閣議決定で「戦争する国」にするな!6・17大集会
  戦場で死ぬのは君だ!

 六月十七日、東京・日比谷野外音楽堂の内外で、集団的自衛権行使容認に反対して「閣議決定で『戦争する国』にするな!6・17大集会」が開催された。集会は、135団体で構成する「解釈で憲法9条を壊すな実行委員会」の主催で行なわれ、約5000名が結集した。
 閣議決定強行に向け、与党協議が続く中での開催に、主催者を代表して高田健さん(許すな憲法改悪・市民連絡会)が、「『新たな戦前』という時代を迎えるかもしれない。草の根の市民運動で首相の企てを止めよう」と宣言、集会が開始された。
 政党あいさつ(社民、共産、民主)に続き、ゲストスピーチとして池田香代子さん(翻訳家)が発言。「首相は、過去の憲法解釈の積み重ねを一気に壊そうとしている」、「民主主義と平和を守るために立ち上がろう」と訴えた。
連帯発言は、日弁連憲法対策本部、立憲デモクラシーの会など。戦争させない1000人委員会からは、事務局長代行の藤本泰成さんが、「アジア諸国との対立を煽り、戦争する国にするためのポイントは、①専守防衛を放棄し集団的自衛権行使を容認させること、②戦争する国民づくり・教育改悪、③戦争するための施設・靖国だ。安倍は、それらを実現しようとしている」、「安倍の行動の意図を見極めなくてはならない」と指摘した。
 次いで、元自衛隊3等陸曹・レンジャー隊員の井筒高雄さんが登壇した。井筒さんは、「入隊すると始めに遺言を書く。持ち物を誰に引き取ってもらうのかも話し合った。それからは常に死を感じていた。それが戦争だ。安倍はそのことを何も分かっていない」、「自分が好きな戦争を、国民に強いるのは政治ではない」、「現行憲法では戦争はできない」、「一人ひとりが、本当に戦場で死ぬ決意があるのか。自分のこととして考え、行動しよう」と込み上げる思いを参加者にぶつけた。会場からは、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
 井筒さんの力強いアピールを受け、参加者は国会請願と銀座方面の二手に分かれて、デモ行進に出発した。集団的自衛権行使は認めない!閣議決定をやめろ!戦争反対・9条を壊すな!の声が、国会周辺・都心に響き渡った。道行く人々に、9条改憲・戦争する国が目の前にあることを訴えたのである。
 また、これに先立つ六月十日、「九条の会」は、東京・渋谷公会堂で、発足十周年講演会「集団的自衛権と憲法九条」を開催、会場満員の参加者が雨のなか詰めかけた。
 集会には、坂田雅裕・元内閣法制局長官のビデオメッセージが寄せられ、金泳鎬(キム・ヨンホ)さん、池田香代子さん(ドイツ文学翻訳家)、また、九条の会呼びかけ人である大江健三郎さん(作家)、奥平康弘さん(憲法研究者)、澤地久枝さん(作家)らが講演した。そして、熱のこもった講演に会場は一体化し、「戦争する国」を許さない決意が固められた。
 集会の締めくくりに、小森陽一事務局長が登壇。「全国7500の九条の会、その立ち上がりが見える取り組みを、全国の人々と相談して実現する」、「全国一斉の九条の会・共同行動を近いうちに提起する」と呼びかけた。(東京O通信員)


