2014年 年頭アピール
       労働者共産党 労働部


 正規・非正規労働者共同の2014春闘で

   全ての労働者の賃上げ勝ち取ろう


 新年は、昨年来の秘密法反対闘争の成果と課題をふまえながら、安部反動政権との正念場の闘いの年となる。
秘密法案との闘いの一定の高揚は、その成立を許したものの、国会野党を反対や棄権に追いやり、与党自民・公明を孤立させた。国会を動かし、安倍政権を打倒する力が、大衆運動の発展にこそあることを明らかにした。
しかし、日本の労働運動としての秘密法反対闘争は、市民運動に比して弱く、一部の範囲に留まっている。最大ナショナルセンターの連合が、闘争放棄であったことも一因である。しかし、より根本的には、民主主義を語るにせよ何にせよ、労働者としての団結が一般的に解体しているからである。
この状況をどう克服するのか。賃金・労働条件のための闘いは、労働者の団結を再生させるための広大な舞台である。その闘いは民主主義にも戦争反対にも発展していく。わが労働部は、その日本労働運動再生の第一歩が、実に今年の春闘にあることを提起する。

2014春闘は、すべての労働者の賃上げを実現する絶好の機会である。なぜなら、消費税が四月から3%引き上げられて8%になることが強行されんとしている。安倍首相も財界に賃上げを要請している。デフレから脱却し、内需拡大を図るためには、労働者の賃金を上げるしかない。しかし現実は、安倍に任せておけば、賃金が上がるというような簡単なものではない。労働者が団結して闘わなければ、賃上げをはじめとする労働条件の改善は勝ち取れないのである。
 安部の賃上げ要請に、だまされてはいけない。安部は、2%以上の賃上げを行なった企業に法人税減税を行なうと言っている。これは、必ずしもベースアップでなければならないということではない。総人件費の2%以上ということであるから、一時金のアップであってもかまわない。大企業にとって人件費の2%とは定期昇給分であるが、定期昇給制度がない中小企業にとっては大きな負担となる。もとより、中小企業の7割は法人税を払っていないと言われているのだから、法人税減税の恩恵を受けることにはならない(最近、政府は賃上げをした中小企業に融資を行なうと言っているが、あくまでも返さなければならないカネである)。
まして、大企業からコスト削減を強要され続けて、適正料金の収受ができていない中小企業では、賃上げ原資を確保することが困難な場合が多い。消費税アップを価格に転嫁し、自社の労働者へのしわ寄せを避けることがせいぜいである。そのため個別企業での闘いだけでは、なかなか賃上げは実現できない。企業を超えて全ての労働者が立ち上がり、すべての労働者の賃上げを実現することによって、はじめて自分たちの賃上げが実現できるのである。

 時間給で働く非正規労働者の賃上げは、どうしたらよいだろうか。安部は、政労使会議で財界に賃上げを要請するなら、まず、自分でできることをすべきである。ひとつは、最低賃金引き上げであり、もうひとつは、公務員の賃上げである。
 非正規労働者は、消費税引き上げで、もっとも直接に打撃を受ける人たちである。非正規労働者の賃上げを実現するために、安部は地域最低賃金を大幅に引き上げると言うべきである。財政出動は、そのための支援にこそ行なわれるべきだ。労働組合は、最低でも時給1000円に引き上げろと要求して、ナショナルセンターを超えて共闘すべきである。

 政府は、今まで公務員の賃金引き下げをしてきたが、国家公務員の賃金引き下げはやめる、地方公務員の賃金引き下げを強要しないと発表した。これで賃上げゼロに戻ったのである。安部は大企業に賃金引上げを要請するなら、まず、国家公務員の賃金を引き上げるべきである。
一方、公共工事の積算基準となる建設労務単価は15%引き上げられている。公務員はこの単価にもとづいて、公共工事の設計をしている。引き上げられた労務単価は、確実に労働者に渡っているのだろうか。除染労働者の賃金は、相変わらず、地域最賃プラス危険手当1万円である。建設労務単価の引き上げは、ゼネコンを儲けさせるだけに終らせてはいけない。労務単価が確実に労働者の手に載るようにするには、公契約条例で縛るようにしなければならない。それも、発注者である自治体と契約する元請事業者を縛るだけでなく、下請事業者の労働者に支払われる賃金について元請が責任を持つようにしなければならない。そして、実際に支払われているか監督する機関も必要である。

 安部の、今回の賃上げ要請は実は、大企業労働者の賃金を引き上げる一方で、中小企業労働者、非正規労働者の賃金を抑えることを狙ったものである。さらに安部は、労働法制の改悪をすすめている。労働者派遣法を改悪して、臨時的・一時的であった派遣労働者を常時使えるようにしようとしている。また、日本版新裁量労働制と称して、残業代を払わなくても良いホワイトカラー・エグゼンプションの導入を企図している。さらに、金銭解決で解雇自由など労働法制の規制緩和を図っている。アベノミクスは、格差を拡大し、貧困を増大するとともに、無権利で安い労働力を生み出すことによって、雇用の流動化を図るものである。
 我々は、このような安倍政権の労働政策と真っ向から対決し、14春闘で労働条件の改善を勝ち取らねばならない。デフレの元凶となった大量の低賃金労働者の賃上げ、労働条件の改善を図ることが、すべての労働者にとって、生活安定のための社会づくりの第一歩である。さらに、公契約条例の制定を地域の労働者の課題として闘うことである。
 そのために、非正規労働者、公務労働者、民間中小企業労働者が共同して14春闘を闘おう。(了)