12・6集会1万5000人の抗議を無視し強行成立
  秘密法廃止・安倍政権打倒へ

 十二月六日、安倍反動政権と自民・公明は、廃案を求める労働者民衆の声を踏みにじり。特定秘密保護法案を参院でも強行可決し成立させた。それは、日比谷野音や国会前に結集した労働者市民、全国の抗議行動の面前で行なわれた暴挙であった。
 この日、東京では夕刻、秘密法案に反対する労働者市民が日比谷野外音楽堂に続々と結集、周辺にも人々があふれた。6時半、「秘密保護法廃案へ!12・6大集会」が開始された。集会は、「秘密保護法」廃案へ!実行委員会」(秘密法反対ネット等5団体)の主催で、1万5000人が参加した。
 集会では、特別委員会の強引な国会運営に居ても立ってもいられず駆けつけた武藤類子さん(福島原発告訴団団長)が、発言に立った。そして「政権の横暴に背筋が寒くなる。でも自分たちで自分たちを守らねばならない。それは、市民一人ひとりの責任です」と訴えた。
 主催者を代表して海渡雄一弁護士は、「法案が成立しても決してあきらめない。翌日から廃止のための活動を始めよう」、「秘密法の逮捕者1号が出たら、一千人の弁護団を結成する」と語気を強め、徹底抗戦の決意を示した。
 最後に、「政権の横暴は、民主主義へのテロ行為。廃案と政権の打倒に向かって出発する」との集会宣言を採択。秘密法廃案闘争の継続強化による安倍反動政権打倒の闘いが宣言された。
 その後参加者は、平和フォーラムなどの銀座コースと市民団体などの国会請願コースに分かれて、怒りのデモ行進に出発した。
 同時刻、すでに国会周辺には、数千名の労働者市民が集結、「秘密法絶対反対」「強行採決やめろ」の声が充満し、深夜まで闘いが続行された。
 それにもかかわらず同日23時20分、怒りの声には耳も貸さず、自民・公明は与党のみで強行採決に及び、可決・成立させた。労働者民衆は、主権者無視のその行為を決して許してはならない。
 今後たたかいは、十二月十三日に公布された秘密法の施行(「公布から一年以内に施行」とされている)を阻止し、秘密法廃止を求め、施行の態勢づくりを許さない闘いとなる。
 安倍政権は、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法、秘密法を強引に成立させた。そして、地球の裏側でも米軍と共に戦争できる集団的自衛権行使容認へと突き進んでいる。しかし、安倍政権の強引な姿勢は、安倍政権打倒の闘いを拡大・激化させ、崩壊への足取りを速めることになるだろう。秘密法成立後の各社の世論調査では、軒並み安倍内閣支持率は10%下落し、その支持率は初めて半数割れとなっている。
 秘密法案反対の闘いは、後半で急速に全国・各界に拡大した。各地で無数の行動が取り組まれ、拡大し、首都圏のある地域では、駅頭情宣にも六〇~七〇名が決起するほどであった。
12・6以降も手をゆるめることなく、今後の闘いに備えて、着々と準備が進められている。各地域の「9条の会」などがネットワークを強め、改憲阻止・秘密法廃止の闘争を強めていく。中央レベルでは十二日に、野音集会の実行委員会が「『秘密保護法』廃止へ!実行委員会」へ改組され、共同闘争が継続・拡大される。
運動は、若者の間にも拡大している。「戦争に行くのは私たち若い世代、だからこそ若い世代が廃案を求める声を上げる必要がある」と、一青年が決意を表明している。世代を超えた連携が問われる。
今後はとくに、労働運動からの秘密法反対のアプローチを強め、地域で労働運動・市民運動の連携をつくることが求められている。
今や労働者民衆の闘いが、安倍政権打倒の主力になった。秘密法廃止の闘いを継続拡大し、早急に安倍反動政権を打倒しよう。(東京0通信員)


2月都知事選に超党派候補を
  東京地検は猪瀬をただちに起訴せよ!

