朝鮮戦争停戦60年
  米朝対話と平和協定締結を求める6・29反戦平和国際連帯行動
   停戦協定を平和協定に!

 東西冷戦下最初の大規模な戦争となった朝鮮戦争の停戦協定の締結から、六十年を迎えた本年、韓国の統一・民主勢力の中心団体である「進歩連帯」の呼びかけで「戦争反対平和実現国民行動」が作られ、「停戦協定60年・反戦平和国際連帯行動」が提唱された。
 これに日本でも応え六月二九日、「米朝対話と平和協定締結を求める6・29反戦平和国際連帯行動」の集会などが行なわれた。
 集会は、日韓民衆連帯全国ネットワーク、ピースボート、沖縄民衆連帯、在日韓国民主統一連合などの呼びかけによる「停戦協定60年・反戦平和国際連帯行動・東京(略称)」が主催し、東京原宿の千駄ヶ谷区民会館に約百名が結集した。
 主催者を代表して、日韓ネットの渡辺健樹共同代表から集会の意義が述べられた後、「市民の手による平和のためのシンクタンク・ピースデポ」代表の湯浅一郎さんから、「朝鮮戦争の停戦協定60年と日米韓安保体制」の演題で講演が行なわれた。
 湯浅さんは講演で、イ・ミョンパク(李明博)政権成立後、韓国哨戒艦チョナン(天安)沈没を皮切りとする北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との軍事的緊張の醸成により、米日韓安保体制依存による緊張関係の激化・継続が図られている。自衛隊も参加した韓米合同軍事演習フォウル・イーグル、韓米指揮・実動演習キー・リゾルブが今年の三月から立て続けに実施され、北朝鮮の猛烈な反発からは「国民戦時状況の宣言」さえも出される状況に陥っている。このような状況を打開するには、朝米間の停戦協定を平和協定に変えることが必要である。そのためにも市民社会の果たす役割がある。沖縄を始め基地の強化と戦争加担に抗議、対抗する行動はきわめて重要と指摘した。
 つぎに、上陸用舟艇の乗組員として朝鮮戦争に「参加」した三宮克巳さん(元府中市議)から、「朝鮮戦争に日本人も動員されていた!」との証言が行なわれた。とりわけ、海上保安庁の特別掃海隊による機雷掃海が米軍からの命令で実施され、戦死者も出しており、日本も朝鮮戦争に深く関わっていたことが証言された。
 「ノレの会」による韓国民衆歌の後、各団体アピール。ピースボートの野平晋作さん、平和フォーラムの藤本事務局長、VAWWRAC共同代表の中原道子さん、韓統連の宋世一副議長、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の森本孝子さん、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの吉田正司さん、強制連行・企業責任追及裁判全国ネット事務局長の矢野秀喜さん、全労協事務局長の中岡基明さんから各課題でのアピールがなされた。
 集会終了後、会館前から原宿駅前を通り、渋谷へ到る平和行進が行なわれた。日曜日の雑踏の中、停戦協定を平和協定に変えよう!という訴えは、道往く人々の注目を浴びた。
 韓国では、七月に入ってから済州島を出発点とし、全国を巡回する平和キャラバンなどの国民行動が進歩陣営を中心として行なわれる。停戦協定の締結された七月二七日には、38度線に近いイムジン閣での国際平和大会を予定している。ここには、多くの日韓連帯を闘う日本人の参加も予定している。(東京Ku通信員)


青森・大間
 6・16大間原発建設反対現地集会に、過去最大規模で
  「原子力ムラ」揺るがす「活断層」!

