11・10福岡
  「さよなら原発!」九州沖縄集会に一万人
  玄海、川内原発の再稼働阻止


 11月10日福岡市では福岡城址内の舞鶴公園にて「さよなら原発!」九州沖縄集会が開催され、各地から秋雨のなか一万人が結集した。
 実行委員会の主催で市民団体や共産党系の団体が中心となったものであるが、集会には社民党や旧総評系労組などで構成する長崎県平和運動センター、長崎地区労、宮崎平和・人権・環境労組会議をはじめ各地から旧総評系の労組や原水禁も数多く集まった。
 プレステージでは韓国や各地の若者らのライブ演奏が行われ、集会のオープニングライブは沖縄から駆け付けたラップアーティストのカクマクシャカが登壇。それぞれのパフォーマンスで脱原発をアピールした。
 集会は実行委員会を代表して青柳行信さん(原発止めよう!九電本店前ひろば代表世話人、カトリック正義と平和協議会)が、次に呼びかけ人を代表して吉岡斉九大副学長が挨拶。
 大分県の代表として松本文六医師(六年前の参議院の大分選挙区に社民党推薦で立候補・元九大医学部学生自治会委員長)が、大学闘争で研修医制度の改革を訴え実現するまでに30年以上要したことを紹介し、長期を覚悟して脱原発に取り組むことを決意表明。
 佐賀県からは、玄海原発でのプルサーマル使用中止を求める裁判の原告団を代表して主婦の石丸初美さんが、再稼働の準備が進められている現地の状況を報告し、再稼働をさせない取り組みを紹介。
 長崎県からは、母を原爆で失くした主婦の牟田さんが、原発で働く被爆労働者の実態を知り、原発を続けることは被爆者を増やすことでしかなく、反原発の闘いに立ち上がった経緯を紹介。
 熊本県からは民医連に所属し、水俣病に取り組んできた板本開業医が挨拶。
 鹿児島県からは原水禁や社民党などで組織する川内原発増設反対共闘会議を代表して荒川さんが、原子力規制委員会に申請中の川内原発の再稼働を許さない取り組みを紹介。
 宮﨑県からは九条の会の代表世話人である宮崎大学の藤原元学長が挨拶。
 来賓として自治労大分県職労出身で社民党の吉田党首が登壇。小泉元首相との会談を紹介し、党派を超えて脱原発に取り組もうと呼びかけた。日本共産党からは志位幹部会委員長からのアピール文を代読。
 3・11行動する会からは、日本人初の宇宙飛行士で福島にて農業を営むも原発事故で避難を余儀なくされている秋山豊寛さんが、原発再稼働を目指す安部政権打倒を力強く訴えると会場からは万雷の拍手が沸き起こった。
 「避難者交流広場」からは、福島から北九州市に移ってきた塚本さんが、避難した経緯を紹介。地元自治体が放射能に無知識のため国の言いなりになっており、自分が放射能の危険性を訴えても周囲が理解してくれず、やむなく市職員だった夫やその両親と離縁し子供を連れて実家に戻らざるをえなかったという悲痛な訴えがされた。
 集会終了後、三つのコースに分れて市内中心部をデモ行進。コースの終点には九州電力本社前があり、多くのデモ参加者がここに集まり九電に向かってシュプレヒコールを繰り返した。
 九電前の抗議テントに対しては、「在特会」が妨害活動のテントを立てるのを認めるために、警察が道路使用を許可。それに伴い抗議テントは夕方いったん撤去し翌朝立て直すことを余儀なくされたが、11月30日現在955日目に突入し、継続して闘われている。
 
  佐賀、鹿児島両県知事の責任転嫁許すな!

