〔全世界の労働者団結せよ!各地で示威行動〕


第45回釜ヶ崎メーデー
  労働者ぬきの再開発許さず

 全国でのメーデー行動に呼応して、大阪・釜ヶ崎でも「第45回釜ヶ崎メーデー」が行なわれた。
 釜ヶ崎におけるメーデーは、1970年の第1回目(当時は全港湾西成分会の主催)以降取り組まれており、既存の労働運動からも切り捨てられた釜ヶ崎労働者が「オレ達も労働者だ!」と宣言し、全国・全世界の労働者の一員として、その階級的自覚をうながすと同時に、闘いの方向性を指し示す重要な闘いとして続けられ、今年で45回目を迎えた。
 差別・分断支配とその構造の中で、その現実に失望するのではなく、あくまでも「正規―非正規を貫く階級的団結」を求め、そのカギを握るのは下層からの闘いであることを自覚して、闘い抜かれてきたのである。
 今、釜ヶ崎では「西成特区構想」が、就労問題を除いた形で具体化しつつある。本年度は、27項目20事業が予算化され動き始めており、さらに来年度6項目7事業についての予算が提案されている。
 「西成特区構想」とは究極的には、釜ヶ崎労働者を追い出し、「一等地」を大資本に売り払うという代物であり、橋下登場以前から構想されていたものである。橋下登場によって一気に動き出したものだ。釜ヶ崎労働者はもとより、地元住民にとっては大問題である。
 第45回釜ヶ崎メーデーは、一部住民を巻き込んだこの攻撃に対して、「労働者ぬきの再開発はごめんだ!」と闘いの方向性を鮮明に打ち出し、その要である「センター移転」に対して、「センター機能を壊すな!」と具体的な方針を打ち出した。
 また、「社会的就労」の拡大を訴え、雇用の拡大を通じた「地域の再生」の方針を打ち出した。
 四月三十日には、「メーデー前夜祭」として三角公園で集会を行ない、また「ふるさとの家」において、映画『SAYAMAみえない手錠をはずすまで』の上映会を多くの仲間の参加で行なった。
メーデー当日は多くの釜ヶ崎労働者の注目の中、約150名の結集で西成労働センター集会―地域内デモを貫徹し、その後、大阪府・市に対する「要望書」提出行動をやり抜いた。(なお当日は、約300名の仲間が「特掃」で働き、また約100名の仲間は「連合メーデー」の清掃の仕事に就いた)。(釜ヶ崎S)


中之島メーデー
  新自由主義反対!

 五月一日、初夏を思わす天候の大阪市では、午後一時から「第85回中之島メーデー」が、中之島公園剣先ひろばで開催された。主催は、大阪中之島メーデー実行委員会で、全日建、全港湾大阪、各ユニオン、大阪全労協や市民団体など約800名が結集した。(なお大阪では午前中に、連合が大阪城公園太陽の広場で、全労連が扇町公園で各々メーデー集会を行なった)。
 中之島メーデーはメイン・スローガンに、「新自由主義反対!競争ではなく共生の社会を実現しよう」等を掲げ、サブスローガンには、「集団的自衛権行使、武器輸出解禁、憲法改悪を目論む安倍政権を打倒しよう!」等を掲げての行動であった。
 集会では、全日建より主催挨拶、大阪労働者弁護団から丹羽弁護士の挨拶、JAL争議原告団の報告、政党からは社民党、新社会党、みどりの党からの挨拶、そして各労組・争議のアピール、反原発運動、秘密保護法廃止ロックアクションなどからのアピールが行なわれた。チョウ・パク(趙博)さんの歌もあった。
 デモ行進は、関西電力本店前で抗議しつつ、西梅田公園まで貫徹された。新自由主義・労働法制改悪を許さず、改憲・戦争に断固反対するメーデー行動であった。(関西N通信員)


日比谷メーデー
  集団的自衛権行使阻止!

 五月一日、東京・日比谷野外音楽堂で「第85回日比谷メーデー」が全労協参加の組合などによって行なわれ、約五千名が参加した。
 今年の日比谷メーデーは、「働く者の団結で生活と権利、平和と民主主義を守ろう」という例年の基本スローガンに加え、3本の主要スローガン、「東日本大震災の被災者に連帯し、救援・復興に全力をあげよう!」「すべての原発を廃炉へ、原発依存のエネルギー政策の転換を!」「集団的自衛権の行使を許さず、憲法9条を守ろう!」を掲げての行動であった。
 午前十時前には、高橋敏行さん(全水道東水労)・中島由美子さん(全国一般東京南部支部)による議長団の司会で、メーデー式典集会が開始され、鎌田博一さん(国労東京委員長)が主催者挨拶、武藤弘道さん(都労連委員長)が連帯挨拶。武藤さんは、このかんの国家公務員に続く、安倍政権による地方公務員への激しい賃下げ攻撃と闘い、阻止してきたことを報告しつつ、全労働者の連帯した闘いを訴えた。
 連帯メッセージが、星野良輔さん(都高教)から披露された。韓国民主労総からのメッセージは、四月のセウォル号沈没事件で韓国国民は深い悲しみの中にあるが、この事件の根源は命を無視する資本の論理、新自由主義にあり、それを進めた朴クネ政権を徹底的に糾弾して闘うというもので、メーデー参加者の胸を打つものがあった。
また、同日の全労連などによる「中央メーデー」(代々木公園)の実行委員会からも、連帯メッセージが寄せられている。
福島みずほ参院議員は、「3%賃上げになった人はいますか?」と会場に問いかけつつ、直面する派遣法全面改悪案を阻止しよう、と来賓挨拶した。各闘争からは、JAL不当解雇原告団、移住労働者と連帯する全国ネットワーク、戦争をさせない1000人委員会、5・3憲法集会実行委などからアピールがあった。
最後に、日比谷メーデー・アピール案が、須藤和弘さん(郵政産業労働者ユニオン)から読み上げられ拍手採択された。式典後のメーデー・デモ行進は、経済産業省抗議のコースと東京電力抗議のコースの、二手に分かれて行なわれた。
さて、四月二六日の連合中央メーデーでは、「アベノミクス」の論理にひれ伏した連合幹部によって安倍首相が招かれ、安倍は主役のように挨拶した。しかし日比谷メーデーは、アベノミクス批判、官制春闘打破を主張し、安倍政権との全面対決を訴えた。そして労働組合の課題として、集団的自衛権行使容認の阻止を強調したことは重要である。(東京W通信員)


