さようなら原発6・28首都大行進
  原発も集団的自衛権行使もいらない!

 六月二八日、東京・明治公園の集会を起点に、「川内原発を再稼動させるな!さようなら原発6・28首都大行進」が行なわれ、約5500名が参加した。3・11以降、首都ではもう7~8回目となるか、反原発のほとんどの勢力が合流する形での取り組みである。これまでは数万~最大17万人を動員してきた。
この日は、昼前までは激しい雨でどうなることかと思ったが、雨が続く中でも、またメインの川内原発再稼動が今夏には無理になった局面も考えると、それなりの参加者数といえる。脱原発への結集は、底堅いものがある。
集会では、近日中に安倍政権が集団的自衛権行使の閣議決定を強行せんとする情勢だけに、これに触れた発言も多かった。
最初に、主催三団体の、「さようなら原発一千万人アクション」から鎌田慧さん、「原発をなくす全国連絡会」から伊東達也さん、「首都圏反原発連合」からミサオ・レッドウルフさんが挨拶。鎌田さんは、「今日の行動は、今秋の川内原発再稼動阻止と、集団的自衛権行使反対の意味をもつ。大飯原発5・21判決は、経済より命、という勇気ある判決だったが、公明党にはこういう勇気が無い」と述べた。
内橋克人さん(経済評論家)、澤地久枝さん(作家)、中山千夏さん(作家)からスピーチ。内橋さんは、「戦争する国の先に、核武装がある。原発再稼動を止めることは、日本の核武装を止めることでもある」と述べた。
続いて海渡雄一弁護士が、5・21判決の意義(人格権を超えるものはない、原発技術の危険性、基準地震動を超える地震が十年足らずの間に、四つの原発で五回も起きている等の事実認定)を解説し、これらの揺るがない立脚点に立って、高裁でも守り抜いていくと決意表明した。
また、脱原発原告団全国連絡会議(今年六月発足)の事務局長、札幌の小野有五さん、川内原発現地からは野呂正和さん(川内原発増設反対鹿児島県共闘会議事務局長)、福島からは人見やよいさん(原発いらない福島の女たち)が発言。野呂さんは、6・13鹿児島行動を報告し、九月県議会の再包囲を呼びかけた。そして、「命よか大事なもんのあって、よかとですかー」と何回も叫んで、発言を締めくくった。
集会の熱気で雨も上がった。首都大行進は明治公園を出発し、表参道の雑踏にアピールしつつ、代々木公園まで行なわれた。(東京W通信員)


川内原発の今秋再稼働阻止
     いちき串木野市で人口過半数が再稼働反対署名

原発再稼働の突破口が目論まれている九州電力の川内原発であるが、前号に続き六月以降の九州での運動を報告する。
6月6日・鹿児島市では、東京での毎週金曜に行われる反原発官邸前行動に連帯して、「かごしま反原発連合有志」が2012年の7月から毎週金曜に鹿児島県庁前で行なっている反原発の行動が、100回目に突入。川内原発の再稼働の動きが強まるなか、今年4月からは第1週の金曜は、鹿児島市内最大の繁華街である天文館でも行動を継続。
「かごしま反原発連合」の岩井哲代表は、東大在学中に70年安保の市民運動を経験。2012年11月の鹿児島市長選では、「共産党員またはシンパではありません。私は小沢一郎のシンパです」と公言して、脱原発を掲げる日本共産党の候補者を応援。今年2月には脱原発で知られる村田光平・元駐スイス大使を招へいして講演会を開催するなど、超党派の活動家である。岩井代表は、「鹿児島の人は西南戦争に負けて以降、ずっと国に従ってきた。国が川内原発を再稼働一番手に狙ったのは、今度も言いなりになると思ったからだ。明治維新のように鹿児島から異を唱えよう」と訴えている。

