6・2脱原発共同アクションに8万5000人
 再稼働反対!原発ゼロへ

 六月二日の東京で、同日巨大アクション、ノー・ニュークス・デイとして反原子力発電三団体などによる共同行動が取り組まれた。これは、七月に行なわれる参院選挙および原発新安全基準施行を意識し、改めて脱原発の世論と運動をもりあげ、政府・電力資本を圧倒するためである。

 6・2芝公園

昼間には、「6・2つながろうフクシマ!さようなら原発集会」が東京・芝公園23号地にて、「さようなら原発一千万人署名」市民の会の主催で開かれ、主催発表で実数7500名が参加した。
 合流し連続する形で午後四時からは、「0602反原発?国会大包囲」が首都圏反原発連合の主催で行なわれ、主催発表8万5000名が参加した。
 また、原発をなくす全国連絡会など日共系は、明治公園で「6・2原発ゼロをめざす中央集会」を開き、これも国会大包囲に合流した。
 この持続する、すぐに原発やめろ!の圧倒的市民の声は、原発推進で「成長戦略」を唱える安倍政権の孤立ぶりをバクロした。
 芝公園での集会は、一千万人アクション実行委員会に参加する平和フォーラムや市民団体、様々なグループ・個人が全国から結集して会場をあふれるほど。23号地の集会としては、03年3・21のイラク開戦反対での四万人結集、それ以来とも思える。
 集会は、呼びかけ人では大江健三郎さん、落合恵子さん、鎌田慧さんが発言。鎌田さんは、「原発は破綻した二十世紀的遺物。これにしがみつくのは、9条を変え、核武装する意図。安倍政権を打倒しよう!」と訴えた。
 福島県の農業者・渡部ミヨ子さんは、「放射能被害をいちばん知る日本が、なぜ原発輸出か。成長戦略にだまされず、考えを改めよう」と語った。静岡からは東井怜さん(原発震災を防ぐ全国署名連絡会)が、浜岡原発の危険と「緑茶会」運動について語った。
 ここで、ゆるキャラ?のゼロノミ・クマさんが登場、「原発ゼロノミクス」(「アベノミクス」での脱原発か経済成長かではなく、原発をやめたほうが経済にもよいのだとする対抗キャンペーン)を宣伝した。
 原発立地点からの訴えは、七月以降、再稼働がもくろまれている伊方(愛媛県)、泊(北海道)、高浜(福井県)、川内(鹿児島県)などからであった。
 国会行動がミサオ・レッドウルフさんから案内された後、東電本社前を経由するデモ行進に出発した。

 6・2国会大包囲


 続いて、午後四時から国会周辺や首相官邸前で「国会大包囲」が始まった。デモ後の人、新たに参加の人、続々と議事堂に攻め上ってくる。
午後五時、完全包囲が宣言され、国会正門前で大集会が開始された。首都圏反原発連合が、「参院選、規制基準施行に対し、脱原発の世論を可視化しよう」と主催あいさつ。各議会政党も連帯あいさつ。
続いて首都圏反原連の五つの協力団体、さようなら原発一千万人アクション、原発をなくす全国連絡会、経産省前テントひろば、再稼動阻止全国ネットワーク、脱原発世界会議がアピール。再稼動阻止全国ネットの柳田真さんは、「再稼動を阻止するためには、今日のような集会・デモ、選挙・議会闘争、そして現地阻止行動、この三つが必要。現地行動を全力で支えよう」と訴えた。経産省前テントの正清太一さんは、第一回裁判と今後の取り組みを報告した。
原発現地からは、泊現地での再稼動阻止7・13全道集会、青森の六月大間現地行動、むつ中間貯蔵施設反対などなどが訴えられた。
以上、主要三団体の共同行動は、大きな力を発揮した。さらに連帯をひろげ、原発推進の安倍自民党を打倒しよう!(東京A通信員)