14春闘
  官制春闘は格差拡大
    しかし、闘う仲間は争議権を行使

 今年の春闘時期に見られたものは、昨年十二月に安倍首相が政労使会談を召集し、「賃上げで、デフレ脱却・経済好循環を」と労使に要請したこと、そしてその賃上げの結果が、四月十六日の政府・経済財政諮問会議において、米倉経団連会長と古賀連合会長によって安倍に報告されるという異様な光景であった。
 この賃上げ妥結報告は、大企業が中心で正社員の範囲のものであるが、それでも平均2%・月6千円程度という惨めなものであった。3%近くまで行ったのは、円安で儲かっている自動車だけであった。連合の集計では、従業員300人以上で賃上げ2・2%6534円、300人未満で1・9%4651円であった。(政労使会談から排除されている全労連では四月十二日、賃上げ一人平均6240円、非正規の時給15円アップと発表された)。
本来、消費増税3%プラス政府のインフレ目標2%を合わせれば、5%以上の賃上げでなければならなかった。ところが最初から、連合の賃上げ要求は3%以上(定期昇給2%とベースアップ1%以上)でしかなかった。べ・ア要求が広く復活したのは良いが、実質賃金を改善する闘いに最初からなっていなかった。
大・中企業の正規労働者でもこんな結果であるから、定昇もなければ、要求する組合もない非正規労働者は、まったく賃上げの埒外に置かれたままである。1997年以来つづく日本の労働者の実質賃金低下は、今年の「官制春闘」、天下公認の賃上げムードをもってしても打破できていない。全体が低下する中での、格差拡大春闘に終っている。
安倍は「賃上げの風が吹いた」と自己満足しているが、ふざけるな。日本郵政は国が百%株主であり、つまり影響力を行使できるが、今春闘で非正規の時給を上げなかった。ただし能力級を上げると時給10円アップらしい(スーパー業界でも、同様の能力主義的時給「改善」が非正規に導入されている)。郵政非正規は数が多いだけに社会的影響も大きい。政府は自分でやれる賃金改善を、実はやっていない。
こうした賃上げの額のことだけでなく、政労使トップ談合で春闘が取り仕切られたこと、この方がより問題であるとも言える。国家主義的な労使統制は、戦争への道である。
今春闘の救いは、こうした政府・独占資本の思惑をこえて、少なからぬ労働組合が、ストライキを始めとする争議権を行使して闘い抜いたことである。また今春闘は多くの労働組合で、賃上げ要求など団体交渉権を行使することを、世代を継いで学び直すきっかけとなった。今春闘での経験を、非正規労働者の集団的労使関係を確立することを含め、すべての労働者の団結再生のスタートとしなければならないだろう。(A)


〔寄稿〕
 
 映画『SAYAMA』の上映ひろげ
  石川さん再審・無罪へ 

 狭山事件の発生、石川一雄さんの不当逮捕(1963年5月23日)から、今年五月で51年になりました。「犯人」とされた石川一雄さんには、現在も「無期懲役」の判決が下されたままです。
 映画『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』は、完成した昨年十月末からこれまでに、全国五十ヵ所以上での上映会で約2万人が観ており、今後さらに二百ヵ所での上映が申し込まれているそうです。
 この映画の金聖雄監督は、「冤罪を取り上げた映画は、闘いのシーンが多くなることが多かった。『SAYAMA』では、人を描いて、あとは観た人に受け止めてもらったほうが広がる。運動だけの映画にはしたくないという思いがあった」とおっしゃっています。
 狭山第三次再審請求は、六月に18回目の三者協議が予定されており、その後、夏から秋に東京高裁は、何らかの判断を出す可能性が非常に大きいという状況です。私たちは必ず、この高裁の判断を、事実調べ、あるいは再審開始の決定にさせなければなりません。
 それには、まず一人でも多くの方に狭山事件を知っていただく、そして意思表示をしていただく、それによって高裁を動かしていくことだと考えています。映画『SAYAMAみえない手錠をはずすまで』の上映は、そのための大きな力になるに違いありません。
 狭山事件は、部落差別に基づく権力犯罪です。狭山事件再審開始の闘いは、狭山事件の真実を明らかにし、石川さんの無罪判決を勝ち取るにとどまらず、取り調べの全過程の可視化、証拠の全面開示、代用監獄の廃止などにより、公正で公平な裁判の実現をめざす取り組みでもあります。これ以上、冤罪で苦しむ人を作ることは絶対に許されません。
 袴田に続け! 一月に75歳になられた石川さんの一日も早い無罪判決を勝ち取りましょう。(狭山事件・地域運動家)
 【問い合わせ先】映画『SAYAMA』製作委員会 TEL&FAX042・316・5882
なお、1966年に清水市で起きた一家4人殺人事件で、袴田巌さんが犯人とされた「袴田事件」では、死刑確定判決に対する第二次再審請求において三月二七日、静岡地裁が再審開始を決定した。その日、袴田さんは実に48年ぶりに、死刑囚独房から解放された。(編集部)