 猪瀬直樹東京都知事が十二月十九日、徳洲会5千万円献金問題での都政の混乱の責任を取るとして、都知事辞任を表明し、二月二日あるいは九日投票日の都知事選挙が予定されることとなった。
 第一に、来る都知事選には、安倍反動政権と自民・公明の国政に歩調を合わせてきたこれまでの都政から、東京都の労働者・市民の生活と権利を守り、住民自治を推進する都政への転換、これを公約する候補者が早急に擁立されるべきである。国会・都議会野党の主導ではなく、東京の民主的な市民運動・労働組合・地方議員などの人々が広範に共同し、その主導によって、超党派の候補者を選定することを強く望みたい。
 その都知事選候補に期待される諸政策は、12年十二月の宇都宮健児候補で戦った都知事選と同様に、東京都における脱原子力発電の政策、東京電力の柏崎・刈羽原発再稼動反対などが第一に掲げられるべきである。
 脱原発の他、秘密法の施行反対・廃止、消費増税反対など国政関連における、都政の独自的・民主的な政策が必要だ。東京オリンピック・パラリンピックの2020年東京開催の問題については、筆者としては「返上」の立場であるが、都民にはいろいろな意見がある。東京開催の是非を再検討するための開かれた場を設置すること、これを公約に掲げるべきであろう。
 第二に、猪瀬は、都議会から百条委員会を設置して追及されることを逃れるために辞任表明したが、知事をやめるからといって罪状を免れることはできない。東京地検は猪瀬を、政治資金規正法・公職選挙法違反、受託収賄罪の容疑で起訴せよ。
猪瀬は、細かい事実誤認などは認めたものの、自ら支援を要請したにもかかわらず、前回都知事選の告示直前に徳洲会から「借りた」5千万円について、選挙支援金ではないなどと、常識はずれにも依然居直っている。政治資金収支報告書にその記載がないこと、個人寄付150万円限度を超える徳田虎雄からの5千万円寄付であることは、政治資金規正法・公職選挙法違反である。
また5千万円は、東京電力による新宿区の東電病院の売却において、その入札で医療法人徳洲会が有利となるよう猪瀬に口利きしてもらうための買収資金とも見られている。また西東京市での徳洲会病院建設がらみ、これも疑われている。これらが事実であれば、悪質な収賄罪である。
猪瀬の転落は、新自由主義都政の転換の好機である。二月都知事選に戦える態勢をつくり、そして勝利し、都政転換・国政転換を大きく切り拓こうではないか。(東京都民W)


11・30第20回釜ヶ崎講座
  韓国の野宿者支援から学ぶ

 十一月三十日、大阪市のエル大阪にて、第20回釜ヶ崎講座講演の集いが、約20名の参加で開催された。題目は、「ホームレス自立支援法5年延長―私たちは何をすべきか!韓国ホームレス福祉法制定と包括的支援システムの整備から学ぶ」であった。
 講師は、大阪市立大学・都市研究プラザ准教授で日本居住福祉学会事務局長の全泓奎(ジョン・ホンギュ)さん。
 全さんは、ソウル市生れで、学生時代にソウルなど都市部での貧困層の人々の居住区取り壊しを目の当たりにし、当時の住民の居住権をめぐる闘いに接してきた人である。以降、貧困と居住の問題に関心を寄せ、講演の中でも、ホームレス問題と住居確保との関連の大切さを再三強調していたのは、若い頃の体験と研鑚によるところと感じられた。
 全さんは講演で、韓国ホームレス問題と「福祉法」(正式には、露宿人等の福祉及び自立支援に関する法律、2011年6月公布)に関して、概要以下のように語った。
①韓国のみならず、台湾、香港など東アジア地域の人々は、総じて自分の家に住むことの大切さという意識を、強く持っているのが特徴だ。
②韓国におけるソウル・オリンピック以降の急速な「都市化」の中で、ホームレス支援団体は応急支援策として、施設収容型ではなく、個人への聞き取り活動から、次第に住まいの確保へつなげていく活動をしていく。
③国・自治体も、韓国経済成長には国民の居住整備が重要との認識をもつ中で、財政援助のみならず、種々の相談センターや「家」を柱とする支援体系に力を入れるようになる。
④このような背景があってこそ、11年に公布の永久法として「福祉法」が制定された。韓国にも実態調査に行っているが、今後の韓国内での取り組みが日本のホームレス支援運動に好影響を与えることを望み、それに寄与していきたい。
以上であった。この講演の中では、政府・自治体の積極的関与における、韓国の運動主体側の人権意識の高さと定着を、強く感ぜずにはいられないというのが率直な感想である。(なお、韓国での取り組みについての全さんの自著として、『韓国・居住貧困とのたたかい 居住福祉の実践を歩く』日本居住福祉学会ブックレット、東信堂発行がある)。
全さんは、スライド映写でフィリピン、台湾、香港などのホームレス支援状況を説明し、話題を豊富化していた。この国では、釜ヶ崎や全国の寄場で厳冬の中、野宿を強いられている現状があるが、これを変革していくための学習の場となった。
さて釜ヶ崎では、第44回越冬闘争を迎え、一人の「野垂れ死」も出さない万全の態勢を、と各団体・個人は意気ごんでいる。釜ヶ崎の労働者の大半は、働いて暮らせる道を望んでおり、誰一人としてホームレスはしたくないと考えている。就労を軸とした、自らの手による町づくり・町おこしが、一貫して重要な課題としてあるのである。
釜ヶ崎越冬闘争は、十二月二十二日の支援連帯集会を皮切りに、二八日から新年七日まで諸行動が展開され、年末三十日から年始三日には人民パトロールが行なわれる。対大阪府・市要請行動は一月六日に闘われる。
釜ヶ崎と市民をむすぶ市民団体「釜講座」による、今冬の「釜ヶ崎ツアー」は一月三日に行なわれる。(大阪I通信員)