九電の原発は川内原発の一号機が2011年5月に、二号機が9月に定期点検で停止。玄海原発は福島原発事故発生時に二・三号機が定期検査中であり、2011年12月に一・四号機が定期検査で停止。その日以降約2年間九州での全原発が稼働停止中である。
 しかし九電は今年7月に川内原発の一・二号機の、玄海原発の三・四号機(三号機はプルサーマル発電)の安全審査を原子力規制委員会に申請。早期の再稼働を目論んでいる。
 薩摩川内市議会では再稼働の是非を問う質問に対し、市長は「新規制基準をクリアしたものは国の責任において再稼動すべき」と答え、川内川が活断層である可能性についても「九電に再調査を要請する考えはない」と答えるなど九電べったりの姿勢を改めていない。 鹿児島県知事は、「原子力規制委員会の新規制基準は世界最高レベルであり、川内原発についても十分な安全対策が講じられるだろう。今の時点で原発なくしてエネルギーの安定的な供給はできない」と再稼働を容認している。
 玄海町議会では、再稼働の是非の住民投票実施の提案に対し、再稼働推進派が多数を占める町議会を背景に町長は、「再稼働の判断は国の判断を受けとめ、町議会の意向で判断する」と答え住民投票を拒否している。
 佐賀県知事は3・11後の二・三号機の運転再開に向けた国の説明会での「九電やらせメール」の発端になった人物であり、「規制委員会の適合性の判断と政府による再稼働の判断は別のものである」と慎重な姿勢を見せているが、鹿児島県も佐賀県も県議会で九電の幹部を参考人に呼ぶだけであり、結局は「九電も国も安全と言った。だから被害が起きてもすべて九電と国の責任」ということで責任転嫁することしか考えていないのである。
 福島の原発事故は、地元だけでなく県全域や隣接県まで被害が及ぶことを知らしめた。よって再稼働反対の動きは周囲の自治体はもとより県全域や隣接県まで及んでおり、全国的かつ全人民的な闘いとして原発推進の安部政権を打倒しなければならない。(九州M通信員)



11・29
  経産省前「脱原発テント」第4回公判
   原発も秘密法もいらない

11月29日午後二時から、国が経産省前脱原発テントに対しておこした撤去・賠償要求裁判の口頭弁論が、東京地裁で行われた。傍聴希望者は約二百名集まる。傍聴できなかった約半数の仲間は地裁前抗議行動を行い、「原発やめろ!テントを守ろう!」と法廷内の仲間を励ました。
 本裁判に臨むにあたっての脱テント側の立場は、加害者が被害者を訴える裁判などあってはならない、裁判所は直ちに国の訴えを却下すべきだ、と明解だ。
 午後四時から、参議院会館講堂で、裁判報告集会が開催される。二百名を超える参加者で会場が埋め尽くされた。
 最初に弁護団長の河合弘之さんが発言。
 「テントは、日本中の脱原発の人々を励ましている。小泉元首相の脱原発言は、大いに活用すべきだ。脱原発の闘いも、秘密保護法阻止の闘いも共に闘ってほしい。徳洲会事件で都知事選が近い、宇都宮しかいない」と訴えた。
 次に弁護団の方から、「経産省官僚がネットに書きなぐった暴言、自民党による47年間もの国有地不法占拠を容認している問題など国側の問題を指摘しつつ、国側による訴権濫用を批判。「被告人」を取り違える元となった写真の提出を要求。裁判官には脱原発テントの現場を見てくれと要請。『被告人』が意見陳述」など、口頭弁論の概要が報告された。
 東電株主代表訴訟原告代表の木村結さんは、「汚染水垂れ流しは、破綻処理させなかった財務省とメガバンクの密約の結果だ。東電は残しておけない。東電には税金が、既に9兆円投入され、東電が更に5兆円請求している。まだ数十兆円はかかる。いいのか」と発言。
 福島原発告訴団団長の武藤類子さんは、「国と東電の幹部の罪を問う告訴は、一万四千七百十六名の告訴人、10万9千筆をこえる署名にもかかわらず、不起訴処分となった。しかも当件を東京に移送し、福島での検察審査会をやらせないようにした。これに対して私たちは、世論を喚起して、審査会の11人に訴えていく以外ない。また汚染水問題で、やればできることをやらなかった人たちを福島県警に告訴・告発する」と発言。
 FoE Japan理事の満田夏花さんは、「秘密保護法案の福島地方公聴会における七人の反対意見はそれぞれすごい。ぜひネットで見てほしい。福島で公聴会をやったことは、自民党の失敗だと思う。反対はどんどん広がっている。与党の中の反対を掘り起こせ。子ども・被災者支援法は、内閣の基本方針で骨抜きにされたが、法律を忠実にやらせることだ。住宅・雇用・検診が大切」と発言。
 最後に「被告人」の正清さんと渕上さんが、挨拶をして報告集会を締めくくった。本集会は、秘密保護法案の衆院強行採決・参院審議突入直後の緊迫した局面を色濃く反映するものとなった。テント裁判の次回公判は、2月10日午後2時から。(東京M通信員)