 去る6月16日、青森県下北半島・大間町の大間原発建設現地において建設反対集会が開催され、全国から500名が参加するというこれまでの集会では最大規模の闘いがつくられた。
 アベノミクス等と言うエセ成長戦略の中味の一つとしても位置づけられているが、独占資本の海外進出のスポークスマンを自認する安倍政権のエネルギー戦略は、フクシマ原発事故原因も明確にされていないこの時期での、原子力発電の海外輸出と日本の原発再稼動である。
このような政治方向に安閑として居座る「原子力ムラ」の面々がまず進めてきたのが、この原発建設、原発の建設や操業の経験が全くない電源開発株式会社(Jパワー)の進める大間原発の建設再開である。3・11の福島原発メルトダウン時に37・8%の進捗率でしかなかったものを「新規原発」として評価した民主党政権、そして、安倍政権が後押しし、より前向きに進めている現状を押しとどめるのは、地元からの反対の取り組みでしかない。
 さて、集会はお昼を挟んで開催される。昨秋の建設反対の集会に続く開催となり、地元で反対する町民、フクシマ原発被害で避難する人々、そして、全国で脱原発の声を上げ頑張っている人々には限りなく激励と決意を促す集会になったとおもわれる。その意味では、建設を進める電源開発梶A大間町長を軸とする推進派、そして、安倍政権を巣窟とする官僚、原子力ムラ、これらの輩の足元を揺るがす震源として、まさしく民衆「活断層」として、この闘いが存在していることを明確にしたものとおもわれる。
 集会は、大間原発炉心予定地から数百メートルも離れていない「反対する地主の会」所有地で開催される。監視カメラが間段なく設置された金網フェンスを真横にした場所である。眼下には大間町が一望でき、炉心から300メートルには原発反対地元住民が建てた「あさこハウス」が存在する。これは、原発敷地内区域と言ってもよい場所に建っているのである。
 集会は昨年に続き、大間原発に反対する会など3団体の呼びかけによる現地集会実行委員会の主催で開催。前日から「大マグロロック」と銘打ち原発に反対するバンド、ミュージシャンがロックフェスティバルを開催しており、開催前段でオリジナルの曲を披露し参加者より万雷の拍手を浴びていた。
主催者の挨拶の後、ルポライター鎌田慧さんが挨拶、「本州最北端に建設を進めていることは北海道を無視したもの、『しょっぱい川』の津軽海峡を連帯の証として中身を問い続けよう」と青森出身者として北海道にエールを送り、「あさこハウスを象徴として原発反対のメッカに、原子炉を潰したら記念碑に!」と力強くアピールした。
続いて現地で長年反対してきた佐藤亮一さん、あさこハウスの小笠原厚子さん、そして3・11以降、原発に疑問いだく若者を代表する立場からの発言などがなされた。若者は、「現地では原発を支持している訳ではない、仕事が欲しいだけ」と現状の地元の若者を代弁しつつ、村八分状態ながらしっかりと毅然として決意を明らかにしていた。
 原子力資料情報室の澤井さんは、「建屋の見える場所で集会が開かれることの意味、何とすばらしいことか、是非、未来の世代につなげたい。空気はフクシマとつながり放射能に安全はない」ことを強調し、参加者を鼓舞激励していた。
 その後、町内のデモ行進に入り、500有余のデモ隊は道路一杯になり、連続的にシュプレヒコールをあげ続けた。町民は玄関に出てきて手を振る方、窓越しから戸惑いの中で見つめる方と様々であったが、確実に現地行動の意義が伝わって来ている事を実感できる集会・デモとなっている。
 さて、この集会前段の6月6日、函館地裁において「大間原発差し止め裁判」第10回口頭弁論が行われた。今回は、青森現地で大間町のコンブ等、海産物を通信販売している女性が陳述し、「原発事故による問い合わせが相次ぎ、事故が起きれば根こそぎ生活が奪われる」と訴えかけた。
すでに10回を数え、その進行が原告団の想いが強く反映される内容となっていることへの危機感が裁判所自体にあるようで、これまでの進行を見直す提案がなされていると聞く。最高裁でも全国の原発裁判が函館地裁方式として定着することへの恐れから、裁判官への圧力もかけられているようだ。これまでは準備書面を弁護団からのパワーポイントによる説明、原告陳述も2名からなされ、傍聴席も足りない状況に対しての法廷の拡大要請等、この裁判は司法の既成枠を取り払う勢いをもった進め方となっているからである。民衆の創意工夫は権力の基盤を揺るがすことになる。民衆法廷への一里塚として大間原発差し止め裁判が進んでいる。
 函館市も、行政として始めて差し止め裁判を提訴しようと準備を進めている。弁護団は市民が訴えた訴訟の弁護団が大半を占め、二重の裁判として原発推進勢力には重しとなっていくことはあきらかである。
次回の裁判は11月1日、それまでに原子力規制委員会が独立性を保持して、大間原発建設地周辺の活断層により建設は困難であることを指摘する結論を出すことを期待したい。そのためのあらゆる反対行動を作り出していきたい。(北海道M通信員)


