8・13~15「第43回・釜ヶ崎夏祭り」盛り上がる
  安心して働き生活できる釜ヶ崎を

 今年も八月十三日~十五日にかけて、大阪・西成の釜ヶ崎では「第43回釜ヶ崎夏祭り」が開催された。(八月十二日には前夜祭)
 今年の「釜夏祭り」は、七月一日の安倍政権による集団的自衛権行使容認の閣議決定の強行、川内原発の再稼動に向けた動きの加速化、京丹後の米軍Xバンドレーダー基地の着工強行、沖縄辺野古の新基地建設の着工強行という攻撃があり、そして何よりも、イスラエルによるガザへの軍事侵攻―パレスチナ人民の大虐殺という緊迫した情勢の中で、開催された。
 さらには、釜ヶ崎労働者にとって重要な問題である「西成特区構想」が、そのいくつかの施策が具体的に始まり、労働者の目に見える形で動き始めた時期でもあった。
 こうした中で、主催の「夏祭り実行委員会」は民主的な討論を積み重ね、「安心して働き生活できる釜ヶ崎を実現しよう」、「止めよう原発・改憲・戦争への道」の2つのメインスローガンと、いくつかの重要なスローガンを決定し、夏祭りを準備した。
 三角公園ステージには、パレスチナ人民への連帯をこめて「パレスチナの旗」が掲げられ、前夜祭での集会や、各団体のアピール、掲示板でも各々の闘いが呼びかけられた。
会場には、ふだん飯場ぐらしをしている仲間や、生活保護に移り釜ヶ崎の外で生活している仲間や、東北に長期出張している仲間も含め多くの人々、支援の人々が集まった。仲間たちの手作りの「屋台」が立ち並ぶ中、「常連さん」によるステージを楽しみ、のど自慢大会、スイカ割り、綱引き、すもう大会、そして盆踊りを楽しんだ。
 一番盛り上がったのは、十五日に行なわれた「31年ぶりの加藤登紀子さんのステージ」だった。
 加藤登紀子さんの登場とともに突然降り出した大雨の中にもかかわらず、公園を、そして周りの道路を埋め尽くしたずぶぬれの労働者・住民に、登紀子さんは、「なんで私は31年間この場所に帰って来なかったんだろう。もっと早く来れば良かったよ。来年もきっと来るよ!」と語り、この日、最も大きな拍手喝采が起きた。(この後、彼女は夜の慰霊祭にも参加してくれた)。
 さて、こうして作り出した団結を、さらに打ち固め、秋期の闘いを発展させる必要がある。
 沖縄では八月十七日、政府・沖縄防衛局は辺野古新基地建設に向けて、2004年以降行なえなかったスパット台船の設置作業を強行し、翌十八日にボーリング調査(海底掘削)をついに強行した。海上保安庁の艦船・職員を法的根拠なく大量動員し、調査中止を求める仲間たちを暴力的に排除して強行している。
 また、イスラエルによるガザでのパレスチナ人民への虐殺が、続けられている。(すでに3000人以上の子どもが犠牲になったとも言われている)。
 沖縄の民衆の闘い、パレスチナ人民の闘い、そして原発再稼動阻止を闘う仲間たちとしっかりと団結して、反戦・反基地闘争、反原発闘争を闘おう。安倍反動政権を打倒しよう。(関西S通信員)

  釜講座が「特掃ツアー」「街歩きツアー」

 釜夏祭りの期間中、「釜ヶ崎講座」による八月十四日の「特掃見学ツアー」、十五日の「釜ヶ崎街歩きツアー」が行なわれた。
 「特掃ツアー」は、5名の参加で、この日の特別清掃事業の現場、大阪市旭区方面へおもむき、事業委託者のNPO釜ヶ崎支援機構の好意を受けて、除草作業の手伝いを行なった。昼過ぎには、雑草が詰め込まれた袋が山ほど積上げられ、釜の労働者の団結と集中が垣間見られた。
 その後、釜へ戻って、釜ヶ崎日雇労働組合の佐々木書記長を囲んで、ミーティングを行なった。佐々木さんは、「大阪市内に住んでいて六十歳以上なら、特掃の仕事へ来れるのだが、輪番で、わずかな日数しか働けない。この問題を根本的に解決し、釜ヶ崎の労働者の将来を拓くために、我われの闘いはある」、また、「西成特区構想に我われが反対しているのは、労働者の問題が抜けているから。橋下市長の出直し選挙に5億、釜の街の監視カメラ増設に5億、これだけのカネがあったら、労働者が助かる施策はいくらでも打てる。就労の仕組み作りを、これからも要求していく」と語った。
 十五日は、夏・冬と恒例の「釜ヶ崎街歩きツアー」。今回は40名越えの大盛況で、案内人・水野阿修羅さん提案の、特区構想の関連地めぐりであった。
 西成総合センターの求人窓口付近では、居合わせた労働者が、「求人広告はあっても、仕事にはなかなかありつけない」と説明してくれる場面もあった。
センターの二階は、外より涼しくて広く、多くの労働者が集まっていた。そこで、ツアー後の質疑応答。労働者のアルコール依存への対処は? 釜の子どもたちの生活は? 生活保護受給についての考え方は?などの質問に、水野さんや講座代表の渡邉さんが、ていねいに答えていた。
また釜ヶ崎講座は、夏祭り期間に、第7回学習会冊子(「改正生活保護法と生活困窮者自立支援法の問題点は?」講師・稲葉剛)を販売した。講座は、広範な人々と釜ヶ崎との接点づくりに、いっそう力を注いでいくだろう。(関西I通信員)