12・13労働法制の規制緩和反対・日比谷集会
   安倍政権の雇用破壊に怒り

 十二月十三日、東京・日比谷野外音楽堂で、「労働法制の規制緩和と貧困問題を考える市民大集会」が開催された。
 前日の十二日には、厚生労働省の労働政策審議会・労働力需給制度部会が、派遣労働を全面自由化し、かつ事実上無期限とする労働者派遣法見直し案を示した。新年の通常国会に、この派遣法抜本改悪案が提出されんとしている。
また十二月七日の臨時国会会期末には、秘密法強行成立のドサクサに紛れて、国家戦略特区法、産業競争力強化法が成立させられた。解雇規制、労働時間規制を一掃するために、まずは特区や特例産業を設けようとしている。
これら安倍政権が矢継ぎ早に打ち出す労働法制の規制緩和の暴挙を前にして、この日の集会は、日本弁護士連合会がたまりかねて主催者として打ち上げた、全国規模の集会だった。各地から労働組合や反貧困の市民団体が結集し、2000人を超える人々が参加した。
 午後六時から始まった集会では、日弁連の山岸憲司会長があいさつに立ち、労働法制はさらなる規制緩和が目論まれており、不安定・低賃金雇用の拡大や長時間労働、過労死、過労自殺の問題がますます深刻化してきている、いまや労働法制はかってないほどの大きな危機に直面している、と訴えた。
 続いて、大阪市大名誉教授の西谷敏さんが報告に立ち、安倍政権は企業の競争力強化の名のもとに、①経済特区構想など解雇法制の抜本的改悪をすすめ、②ホワイトカラー・エグゼンプションの焼き直しで残業代ゼロの長時間労働を解禁し、③派遣法の抜本的改悪で、派遣労働を一時的・臨時的労働から常態的労働に名実ともに切り換え、労働条件・労働環境を企業側に立って根本的に変えようとしている、と基調的報告を行なった。

 非正規労働の現場からは、非正規労働者は通勤費なし、ボーナスなし、会社の食堂では割引なしで、正社員との差別が歴然としている現実が報告された。
 集会には、連合、全労連、全労協、また全建総連や全港湾など、系列を超えた労働組合が結集した。労働組合が前面に出て、労働法制の規制緩和とたたかい、安倍政権と対峙しえていない現状を残念に思うが、この日の共同行動の成果をふまえ、ここからたたかう以外にはない。
 集会終了後、実行委員会の呼びかけで、東京駅までデモ行進を行なった。「派遣法改悪反対!」「解雇の自由を認めないぞ!」等、シュプレヒコールが夜の街に響き渡った。(ユニオン活動家T)


12・1松山集会に四国・全国から8000名
  伊方原発の再稼働阻止

 十二月一日、四国電力・伊方原子力発電所の再稼動に反対する集会―「12・1NO NUKES えひめ」集会が、愛媛県松山市の城山公園にて行なわれ、県内では過去最大の約8000人が参加した。集会は、アーサー・ビナードさん、宇都宮健児さんらが呼びかけ人となり、地元の「伊方原発をとめる会」が主催した。
 集会は、「原発推進」を大音響でがなりたてる右翼の宣伝カーが会場周辺を走り回る騒然とした中で、そして、あいにくの雨にもかかわらず、四国・全国からの画期的な結集をもって開始された。
 伊方原発をとめる会の草薙順一事務局長が、主催者あいさつを行ない、「福島の苦しみを経験しながら、いのち・環境よりも経済・政治を優先し、伊方原発を再稼動させることは絶対許されない」と訴えた。地元の諸団体、伊方原発運転差し止め訴訟原告、鎌田慧さん、広瀬隆さん、首都圏反原発連合などがアピールし、日共の笠井衆院議員、社民党の吉川元衆院議員、山本太郎参院議員などもあいさつした。
 多くの発言者が、伊方原発再稼動反対の闘いと併せて、「特定秘密法」反対の闘いを訴えていた。
 集会の最後には、伊方原発の建設当時から闘い抜いている仲間から、「今日の八千名結集を、現地の仲間たちに、そして闘いの中で志し半ばで逝った仲間にも、報告したい」という、参加者の心を打つ発言もなされた。
 そして、伊方をはじめ全ての原発の再稼動反対・廃炉を求める集会決議を採択した後、市内2コースのデモ行進を、右翼の妨害を許さず貫徹した。
 デモでは、とりわけ愛媛県庁前で、「井上知事は再稼動を認めるな!」と怒りのシュプレヒコールを叩きつけた。
 さて、福井・大飯原発が定期検査のため再停止してから「原発稼動ゼロ」の日々が続いている中で、「再稼動の一番手」と言われている愛媛・伊方原発に対しての、この松山集会・八千名結集の意義は大きい。
 四国・松山でも、脱原発の世論・運動のこのかんの発展、系列・党派を超えた共同の進展が、力強く示されたのである。伊方町現地での、取り組み強化も始まっている。
松山集会につづき十二月十五日には、九州電力・川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市でも、画期的な1800人の参加によって、川内原発再稼動に反対する集会が広範な共同で実現された。再稼動を許さない闘いを、原発立地と全国でさらに強めよう。原発推進の安倍政権を打倒し、脱原発を決断する政治へ転換させよう。
 なお、大阪・釜ヶ崎からは越冬闘争の準備の中、この松山集会に、バス「勝利号」で釜ヶ崎日雇労組など50名が参加し闘い抜いた。(関西S通信員)


