編集部だより 

★安倍政権の推す黒田氏が日銀新総裁に着任し、業界では、日銀執行部の転換をオセロゲームにたとえるようである。総裁が白川氏から黒田氏に変わった、その名にちなむようだ。★だが、それだけでなく、従来、白川氏の方針を支えていた日銀審査委員が、二名を除き、黒田総裁の「異次元緩和」にすんなり改宗したことをもって、オセロゲームと言う論者もいる。★外国人の投機マネーの主導による円安・株高は、昨年の十一月ごろから一本調子で進行し、黒田新総裁の四月の水ぶくれ作戦の表明後も、その動きは変わらなかった。安倍首相も、黒田総裁も鼻高々であった。★しかし、黒田総裁の「異次元緩和」による脱デフレは、多くの市場関係者に当初より懸念をもたれていた。円安・株高の他方での、国債金利の乱高下は、その懸念を代表していた。★ところが、日経平均株価の終値は、五月二十三日に一一四三円安、二十七日に四六九円安、三十日に七三七円安と、立て続けに急落した。この一週間で、二〇〇〇円強の暴落である。★多くのエコノミストは、この間の過熱相場の調整だと言う。だが、バブル時代をはるかに超える世界的な投機マネーが次にどのように動くか―疑心、暗鬼を生ず、である。★カジノ資本主義のマネーゲームは、オセロゲームよりはるかに不確実性をはらんでいるからである。(竹中)