労働者共産党第5期第3回中央委員会総会決議(2013・9) 

 2013年・憲法闘争決議


 @現情勢

2012年12月の総選挙、ならびに2013年7月の参院選の結果、日本国憲法の「改正」を積極的に選挙公約とする、あるいは消極的に支持する国会議員が衆参両院で3分の2以上を占めることとなった。これにより、9条あるいは96条改憲案が国会提出・可決される危険が現実のものとなり、この危険が当面続くこととなった。
したがって、この新しい局面において、憲法9条の改悪などに反対する日本人民の憲法闘争は、今までどおりではない闘いの飛躍が求められている。また、我々共産主義者の党においても、新たに闘争方針・闘争観点を明確にすることが問われている。
安倍自民党をはじめとする改憲勢力は当面、改正手続き96条の改憲から着手しようとしている。しかし、この策動は「立憲主義」を否定する暴挙として国会内外で批判が高まった。そして、9条改悪反対はいぜん国民多数派である。国会内で改憲派が3分の2以上を占拠していても、労働者人民とわが党が巧みに闘うならば、当面の憲法闘争に歴史的勝利を収めることは充分可能である。
また、安倍政権は明文改憲とともに、踏み込んだ解釈改憲の策動を強めている。これは集団的自衛権の行使を現憲法下でも合憲とし、自衛隊が海外で米軍などと戦闘行動ができるようにするための、新たな閣議決定および立法の策動である。明文改憲反対の闘いの中で、この解釈改憲を阻止する闘いも重要となっている。

 A03年・憲法闘争決議の再確認

党は現日本国憲法の「戦力放棄」を支持する。03年・第2回党大会における決議「憲法闘争における党の政策」は、憲法9条を共産主義者としてはどのように擁護するのか、これを内容の中心とするものであった。決議は、「軍事官僚制をはじめとするブルジョア官僚機構を解消し、人民武装を伴う労働者人民の自治に取り替えていく」という共産主義者の国家論の立場から、9条の社会主義的継承を明確にし、「軍隊なき社会主義国家」を当面実現する日本革命の展望を明らかにした。
党は、この決議を再確認しつつ、主権国家批判の見地からも9条を擁護する。今日の世界では近代主権国家システムの歴史的動揺が始まり、また日本などでは、これへの一時的反作用として国防ナショナリズムが台頭している。9条の社会主義的継承とは、世界革命による主権国家(自衛権、領土・領海など)の止揚という綱領的展望が含まれなければならない。

 B党は「立憲主義」を支持する。

「立憲主義」とは狭義には、憲法が国家権力制限規範であることを意味する。立憲主義は、王権を制約する古典的立憲主義から、基本的人権を守るために国家権力を制約する近代的立憲主義へと発展してきた。党は、現在においても将来の社会主義憲法においても、こうした立憲主義が不可欠であることを認める。
しかし、民主主義的憲法において、より根幹的であるものは主権者人民の権利規定であり、その権利の保障と実現のために国家・政府が作られることの確認である。プロレタリア民主主義は、これを文字どおりに実現する。立憲主義は現在も将来も、主権者人民による権力のコントロールとして必要であるが、それだけでは、主権者人民がめざす政治内容を積極的には表現できない。民主主義的あるいは共和主義的憲法観(人民主権、主権者人民の諸権利実現の道具としての国家)と、自由主義的憲法観(権力制限規範としての憲法、個人の基本的人権の不可侵)との統一が必要である。

 C党は「憲政」を擁護する。

立憲主義は広義には「憲政」、憲法にもとづき政治が行なわれることを意味する。党は「憲政」を擁護し、「党政」「軍政」「官僚政治」「独裁政治」に反対する。
党の「憲政」擁護は、現行の議会主義的手続き、また資本主義経済体制の正当化を擁護するものではない。自民党など戦後日本の支配層は、平和憲法に反する日米安保体制の法体系などによって、憲政を蹂躙してきた。この憲政の蹂躙が、いつまで経っても憲法的手続きによって是正されないならば、主権者人民は実力で政権を交代させる権利を持っている。実力によって成立する臨時革命政権は、憲政を回復する、あるいは新しい憲法での憲政を開始するための暫定政権である。
党は、社会主義日本においても憲政を擁護し、執政党の交代を含むところの憲法にもとづく政治を擁護する。生産手段の社会的所有権など主権者人民の権利を保障する新しい憲法の下で、党は与党であれ野党であれ、社会主義の前進のために闘いつづける。
D当面の憲法闘争方針
改憲阻止の広範な共同戦線が、いよいよ必要となってきた。これまでの憲法闘争でのいろいろな共同闘争組織、ネットワーク、各地域での取り組みなどを尊重しつつ、それらの大合流が問われている。党は、憲法改悪反対の一点のみで共同するところの、共産主義者から保守的リベラルまでを広範に結集し、あらゆる政党・団体・個人を広く包み込む民衆的規模での共同戦線、「改憲阻止民衆会議」(仮称)を適切な時期に結成することを呼びかける。この共同では96条先行改憲阻止で一致するのか、9条改憲阻止を前提とするのか、充分検討されるべきである。
改憲反対国会議員3分の1以上を回復させるための、議会・選挙闘争上での闘いが必要である。もっとも遅くて3年後が両院での選挙となる。上記の国民的共同戦線の闘いを背景として、多くの諸政党・候補者に対し、比例区一本化など共同して選挙戦に臨むことを求める。
改憲国民投票に勝利する闘いの準備が必要である。当面は改憲案の発議を挫折させる闘いに力を入れつつ、同時に国民投票に改憲NO!の投票(場合によってはボイコット)で勝利する組織と方針について、広く検討が開始されるべきである。
憲法闘争の歴史的勝利をかちとろう!                   
                             (以上)