秘密保護法案、普天間「県内移設」強要を粉砕しよう
  安倍の暴走は崩壊の始まり


 安倍自民・公明連立政権が、極右安倍晋三を先頭に、その右派反動政権としての本性をあらわにし、暴走を開始した。これによって安倍反動政権は、国民大衆との矛盾を極度に激化させ、またアジアと世界の民主世論との矛盾をさらに激化させ、政権の弱さを露呈していく。臨時国会で安倍が一時的勝利を謳ったとしても、日本の労働者人民は確信をもって、安倍政権打倒の広範な闘いをさらに前進させなければならない。
 暴走の第一は、十一月二六日の衆院特別委・本会議での「特定秘密保護法案」(その内容批判は4面)の強行採決である。これは、みんなの党、日本維新の会との修正合意を入れた4党修正案であるが、ほぼ与党自公のみの賛成しかない中で強行可決し、十二月六日会期末の成立へ押し通さんとしている。
 現在の参院段階での闘い、「『秘密保護法』廃案へ!12・6大集会」(東京・日比谷野音、午後6時半、主催は11・21集会実行委を改組した「秘密保護法」廃案へ!実行委員会)などの闘いによって会期末成立の暴挙を断固阻止し、また仮に突破された場合でも、それによって一層孤立を深めざるをえない安倍自公政権を、秘密法もろともに打倒する共同闘争に進んでいく必要がある。
 安倍政権の暴走の第二は、「普天間基地は固定化するぞ」の脅迫をもって、「オール沖縄」への凶暴な攻撃を公然化したことである。普天間基地「県外」要求を近年は掲げてきた沖縄自民党に対する屈服の強要、辺野古埋め立て申請についての仲井真沖縄県知事判断への不当介入、来年一月の名護市長選挙への不当介入、これらの全面化である。
十一月二五日、自民党石破幹事長は党本部に沖縄選出自民5議員を呼びつけ、「辺野古を含むあらゆる可能性を排除しない」とする県内移設容認の合意を強要した。本来なら沖縄県民との「県外」公約を守るために5議員は自民党を離れるのが筋であるが、この「変節」よりも、公約破棄を強要してはばからない政府自民党の沖縄県民無視の暴政こそ糾弾されなければならない。自民沖縄県連も異論含みで、この合意に同調しつつあるが、しかし県民の圧倒的多数派は「県外」堅持であり、知事の埋め立て申請判断はこれに従うのが当然だ。
秘密法案は、この沖縄にこそ関わる。十一月初中旬にかけて自衛隊は、「島嶼奪還演習」としては初の単独で、かつ3万4千人動員という大規模な陸海空統合実動演習を沖縄で強行した。再びあってはならない沖縄の戦場化、それが想定されており、軍機保護法体制が沖縄に真っ先に敷かれようとしている。
 
    エセ「第三極」も破産

これらの安倍の暴走は、アベノミクスで大衆を欺むくやり方が破産し、官僚政治と国民弾圧、バラマキ復活と新自由主義の並存、消費増税と福祉切り捨てという、その本性が露呈したことを意味する。
安倍政権と国民大衆との矛盾、国際民主世論との矛盾は先鋭化していく、これが情勢の特徴の第一である。
二五日に福島で公聴会がアリバイ的に行なわれ、意見陳述者7名全員が秘密法案に慎重・反対であった。福島原発事故後、スピーディー情報が国内では隠され被曝が拡大したことをふまえ、秘密法案を批判する意見も出された。しかし、その翌日に強行採決。4党修正案としては、2時間しか審議していない。
国民の「知る権利」、主権在民の基本がかかった重要法案なのに、この拙速・強引な扱いは何なのか、普通の常識人は皆驚いている。安倍政権と世間常識との間に、おおきな亀裂が入った。国際常識からも、安倍政権は乖離している。福島原発事故以降、日本政府は事故と放射能の情報を隠している、情報公開しない官僚主義の国だという評価が定まった。そこに秘密法案である。
そして第二に、近年の選挙で国会勢力を伸ばしてきた日本維新、みんなの党という野党の、そのエセ「第三極」振りが確定的に露呈したことも、このかんの特徴である。維新、みんなは、秘密指定期間が六十年可能など、より悪くする「修正」合意を行なったのみで、マスコミからも「与党の補完勢力としての対応に終始した」(朝日新聞11・27)と断定された。
維新は、修正合意を進めた石原慎太郎ら国会議員と、橋下一派との亀裂を深め、二十二日の国家政策会合では修正合意に「賛成27反対23」となり、採決での分裂を恐れて棄権に回ったのである。みんなの党は、衆院2名が「官僚統制強化法だ」として秘密法案に反対した。この反対論のほうが、何でも規制緩和、新自由主義が党派性のみんなの党に合致している。渡辺代表は、野党再編での従来からの内紛から、「誰と組むかではなく何をやるかだ」の持論を捨てて、自民と結託した。維新、みんなは、自民補完、支離滅裂をさらけ出し、ここ近年の両党の伸長の根拠を失ったのである。
民主党は、特定秘密を指定できる範囲から「防衛」をはずす等の対案を出して、法案に反対した。民主党の反対への変化は、世論と運動の成果といえるが、国家安全保障会議設置法案(十一月二七日成立、自公、民主、維新、みんなが賛成)に賛成したこととは矛盾している。秘密法反対の世論にすり寄っても、戦争司令塔作りの法案に賛成では一貫性がない。
結局、このかんの闘いで、秘密法案と日本版NSC設置法案に反対した諸勢力によって、安倍政権を打倒する民主的・左翼的な「第三極」勢力が形成されねばならないことが明らかとなった。我われは、その「第三極」の推進者的な一部としての、革命的左翼の結集を前進させるだろう。そして「第三極」形成の大衆的基礎としての、新しい労働運動・人民運動の前進をかちとっていくだろう。
大衆闘争の発展を主力にして、臨時国会後の安倍反動政権との決戦を準備しよう。