土建・官僚政治復活の安倍反動政権を打倒しよう
  左翼的・民主的な共同戦線を

 安倍自民党は十二月総選挙で、民主党の敵失によって衆院単独過半数という望外の勝利を得、十二月二六日に第二次安倍自民・公明連立政権を発足させた。年が開け、経済対策を中心に諸政策が開始されつつある中、一月二八日に通常国会が開会、安倍晋三首相の所信表明演説が行なわれた。
 安倍政権の当面の性格、および政党情勢ついて簡単に検討してみよう。
 総選挙公約で「国防軍」「憲法改正案提出」をぶちあげた安倍自民党であるが、第二次安倍政権は、「経済再生」を当面の最大課題に掲げて出発した。これは、日本経済のデフレ脱却で何らかの成果をあげ、今夏の参院選挙での連勝につなげようという策略である。
これは、06年の第一次安倍政権が「戦後レジーム打破」を掲げたことと様相が異なるが、もちろん彼の極右反動の本質が変わったわけではない。いぜん低迷する自民党支持率、極右台頭を懸念するアジア諸国や米国の視線、これらに対して安倍カラーを今現在は自制し、安全運転に努めているにすぎない。安倍は所信表明演説では、「憲法」について何も語らなかった。しかし、13年度予算案提出(二月下旬予定)に伴う施政方針演説では、改憲にも踏み込んでくるだろう。
目玉の経済政策、いわゆるアベノミクスは、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「成長戦略」の三本の矢と称される。安倍政権は一月十一日、12年度補正予算案10・3兆円の緊急経済対策を閣議決定した。これは、08年国際金融恐慌勃発時の麻生政権による財政出動に匹敵する。つづいて一月二二日、通貨政策の政治的中立を侵害して日銀に迫り、物価上昇目標2%等の政府・日銀共同声明を発表した。
アベノミクスは、公共事業バラマキ・利益誘導政治の復活である。「富の創出」をすべて大資本頼みとし、所得再分配の社会保障政策を「縮小均衡の分配政策ではなく」として切り捨てる。セーフティネットの社会保障政策すら、生活保護基準の切り下げに踏み込んだ。
投機資本が活発化し、株バブルによって見かけ上の企業決算は好転した。日銀は金融機関への無期限資金放出を開始した。しかし、そのカネを使って持続的な内需・雇用をつくる資本家はいない。投機資本が肥大化するだけである。結局、安倍バブルは破綻し、財政危機の深刻化だけが残る。なにが「憂国の念」か、亡国ではないか。
このように安倍政権は、官僚主導政治の復活であるため、官僚規制緩和を進める新自由主義路線は漸進的なものとなった。市場まかせでは日本資本主義が縮小・崩壊する、国家権力が一時的にでも前面に出なければというわけである。
こうして急進的な新自由主義の政党と、それを手直しする政党、という二大政党の枠組みが崩れている。安倍自・公政権は、課題別で野党を使い分けるだろう。消費増税では民主党、新自由主義の政策ではみんなの党や維新の会、改憲では維新の会、というように。
こうした政党情勢下で、左翼的・民主的な「第三極」政治勢力の共同を、いかに大きくしていくかである。社民党や日本共産党には、今夏参院選での自党の生き残りに固執するのではなく、新しい共同戦線を展望したところの解党的な出直しが求められている。(了)