福井・大飯
 6・29〜30現地全国集会に450名
 大飯とめろ
   高浜再稼働阻止


 六月二九〜三十日、福井県おおい町などにおいて「福井から未来へ!原発のない世界を!6・29〜30全国集会」が、「STOP☆大飯原発再稼動現地アクション」の呼びかけにより行なわれた。大飯原発3,4号機の停止と、高浜原発の再稼動阻止を求めるためである。
 六月三十日には、大飯原発3,4号機に隣接する、おおい町大島公民館において全国集会・デモが行なわれ、約450名の労組員・市民・学生が結集した。
 この全国集会に先立ち二九日には、現地若狭湾の小浜市において、明通寺の中島哲演氏ら地元反対活動家との交流、演奏会など多彩な取り組みが企画され、約350名が集まったと聞く。
 原子力発電をめぐる情勢では、原子力規制委員会が六月十九日に原発新規制基準を決定し、七月八日から施行されようとしている。安倍政権が原発推進・再稼動容認の政策を露骨にしていることを背景に、各電力会社は、この新基準施行を待ってましたとばかりに、一斉に再稼動の申請を行なおうとしている。
原発集中地帯の若狭湾では、高浜原発3.4号機の再稼動がまず狙われている。六月二七日、福島原発事故で延期されていたフランスからのMOX燃料の搬入が、高浜原発で強行された。国内唯一再稼動中の大飯原発は、新規制基準に適合しないままの運転が容認され、停止されないままとなっている(九月の定期検査で停止するが、早期再稼動を狙っている)。
 こうした原発推進勢力の巻き返しの情勢下、今回の大飯現地での全国行動は、それを許さず、怒りをぶつけ、今後の闘いを確認する大衆的行動となった。
 6・30全国集会の参加の一翼として、大阪からの釜ヶ崎日雇労組は、45名がバス『勝利号』でかけつけた。集会後行なわれた大飯原発3号機ゲート前までのデモ行進では、釜ヶ崎労働者は被曝労働を許さんぞ!などのシュプレヒコールをあげて、全国の仲間との連帯をアピールした。
 往路のバス内で、釜日労・佐々木書記長は情勢報告を行ない、「安倍政権は当面、改憲策動を射程に入れながら、この七月の参院選挙での政権基盤の確立をねらっている。選挙では自・公・維新の勢力の追い落としを図るために、行ける人は投票所に行こう。だが、大事なのは、俺たちの大衆的行動の積み重ねだ。一年をとおして、社会的就労の拡大などを求めて闘っていきながら、脱原発、反TPP、改憲阻止などの諸課題と結びつけていくことが勝利のカギだ」と檄を飛ばした。
 更なる現地行動が問われてくる。現地行動をはじめ、関電本店前の「金曜行動」など関西での闘いの積み重ねが、原発を消滅させていく道である。ともにガンバロー。(釜ヶ崎I)
 

「最後のセーフティーネット」生活保護法の改悪を許すな
  地域から貧困の連鎖断て

 二年前、大阪・橋下市長が生活保護受給者への「自己責任」論をぶちあげた時、生活保護受給者には「厳しい冬将軍」となると考え、危惧してきたが、実際、その後の生保受給者へのパッシングが、お笑いタレントの親の受給叩きに端を発し、制度の本質的論議は抜きに、「不正受給」として焦点化され、極度にマスメディアを活用して全国に広がった。
 そして昨年末の総選挙で自民・公明が復権し、安倍政権が成立するやいなや、生活保護切り捨てが現実の政策となった。一月に厚生労働省の審議会報告(生保受給者と低所得者を比較し、受給額が高すぎるなどとするもの)が出され、田村厚労相は新年度から生保基準10%切り下げの方針を示した。
 こうして2013年度予算では、この八月から三年間かけて平均6・5%、最大10%の生活扶助費切り下げ等の内容が入り、四月から施行されている。
同時に、今国会では参院で廃案となったが、生活保護法じたいの改悪案が出されている。この改悪案では、「不正受給」者と受給者との差別化を図るとしつつ、受給者が働いて得た収入を積み立て、保護からの脱却後に支給する「就労自立給付金」制度、また、求職活動の積極的な人へ就労活動促進費を支給する「奨励金」制度を導入しようとしている。他方、不正受給に対しては罰則を強化し、ペナルティを加算するという。
 まさに飴とムチを織り交ぜつつ、改正のすべてが生活保護受給者のみを対象とするものであるかのように仕向けている。その改定の突き進む方向は、生活保護基準と連動する地方税の非課税、各種保険の減免、就学援助等の対象者が切り捨てられていくこととなる。地域最低賃金の引き上げの抑止要因にもなる。生保基準の切り下げは、全国民に対する福祉政策の見直し・後退であり、不正受給に名を借りた改定、改悪そのものである。
 つい最近、一つの裁判の判決が言い渡された。その内容を見ると、「生活保護受給が心苦しく、辞退して心中を図り、母親を承諾殺人した」とするものである。まさしく困窮の中で「自殺を試みてきた」という現状に手を差しのべる社会的仕組みが不充分な中では、今まで以上に受給を「恥」とする生活者が蔓延することは明らかである。不正受給をターゲットとする結果、生保が必要なのに辞退してしまう人を数多く生み出している現状を踏まえ、生活保護制度の抜本的改正が考えられるべきである。
 受給者が不正として摘発されている事実の中味は、金額ベースで支給額の0・5%でしかないのであり、受給の圧倒的多数は下層の困窮者である。
 生活保護受給申請を窓口で辞退させる「水際作戦」を押しすすめる根拠となった厚労省「123号通知」が破棄されず、厳然と存在している。この中で、今回の改悪での申請手続きの厳格化・複雑化はまさしく、補足率3割(生保を受けることができる人の内で、実際保護を受けている人の割合)に満たないといわれる現状を悪化させるものでしかない。これら生保入り口での改善もなく、不正受給者との「差別化」を図るための罰則の強化は、補足率の低下をもたらし、貧困の連鎖を生み出していくことになるだろう。
 一方では独占資本の海外展開に奉仕し、他方では社会福祉政策の改悪をすすめる安倍政権に反対し、地域からセーフティネットの確立のための運動を作り上げよう。(M)