。
また、再稼動阻止全国ネットワークの柳田真さんは、「川内原発の地元では、85%の人が再稼動に反対している。それを無視し、火山の危険も無視して再稼動を進めようとしている。噴火災害、避難計画の不在、これらも無視して適合審査のみで再稼動を承認する機関ならば、規制委員会の廃止を求めるしかない」と訴えた。また、「全国で運動が高まり、四国の伊方原発では、昨年十二月松山市に8000名が参加。現地集会の参加者が、どこでも何倍にもなっている。」「再稼動を止めるには、原発現地の闘争を盛り上げる、これが大切だ」と述べ、闘争の課題を鮮明にした。
経産省前「脱原発テント」からは、三上治さんが発言した。「テント広場は、九月十一日で3周年を迎える。いろいろあったが、無言の励ましがあってテントを守り抜いてきた。困難があっても闘い抜く。故郷では、子どもたちが原発の話をし、テントのことも話してくれた。闘いは、多くの人たちの間に浸透している。孤立感がある、しかし孤立してはいない。民衆は行動を見守り、連帯感をもっている。一緒にがんばろう」と語りかけた。
夕方5時からの三時間に渡る国会正門前集会は、ライブ、コント、シュプレヒコールなどを挟んで繰り広げられた。「川内原発再稼動反対!」「廃炉!」の声が響き渡り、反動安倍政権を追及、翌日の現地行動へとつないだ。
なお、全九州規模での「原発いらない8・31川内行動」は、JR川内駅西口前広場に約1800名が参加、再稼動を認めない地元の意思を改めて示した。また来る九月二八日には鹿児島市の天文館公園で、全国結集の再稼動反対大集会が行なわれる。(東京U通信員)


セオル号特別法の制定を
  7・27統一マダン東京  韓国8・15汎国民大会

 今年四月に韓国でセオル号沈没の大惨事が起きたが、日本と韓国の民衆間の連帯運動においても、セオル号特別法の制定が重要なテーマとなっている。
 日本では七月二七日、第21回目の「統一マダン東京」が、昨年同様、都内・日暮里駅前イベント広場で行なわれた。
 開会前の夕立で開催が遅れたものの、続々と人々がつめかけ、入り口に置かれた「セオル号特別法制要求一千万署名」にサインして、会場に入っていく。
 ヤン・ビョンヨン韓統連東京代表は、開会あいさつで、セオル号沈没事件での朴クネ政権の対応を批判しつつ、「統一マダン」の主旨である自主的民主的な南北統一の実現を訴え、これからも平和で差別のない社会実現のために、頑張っていきたいと述べた。
 歌や舞踊などが続く中、韓国からの「6・15合唱団」が、統一メドレーを披露しながら、セオル号特別法制要求一千万署名への協力を訴えた。
 メインゲストの朴保(パク・ポー)さんの、熱気あふれるライブが行なわれたが、駅前の開放された空間のためか、生楽器であったが最後を飾るに充分過ぎるくらいの盛り上がりを見せた。
 さて、韓国では、旧日本帝国主義の敗戦の日・八月十五日に、ソウル駅前広場で「日本の集団的自衛権反対、朝鮮半島の平和統一のための汎国民大会」が、5千名の参加で開催されている。日本からも二十名以上が参加し、日韓民衆連帯全国ネットワークの渡辺健樹共同代表が挨拶を行なった。
 またそれに引き続いて、ソウル市庁前広場には5万人余りが結集し、「セオル号汎国民大会」が開催され、「4・16惨事真実糾明と安全な社会建設などのための特別法」(セオル号特別法)制定を求め、真相究明に逃げ腰の朴政権に迫る大集会を実現している。
 セオル号特別法一千万署名も、韓国で約半数近く集まっているが、いっそうの闘いを通して、韓国内ばかりではなく国外でも(日本では各地の統一マダン等で実施)取り組まれつつある。
 韓国の非人権的な新自由主義勢力を追い込むためにも、日韓民衆連帯でセオル号惨事真相究明を実現しよう。(東京Ku通信員)