  6・13鹿児島

6月13日の鹿児島県議会の議会開催初日には、県議会(県庁)を包囲する行動が「ストップ再稼働!3・11鹿児島集会実行委員会」の主催で行なわれ、全国から約一千名が結集。この実行委は、福島原発事故一年後の3月11日の反原発行動のために超党派で結成されたもので、その後も継続して鹿児島の地での反原発行動の要となっている。
 県議会包囲行動には、県外・九州外からも多くの参加があった。「経産省前テントひろば」、「たんぽぽ舎」、「再稼働阻止全国ネットワーク」などがツアーを企画し、約130名が参加した。他にも「浜岡原発再稼働を許さない」の幟や、「釜ヶ崎解放」の赤い幟が何本も高く掲げられ、東海や関西など全国各地からも駆け付けた。
 川内原発立地の薩摩川内市での集会は、昨年の12月15日に「ストップ再稼働!3.11鹿児島集会実行委員会」の主催で開催され、全国から1800名が結集。さらに福島原発事故から3周年になる今年3月16日には、同実行委の主催で「さよなら原発!かごしまパレード」と題した集会・デモを行ない、山本太郎参議院議員も駆け付けるなど全国から6千名が結集、鹿児島県内での反原発の集会では過去最大の参加者となった。
今回の県議会包囲行動の参加者は一千名だったが、これまでの集会が日曜開催であったのに対し今回は平日であったため、実行委としても準備当初から目標は800人規模とし、内訳は平和フォーラム200人、原発ゼロの会・県労連150人、市民団体150人、県外市民団体300人としていたものである。しかし、12月15日の集会では川内原発増設反対鹿児島県共闘会議の教宣カーを先頭に県職労や教組の幟が立つなど平和フォーラムの隊列が多かったのに比べ、今回は目立たなかったとも言える。
 県庁前の集会では、実行委共同代表の内3人、井上森雄(原発ゼロをめざす県民の会)、杉原洋(反原発・かごしまネット)、鳥原良子(薩摩川内市市民、川内原発建設反対連絡協議会会長)から、「国は川内原発を再稼働の一番手にしようとしているが、県民の意思を代表して県議会が反対すればできない」こと等の訴えに始まった。そして、「川内原発動かすな!東日本決起集会実行委員会」の代表からの連帯アピールに続いて、福島原発がある大熊町から会津若松市に避難を余儀なくされている被災者からは実体験を踏まえて、「この素晴らしい鹿児島の環境が原発によって破壊される」無念さが訴えられた。
県議会(定数49名、自民党が35名で単独過半数)からは、県民連合(7名)を代表して薩摩川内市選挙区選出の遠嶋県議が、共産党県議団(1名)からは松崎県議が、議会内で再稼働を認めさせない取り組みをしていくことを表明した。
集会と並行して、実行委が全九州で取り組んできた再稼働反対の12万3364人の署名を伊藤知事宛に提出するとともに、「要援護者を中心とした原発避難計画に対する見解表明の要請」行動を行なった。
また集会参加者の一部は、県議会の傍聴へ。知事はこの日、「国による安全確保が大前提」としながらも「関係自治体で住民説明会を開催する」と述べ、再稼働に向けて動くことを表明した。
議会傍聴の報告後、参加者は九電鹿児島支社までデモ行進し、川内原発を廃止するよう九電・瓜生社長宛の要請書を提出した。
翌6月14日は、川内原発のゲート前で再稼働反対の集会を開催。昨日の行動に続いて220人が結集し、九電社長宛の再稼働中止の要請書を手渡した。集会では昨日知事が、重大事故に備えた30キロ圏内の避難計画策定について、「10キロ圏で充分。30キロまでの計画は不可能。現実的でない。作らない。時間をかけたら空想的なものは作れるが機能しない」と、記者会見で本音を暴露したことに批判が集中。知事は避難計画に責任が持てないのなら、再稼働を認めないと明言すべきである。