三里塚12・8東峰現地行動 
  許すな横堀現闘本部破壊通告

 12月8日、三里塚空港に反対する連絡会は、旧東峰共同出荷場で「三里塚―東峰現地行動 成田空港年間30万回飛行、飛行制限時間緩和を許さない!反原発!原発再稼働やめろ!TPP反対!」を行ない、45人が参加した。
 成田空港会社は、騒音地区の住民の反対を押し切って地元自治体の同意を取り付け、夜間飛行時間延長(午後11時までを12時まで認める)を強行した。2014年度中に年間30万回の発着のために空港機能の拡充を行なっている。また国交省は、首都圏空港発着枠の拡大に向けて有識者委員会を立ち上げ、東京五輪による航空需要拡大などと過大需要をデッチ上げて、さらなる過密運行、安全軽視、環境・人権破壊の空港公害をまき散らしていくことをねらっている。
 国交省・空港会社が一体となって、天神峰、東峰住民に対する追い出し攻撃を強め、空港反対闘争への敵対を強めている。横堀団結小屋強制撤去(2012年11月28日)に続いて、横風用滑走路完成を阻む横堀現闘本部破壊策動を開始した。本部の土地は、最高裁が空港会社の主張を全面的に認める不当判決(13年4月)によって所有権を強奪したが、本部建物は周囲を鉄板で囲いながらも一切触れることができないでいた。空港会社は、現闘本部撤去にむけた申入書(12月3日付)を、三里塚芝山連合空港反対同盟(代表世話人 柳川秀夫)に送りつけてきた。
 申入書は、「建物は、空港建設予定地内に所在し、空港の安全かつ効率的な運用に支障となっており、当社といたしましては、このような状況を早急に解消したいと考えているところであり、貴団体に対し、早急に同建物を収去の上、土地を明け渡していただくよう求めます」と手前勝手な事情で早く壊せと恫喝し、しかも「12月25日」までに「収去の意思の有無、方法等について」回答しろという傲慢なものだ。あげくのはてに「ご回答がいただけない場合は、当社の申し入れに応じていただけないものと理解し、当社といたしましては、法的措置もやむを得ない」と言うほどだ。
 横堀団結小屋破壊を強行したように、現闘本部も司法権力の強制力を使って撤去することを宣言してきたのである。現闘本部を守りぬく闘いは、木の根ペンション・プール、横堀の鉄塔・団結小屋・案山子亭など反対同盟の拠点強化とともに押し進めていく闘いだ。空港公害をまき散らし、三里塚農民の人権破壊を繰り返す空港会社を追い詰めていこう。同時に三里塚闘争と全国反空港運動は、安倍政権の成長戦略による空港乱開発・過密運行政策と真っ向と対決する闘いだ。安倍政権を打ち倒そう。

  落下物放置糾弾

 集会では、山崎宏さん(横堀地区)、石井紀子さん(三里塚農民)、平野靖識さん(東峰地区/らっきょう工場)のあいさつが行なわれた。
平野さんは、「東峰にとって、とても恐ろしいことが起きた。7月15日に到着した飛行機の落下物が、島村さんの畑に落ちた。16日の朝、島村さんの息子さんが畑で発見した。ただちに東峰住民に伝え、成田市を通じて空港会社に伝えた。落下物は、飛行機の主翼にある空気抵抗をおさえるフェアリング(60×20センチ/1・5キロ)というものだ。落下地点が島村さん宅であったら大変なことになっていた」。
 「通報から1週間後、キャセイ航空の夜9時到着便が落としたことが判明した。国交省が各航空会社に落下物について問い合わせ、調査に答える形でわかった。本来、機体に異常があった時は、すぐに空港会社、国交省に連絡することになっているのだが、実際には行なわれていなかったことがわかった。滑走路延長上に人が住んでいるなかで、飛行機を飛ばし続けている。そもそもシンポジウム、円卓会議で地域住民の同意がなければ滑走路は作れないと合意していた。だが合意を破り、運行を強行してきた。当初から心配していたことが現実化した。いまだに国交省の謝罪はない」。
 「2002年、日韓共同でサッカー大会を開催することを口実にして、平行滑走路の供用を強行した。東京オリンピックの招致が決まり、周辺自治体議員などが成田空港の機能強化を言い出している。引き続き元気に、暮らしていく。正しいことを言い続けていく」と強調した。
 小山広明(大阪・泉南市議、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会)さんが、反空港全国連絡会(11・16~17)合宿報告など連帯アピールを行なった。
 集会後、空港用地内にある開拓道路に向けてデモに移った。
 デモ終了後、横堀大鉄塔に移動して交流会を行なった。横堀団結小屋維持会は、鉄塔中段の補強作業について報告した。
(「三里塚空港に反対する会」報道文を一部略)