5・23狭山事件の再審を求める市民集会
 次は石川さんだ、袴田さんに続け

 埼玉県狭山市で、女子高校生が殺害された51年前の狭山事件。その冤罪を叫び続ける石川一雄さんの再審を求める市民集会が、五月二十三日(狭山デー、石川さんが別件逮捕された日)、東京・日比谷野外音楽堂において同集会実行委の主催で開催された。
 集会には、部落解放同盟を始め、労組や市民団体など約3000人が参加、座席は埋め尽くされた。
 集会はまず、西島藤彦・解放同盟中央本部書記長が主催あいさつ。「次は狭山だ、という強い思いで今集会を持った」、「狭山事件は、二つの部落を見込み捜査し、石川さんを犯人にデッチ上げた差別事件」、「今年は何としても勝利を!」と今集会の意義を明らかにした。
 各政党あいさつに続いて、石川一雄さん・石川早智子さんが登壇。一雄さんは、「すべての証拠を開示させ、事実調べをさせることこそが重要」、そして「全証拠開示には、皆さんの力添えが必要」、「51年目のこの年、無罪判決を勝ちとる」と力強く決意を表明した。この表明を受けて早智子さんが発言。608点もの証拠開示と事実調べに基づいて、袴田事件再審開始が決定された事実に、「大きな風が吹いている」、「何としても再審を勝ちとる」、「前へ前へ前へ進みたい」と語りかけた。
 基調報告を、片岡明幸・解放同盟中央狭山闘争本部長が行なった。「第3次再審では、証拠開示と事実調べをめぐって、検察との間で厳しい闘いがなされている」、しかし「今度は勝てる。136点の証拠開示は、きわめて重要」、上申書・腕時計など「一つの証拠でも、素直に考えれば、無実を証明する」に充分だ、また「映画『SAYAMA』が各地で上映され、大きな反響を呼んでいる。一方では上映運動を通して、世論に訴え闘っていく」、「文字通り最後の闘いだ」と結んだ。
集会には、静岡地裁の再審開始決定を受け釈放された袴田巌さんが出席、姉のひで子さん、地元・袴田救援会の山崎俊樹さんとともに特別報告を行なった。
また、足利事件の菅谷利和さん、布川事件の杉山卓男さん・桜井昌司さんらも駆けつけ、「石川さんの勝利を確信する」、「袴田事件に続いて狭山でも、再審の実現を」と訴え、大きな拍手が沸き起こった。
集会は熱気の中で終盤を迎え、「狭山事件の再審を求める市民の会」事務局長の鎌田慧さんが挨拶。「かって死刑囚の釈放はなかった。しかし静岡地裁の裁判長は、司法の理念から『耐えがたい不正義』として再審開始を決定、袴田さんを釈放した」、「三権分立を守る裁判官が出てきた。今や再審開始に力が入ってきた」、「今度こそ無実を認めなければ、司法の正義がない」と述べ、「デモを明るく、堂々とやりましょう」と集会をまとめた。
集会アピールを圧倒的拍手で確認の後、鎌田さんの訴えに応えて、参加者は「明るく堂々とした」デモ行進に出発した。
デモ隊は、道行く人々に「石川さんは無実」、「全証拠の開示を」、「事実調べで再審決定を」と訴え、銀座・東京駅方面へ断固としたデモンストレーションを敢行した。
石川一雄さんの再審開始・無罪確定を勝ちとり、差別裁判を許さず闘い抜こう。(東京O通信員)


5・29「狭山再審を求める・釜ヶ崎住民の会」結成
  釜ヶ崎から狭山を問う

 五月二九日、大阪市西成区の「ふるさとの家」において、「狭山再審を求める釜ヶ崎住民の会」結成の集いが約60名の参加で開かれた。
 集いは最初に、山田NPO釜ヶ崎支援機構理事長が、「09年に起きたシェルターでの部落差別発言を機に、『差別をなくす釜ヶ崎連絡会』を創り協議を重ねてきた。本年一月の釜ヶ崎越冬闘争での三角公園に、石川一雄さん夫妻が参加された。さらに『連絡会』を『住民の会』へ発展・改組し、取り組みを強めていく」と、経過および結成の意義を述べた。
 ビデオ上映の後、部落解放・人権研究会名誉理事の西岡智さんが、「釜ヶ崎で狭山事件を闘う意味」との熱い基調報告を提起した。
 さらに黒田伊彦・矢田解放塾副塾長が、「会の規約と活動方針」を提起し、結成の理解を深めていった。また、寺本良弘・解放同盟府連西成支部長が、釜ヶ崎日雇労組も参加した、東京での「5・23狭山事件の再審を求める市民集会」を報告した。
 集いは、石川さんからのメッセージや各団体からの挨拶があり、「差別裁判打ち砕こう」を全員で歌って閉会した。
 なお、「住民の会」は、前述山田さん、寺本さんのほか本田哲郎さん(釜ヶ崎反失業連絡会)が、共同代表を務めることが確認されている。(大阪Si通信員)