6・12戦争をさせない全国署名提出集会・国会包囲抗議行動
  自治労、教組は底力を


 六月十二日の夕刻、東京・日比谷野音において「6・12戦争をさせない全国署名提出集会」が約3000人(主催発表)で開かれ、続いて「国会包囲抗議行動」が行なわれた。主催は、戦争をさせない1000人委員会。
 集会では、鎌田慧さんが主催者挨拶。三月から各地で集めた「戦争をさせない全国署名」175万余筆の提出行動を、昼間行なった。衆参議長は快く受け取ったが、首相官邸は受け取りを拒否した。安倍政権の主権者無視の姿勢が、ここでも示されたと報告した。
 社民、共産、民主の政党挨拶の後、1000人委員会事務局長の内田雅敏さんが、三月八日結成以降の経過報告。発言では、おなじみの大江健三郎さん、落合恵子さんの他、香山リカ(精神科医)、樋口陽一(憲法学者)、菅原文太(俳優、農業生産法人代表)の各氏が集団的自衛権行使容認反対!を語った。トラック野郎の菅原文太もいまや八十歳だが、「戦争絶対反対、命がけでやりましょう!」と訴え、大きな拍手であった。
 参加者は集会後、国会周辺に移動し、平和フォーラム参加の自治労、日教組、全水道など、また全労協などを主力に国会包囲抗議行動を行なった。
 その後、「戦争をさせない1000人委員会」は全国署名を継続するとともに、火曜・金曜午前に定例閣議が行なわれる首相官邸に対して、官邸前緊急行動を持続した。また、「解釈で憲法9条を壊すな!実行委」も官邸・国会前行動を続け、両者の行動が呼応し合いながら、六月三十日~七月一日の大行動に発展していった。(東京A通信員)


全国でひろがる集団的自衛権行使反対-九州・福岡
  改憲阻止は自治体から

 安倍政権が集団的自衛権行使の閣議決定を強引に進めようとするなか、九州・福岡でも、この解釈改憲を許さない運動が広がっている。
 六月十五日には、「戦争を許さない福岡県民委員会」が幅広い結集をめざして研究者・文化人・民主団体・労組などによって立ち上げられ、その発足集会が開催された。定員700人の会場をあふれる人々が結集した。
 発足集会は、組坂繁之(部落解放同盟中央本部委員長)呼びかけ人共同代表の挨拶で始まり、鳥越俊太郎氏と菅原文太氏からの連帯メッセージが紹介され、民主党県連、社民党県連の挨拶が続いた。次に、斎藤文男九大名誉教授が基調講演を行ない、田中隆一(弁護士)事務局長より「戦争をさせない全国署名」の取り組みの行動提起があり、最後は富永桂子(福岡大学講師・久留米市男女平等政策審議会委員)呼びかけ人共同代表による団結ガンバロー三唱で気勢を上げた。事務局は、自治労県本部に設置された。
 さっそく自治労県本部は、憲法遵守義務を負う自治体労働者の立場での、学習会や街頭宣伝を展開するとともに、各単組では「戦争をさせない全国署名」の取り組みを、組合員1人5筆の目標で開始した。
 六月二十日には、福岡市中心部の公園で、県内各地の護憲団体で構成する「九条の会県連絡会」主催の市民集会が開催され、約300人が結集。石村善治(福大名誉教授)代表は「戦争と平和の瀬戸際にある」と訴え、「集団的自衛権の行使を容認するいかなる行為にも反対する」決議を採択し、デモ行進を行なった。
 翌二十一日には、東区市民センターにて、「東区九条の会」の主催での、砂川事件元被告の武藤軍一郎氏(九大名誉教授)の講演会が開催された。
 武藤氏は大学生だった1957年、米軍立川飛行場の拡張反対闘争(拡張先が砂川町のため砂川町議会と地元住民が反対し、砂川闘争と呼ばれた)に参加し、不当逮捕された。一審は無罪判決(米軍駐留は9条違反とする歴史的な判決)であったが、最高裁は1959年に一審判決を破棄し有罪とした。
 ところが最近になって、当時のマッカーサー駐日大使と田中耕太郎最高裁長官が裁判に関して密談していたことが明らかになったため、武藤氏ら元被告4人は今年六月、「判決は不公平で無効」として東京地裁に再審を請求している。
 講演で武藤氏は、砂川事件を振り返り、米国が干渉することで憲法解釈がねじ曲げられた真相を語り、「憲法は個別的自衛権さえ認めていない」と強調した。
 六月二四日には、博多湾の埋立などの開発に反対する「博多湾会議」など五つの市民団体が、「憲法解釈による集団的自衛権の行使に反対する意見書」を国に提出することを求める請願書を、福岡市議会に提出した。去年の九月以降、九州では同様の請願書や議員による意見書案が提出されたのは、46議会に及ぶ。その多くは自民党系の多数派議員によって否決されたが、福岡県では太宰府市・中間市・志免町・水巻町・苅田町、佐賀県の大町町、長崎県の長与町の7議会では可決している。大町町議会では、自民党系議員が多数派を占めるも全会一致で可決している。この意見書採択の動きは、六月三十日可決の沖縄県議会をはじめ全国に広がっている。
 また、公明党議員が提案した「慎重審議」を国に求める意見書は、九州で3議会が可決している。しかし、大牟田市議会では昨年九月に集団的自衛権行使反対の意見書が採択されるも、緊迫した情勢の中で今回六月に再び意見書採択が提案されると、公明党が一転して反対に回って否決されるなど、「平和の党」あるいは「中央は自民党寄りでも地方は反対」と見られがちな公明党の、その化けの皮が剥がされつつある。
 結局、公明党の背信行為で閣議決定されてしまったが、自衛隊法などが改悪されない限りは、その実効性はないのである。全国各地からさらに、引き続き集団的自衛権行使反対の運動を広げていこうではないか!(九州M通信員)