  玄海6・11交渉

 さて、川内原発と玄海原発(佐賀県)を抱える九州電力の福岡市の本社前に、テントを張っての座り込み抗議行動は、6月11日で1148日目に突入。昨年末に提出した要請書に対して、九電は規制委員会で審査中であることを理由に回答引き延ばしていたが、この日、回答することになっていた。結果的にはこちらの質問に九電社員が回答する形になったが、この6月11日のやりとりは次のようなものだった。
 質問「格納容器の水蒸気爆発が起こらないことを証明してください。世界中で行なわれた実験結果では、スウェーデン国立大学の実験を除き水蒸気爆発が起きている」。
 回答「詳しくはないので調べた上で回答する」。
質問「水蒸気爆発が起きたらどうなる」。
回答「私たちのプラントでは起こらないと思っている」。
質問「格納容器まで破壊されるのではないか」。
回答「格納容器の破壊に至らないように、冷却し続ける」。
質問「14気圧で格納容器は吹っ飛ぶはずだ。水蒸気爆発が起これば、玄海原発はすべて吹き飛んでしまうだろう」。回答無言。
質問「注水して、あえて水蒸気爆発が起こるような対策をするのか」。
回答「私たちの評価では水蒸気爆発は起こりません。落ちた燃料を冷やすために冷却水が必要」。
質問「2800度の高温になっている燃料を、水で冷やせるのか」。
回答「冷やせます」。
質問「格納容器において、水素爆発、水素・一酸化炭素爆発が起きないことを証明してください。水素は4%の濃度で爆発するというのが常識。それなのにイグナイター(点火装置)で8%の濃度のもとで燃焼できるというのか。それが原因で爆発するのではないか」。
回答「水素の爆発限界については知らなかったので調べる。多分、4%での爆発は大したことではないのではないか」。
質問「一酸化炭素爆発は」。
回答「大量の一酸化炭素の発生はしないと考えている」。
質問「水がなくて炉心溶融でコンクリートに触れた場合に発生する一酸化炭素の量は、計算はしているのか」。
回答「水がないという状態を想定していないので、そういう計算をやったかどうかも分からないので確認する」。
質問「九電は水があればコンクリートとの反応が起きないと言っているが、世界各国の実験では水の中でもコンクリート反応が起きている。水でコリウム(熔融燃料の塊)は冷やせない。何の根拠で水の中でも冷やせると言うのか」。回答無言。
質問「玄海3、4号機に航空機が衝突した場合、格納容器が破壊されないことを証明してください」。
回答「格納容器が壊れるかどうかではなくて、航空機が衝突した時の大規模損壊時の手順書の整備、体制の整備、設備資機材の整備などを審査会合の中で説明している」。
質問「航空機の衝突により、放射性物質が飛散することは想定していないのか。万が一の時に取り返しのつかないような事態を招く物を設置して良いのか」。
回答「福島の事故のようなことを起こさないということで、国の審査を受けている」。
質問「それならば、福島の原因が分かるまでは動かすべきではないのではないか」。
回答「当社は事故の各段階に応じて幾重にも対策を行なっている。福島の事故については、特にデブリ(溶け落ちた燃料)の状態については分かっていない」。
質問「ドイツのメルケル首相が脱原発を決めたのは、航空機に対しては無力であると判断したからだという。航空機が原発に衝突した場合、放射能は漏れないのか」。
回答「その場合でも、可搬型の電源などで冷却ができるような対策を取る」。
質問「冷却云々ではなく、原子炉本体が木っ端微塵になるのではないか。それは想定しているのか」。
回答「格納容器の破損個所に水をかけるなどの対策をする。格納容器が破損したからといって放射性物質が大量放出するわけではないので、その中に閉じ込めることができると考えている」。
以上、交渉団は交渉を終えて、「根底にあるのは大きな事故は起こらないという『安全神話』がいまだに九電の思考の中にあるということです。水蒸気爆発は起こり得るし、一酸化炭素爆発も当然考えられることです。航空機の部品・エンジンが衝突した場合は格納容器、場合によっては原子炉さえも破壊されてしまう可能性すらあります」と語っている。
原発は必要と思っている人でさえ、驚くような九電の回答であったが、6月26日には九電の株主総会が、福岡市で開催された。会場前には再稼働に反対する市民団体など100名が結集し、株主に呼びかけるとともに市内中心部をデモ行進し、多くの市民に訴えた。