 5・23
 国提訴は職権乱用
   「脱原発テント」初公判に抗議の人波
 
 5月23日、原発推進路線への回帰を企図する国が脱原発テントの撤去を求めて起こした民事裁判の第一回口頭弁論が、東京地裁(村上正敏裁判長)で行われた。
 訴えられた経産省前テントひろばの側は、これに対して一歩も引かず反撃していく態度を固め、訴訟取り下げ要請署名運動を展開(20日現在3532筆)してきた。
 5月16〜22日には、テント前でハンストを決行。
 国が勝手に訴訟対象者を二名に限定したことに異議をとなえて「当事者」(被告人)の募集を行ない、これに応えて23日段階で287人が申し出た(その後数日で300人を超えた)。「経産省前テントひろば応援団」が、落合恵子さん、鎌田慧さん、瀬戸内寂聴さんなどの呼びかけで結成された。
 第一回公判当日には、三百名が駆け付けて傍聴を求めて並んだ。傍聴できなかった人々(傍聴券は26名分のみ)は、大法廷の使用を要求して抗議の座り込みを行なった後、地裁の周辺のデモをやり、「訴訟を取り下げろ」「再稼働をやめろ」と訴えた。
 法廷では、「被告人」の正清太一さんと渕上太郎が意見陳述をした。
 正清さんは、仲間たちとテントを立てたのは「福島で私が見てきたこと、そして感じてきたことをできるだけ多くの人に伝えたいという思いがあったから」だと述べ、「自分の責任さえ取ろうとしない政府や経産省が、テントの立ち退きを要求して訴訟を起こすなど、職権乱用である」と訴えた。
 渕上さんは、「東電社員2名は1号機建屋でなくなっておりますし、いわゆる関連死された人々では一二〇〇人を超えています。なぜ相馬市の酪農家菅野重清さんが、『原発さえなければ』と書き残して自殺しなければならなかったのでしょうか。なぜ川俣町山木屋の主婦渡辺はま子さんが、焼身自殺しなければならなかったのでしょうか」、「まれにみる大事故であったにもかかわらず、誰も責任をとっていない」と指摘、「テントひろばは、原発事故に対する国民的な怒りの表明であり、多くの国民の共同のもの」「公道に面する空き地にテントを立てて抗議の意思を表明することは、民主主義的な権利の行使」だと主張し、「司法は、国による訴権の乱用を戒め、申し立てを却下すべき」と訴えた。
 テントは、被災者、避難者、国民、世界の人々が霞が関・永田町に来て一緒になって声を上げる足場となってきたのである。国家権力の中枢地区で、抗議テントが「不法占拠」の形で長期に存続できてきたのは、広く深い民衆の怒りの故である。怒りの原因は、福島第一原発崩壊の事故を起こし、周辺の広大な地域を人間の生存できない場に変え、そのために多くの人を死亡させ生活破綻に追い込み、放射性廃棄物を垂れ流し続け、子どもたちの被爆を放置し、刑事責任を誰一人問うことなく、補償も出し渋っている国の側にある。
 経産省前テントに対する「土地明け渡し訴訟」「1100万円の損害賠償」は、こうした事故の責任を頬かむりしたまま、民衆の批判を抑圧・封じ込めて再稼働実現・原発推進路線に回帰する策謀の現れに他ならない。その意味では、抗議する自由のための闘いにもなってきているのである。
 口頭弁論後、報告集会が弁護士会館で開催された。次回公判は、7月22日。連帯し闘っていこう。(東京M通信員)


福島原発「刑事責任」追及し5・31大集会
 東電・国を起訴せよ

 五月三十一日、東京・日比谷野外音楽堂において、「5・31福島原発事故の厳正な捜査と起訴を求める大集会」が福島原発告訴団の主催で開かれ、福島県・全国各地の原告参加者をはじめとして約一千名が参加した。
 集会後、参加者は、東京地検前で検察庁に対して起訴を求める「激励行動」を行ない、東京電力本社前では要請文提出などの「抗議行動」を行なった。
 集会では最初に、主催者や弁護士から現況報告、「昨年六月に刑事告訴してから一年も経つのに、いまだに検察の動きは鈍い。これだけの大事件を起こしておきながら、強制捜査すら行なっていないのは許せない。ただちに起訴せよ!」と訴えた。権力は、労働者人民の運動に対しては逮捕や家宅捜索を簡単に行なうが、東電などに対しては未だにガサ入れすら行なっていないのである。
 続いて福島からの叫び、全国からの叫びとしてリレートークが行なわれた。福島県内からのトークでは、「山下俊一を起訴せよ!彼に予防医学という言葉はないのか!」の声も上がった。今も高い値での低線量被曝を県民に許容していることについて、刑事責任を問うものである。また、収束作業や除染での被曝労働者の命と権利を守れ、被災者こども支援法を稼動させ広い範囲でこどもを放射能から守れ、などの声も上げられた。
 集会は、決議文を挙げた後、「福島の叫びを聞け!」などのシュプレヒコールを上げて締めくくられた。
決議文は次のように述べている。「巨大な事故を引き起こした政府や企業が何の責任も問われなければ、法治国家としての土台は崩れ去り、日本社会の信頼は損なわれます。責任ある日本社会を構築するためには、企業、国の犯罪が正しく追及されることが必要です」。
東電・国に対する民事訴訟(損害賠償請求)は数多く提訴されているが、刑事訴訟の求めは(筆者の知る限り)これしかない。刑事責任が問われなければ、東電・国に責任を取らせたことにはならない。
なお、福島原発告訴の概要は次のとおり。2012年6月11日および7月17日、福島地方検察庁に告訴・告発状を提出。
告訴・告発人=原告は、武藤類子、石丸小四郎、佐藤和良ら福島県民を始めとする全国1324名。原告側弁護士は河合弘之、保田行雄など。
被告は、東電関係では勝俣会長、西澤俊夫社長、清水正孝前社長、吉田昌郎・福島第一原発所長など、国関係では斑目春樹・原子力安全委員会委員長、近藤駿介・原子力委員会委員長、山下俊一・福島県放射線健康リスク管理アドバイザーなど(肩書きは当時)。
訴えは、「被告訴人らは、地震発生頻発国である日本において超危険物である原子力発電所を運営するにあたって、炉心損傷や溶融等の重大事故の発生を予防し、また、重大事故が発生した場合に被害の拡大を最小限にとどめるために適切な安全対策を講じる注意義務があるにもかかわらず、これを怠り、その結果、告訴人らに被害を負わせた」とし、業務上過失致死傷罪、公害犯罪処罰法違反、業務上過失激発物破裂罪を問う。
 昨年6月の福島県民など1324人の告訴・告発に続き、11月15日には福島地検に第二次告訴が行われ、新たに全国各地から13262人が告訴・告発に参加した。
(東京W通信員)