6・26沖縄とつなぐ東京東部沖縄集会
  7月辺野古ボーリング調査阻止!

 六月二六日、普天間基地閉鎖!沖縄―辺野古・高江―支援連帯!辺野古新基地建設阻止!をかかげて「沖縄と繋ぐ6・26東京東部沖縄集会」およびデモが、江東区亀戸文化センターにて、約200名の労働者・市民の結集で開かれた。主催は、沖縄連帯東部実行委。
 集会は、寺島さん(地公労)の司会・開会挨拶で始まり、「1995年の沖縄における大闘争に連帯する行動を東京東部で開始し、以来の連帯の歴史の上に今日、原発や改憲・集団的自衛権をめぐる歴史的分岐点に立っている。この日本の現情勢下、沖縄の現状もまた緊迫の度を増しており、さらなる強固な連帯行動が要請されている」と提起した。
つづいて、六月 日から三日間、東部実行委の沖縄現地行動を闘い抜いた田附さん(東水労)から、DVD上映をつうじて交流と闘いの経過が報告された。
また続いて、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの木村さんより、名護市議選(九月七日投票)、沖縄県知事選(十一月十六日投票)への取り組み、また辺野古での六月からの緊迫する状況が述べられ、改めて闘う連帯の決意が表明された。
今後の行動提起としては、古沢さん(東京東部労組)から、「第一に、支援カンパ活動を強める。第二に、『標的の村』(制作・琉球朝日放送)の上映運動を広げる。第三に、緊迫する情勢下、20~30名規模で、沖縄現地派遣の陣形をつくろう」と提起され、全体で確認した。
最後に、団結ガンバローを下町ユニオンの仲間の音頭で行ない、郵政ユニオンの仲間からデモ指示を受けて、錦糸公園までデモ行進を展開した。
この6・26の行動は、沖縄連帯の現下の闘いであるとともに、東部6区における共同闘争の長い歴史の蓄積をふまえつつ、今後の官・民・下層労働者そして区民による共闘のさらなる発展を、また二十一世紀の東京の新しい闘いの胎動を、予兆させるものともなったのである。
なお、辺野古新基地建設を着工せんとする動きとしては、六月二十日の日米合同委員会が、「普天間代替施設の建設に係わる区域の保安」のためとして、辺野古沖の立ち入り禁止区域を沖合い最大2・3キロまで拡大すること(これまでの常時操業禁止区域は沿岸50m)等を合意し、安倍政権は七月一日、この合意内容を閣議決定した。防衛省沖縄防衛局は二日にも、立ち入り禁止区域拡大を告示せんとしている。
大幅に拡大した立禁区域にそって七月中にブイ設置を強行し、抗議船が入れば刑事特別法で弾圧せんとしている。(刑特法は米軍基地への無断立ち入りなどを罰する法律であるが、日本政府が工事をしているだけの基地外の区域に、同法を適用することは不当である)。
また沖縄防衛局は六月三十日、沖縄県に工事着手届出を提出し、七月一日からシュワブ基地内・滑走路予定地にある建物の解体工事を始めた。事実上の着工強行である。七月、地質調査ボーリングの開始を阻止しよう。(東京Y通信員)