  8・13川内行動へ

総会では、脱原発株主から川内原発の廃炉案など5議案が提案され、賛成割合4%で否決されたが、九電社長は総会後の記者会見で、「全員の理解が得られなかった」と認めざるを得なかった。
また、「実効性ある避難計画を再稼働の条件にすべき」という株主提案が否決されたことについて、社長は「自治体側の要請があれば要援護者の避難を支援する」と言明。そのことは避難計画が不十分であることを九電自身が認めていることであり、その不十分性を九電で支援するというのであれば、実効性ある避難計画策定に九電も責任を持って対応すると言明できるはずであり、この株主提案に反対する理由は何もないはずである。ところが、その点の矛盾を指摘されると「自治体と一緒にしなければならないという法体系にはなっていない」と居直ったのであった。
これに関連し株主総会行動でも、九電消費者株主の会の深江守事務局長から、「川内原発に近い鹿児島県いちき串木野市では、再稼働反対の署名が市民の半数を超えた」と発表された。
薩摩川内市に隣接する、いちき串木野市では5月10日から始められた川内再稼動反対の署名が、6月24日には1万5464名の人口過半数に達し、同日、田畑市長に提出されたのである。
また株主総会と同じ6月26日に開催された、いちき串木野市議会では、重大事故に備えた現行の市の避難計画に不備があるとして、実効性がある計画を市に作成させるように知事に求める意見書が全会一致で可決された。これは知事が「10キロ圏で充分。30キロまでの計画は不可能」として要援護者などの避難計画作成を拒否したことに対する、怒りの現れである。
 なお、7月4日には佐賀地裁で、「原発なくそう!九州玄海訴訟」(玄海原発1万人訴訟)の第9回公判が行われる。
そして8月31日の日曜には、川内原発現地における全九州・全国集会「原発いらない!8・31九州・川内行動」が準備されている。全国各地からこの行動に結集し、川内原発の今秋再稼働を阻止しよう!(九州M)


 「勝利号」6・13鹿児島集会長征記

「勝利号」で大阪・釜ヶ崎を出発したのが、夕方の5時、車内はほぼ満席だった。3・11以降、これで何度目の長征となるのだろうか、仙台、東京、福井、松山。脱原発を絶対に実現し、重層的下請け構造・被曝労働を許さない。これが我々の合言葉だ。
関門海峡を抜けてやっと九州入りとなった、それからが遠い、それでも短い仮眠をものともせず鹿児島県庁前に到着した時は、朝8時になっていた。既に現地の仲間達が思い思いのミニ集会を開いて、長い闘いの一日が始まっていた。
早朝から県庁前は熱気を帯びていた。梅雨の合間というのだろう、南国特有の夏の日差しが強い。それでも全国の仲間が続々と結集し、いつの間にか約一千名で県庁前は埋め尽くされていた。
立ち上がりは県議会傍聴だ、傍聴席150を再稼動阻止一色に染めるのだ。傍聴参加者を送り出し、更に各会派への要請行動班が県庁内に移動、こうして集会が始まった。主催者挨拶や集会基調報告、そして、議会内では少数派ではあるが議員皆さんからの発言。最初に登場したのが福島の小幡さん、福島の現状をしっかりと語った。分けても3・11以降に続発する子どもの甲状腺異常、新たたな被曝が現実のものとなっていることを指摘した。続いて経産省前テントからは渕上さん、この頃から照り返す夏の日差しが凄い。
更に集会は続く、伊方、熊本、福岡と各地からのリレートーク、この後に全員で昼飯の一休み。最後は各会派周りの報告、そして県議会傍聴の報告。
既に集会は5時間を越えていた、真夏の炎天下この時間は厳しい。仕上げは、九電鹿児島支社へ全員で要望書提出だ。当初雨天の場合は屋内での要望書の受け取り、晴れていたら正門前での受け取りと取り決められていたのだが、参加者の多さに驚いたのか、九電は建物から一歩も出てこない。代表団が再稼動阻止の要望書を提出して、この日の行動を終えた。
我々はここで帰路に着いたのだが、現地ではその後、「再稼動阻止 全国相談会」が140名で開催され、今秋予定の川内原発再稼動阻止の取り組みが確認された。
とどまる所を知らぬ安部政権による原発再稼動と解釈改憲の暴走、新たな運動と政治勢力の力量が問われている。(釜ヶ崎M)