12・8釜講座
 「西成特区構想とはいかなるものか!」
   反失業の成果を広げよう

 十二月八日、釜ヶ崎と市民をつなぐ市民団体・釜ヶ崎講座が、大阪市のエル大阪にて「第18回釜ヶ崎講座講演の集い」をひらき、約50名が参加した。
 今回は、「『西成特区構想』とはいかなるものか!医療・福祉・生活保護を中心に―」をテーマに、西成特区構想の「有識者座談会」委員の一人でもあった原昌平さん(医療・福祉ジャーナリスト)が講師であった。
 原さんはまず、有識者座談会の役割りにふれて、「九十年代から野宿者が大阪で増え続け、これに対しての運動が起こった。それまで行政は場当たり的に対処するだけで、本格的な取り組みにはならなかった。座談会では、西成で住み働く人にも参加してもらい、その意見を取り上げていった。その点では、しっかり実行していける体制を作り上げれば、釜ヶ崎の諸問題の前進につながるのでは」と語った。
 そして、有識者座談会での議論を以下のように要約し、紹介した。
@就労・労働の問題では、特別清掃事業の解消ではなく、必要なものとして評価。今後は、西成の実状に合う、民間やNPOが主体の「社会的企業」の確立のために、アイデアや人材の集積が必要。それを行政が、おもに資金援助をしていくことが重要。
A生活保護制度は西成では、孤独死・自殺に対し確実に歯止めをかける役割りを果たしてきた。居場所づくり、社会的自立でのケアの整備、具体策がますます必要。
B西成労働センターの移転・立替えに伴う問題としては、医療センターの機能の廃止、とりわけ入院・定額医療の廃止ではなく、単身高齢者など利用者にとって、その役割を果たせる近隣への移転・機能維持が必要。
 など、橋下大阪市長が掲げる新自由主義的発想(競争と格差の公然たる容認)とは、むしろ相反した形で、有識者座談会は議論を進めてきたことを紹介した。
 これに対し質疑応答では、釜ヶ崎の労働者から、「特掃は釜では格段の意味合いを持っている。特掃もシェルターも南港臨泊もなくなるんじゃないか、という不安の声が出ている。特区構想の中味が我われにいいものなのか、つかみにくい」と質問も出された。原さんは、「問題を解決していく一つの方法としては、各分野の会合などを通じて、皆さんの運動側のほうから提起し、課題の焦点化を図っていくのも有効なのではないか」と応えた。
 いずれにせよ、反失業連絡会や釜NPOなどが長年、血と汗で作り上げてきた就労を基軸とした実績を足場として、今後の「特区構想」を受けての闘いの設定となる。この長年の経過を知らない多くの市民に、共感と連帯を促せるような取り組みが、今後ますます重要となるだろう。今回の集いは、その一つの前向きな学習の場となった。
 おりしも釜ヶ崎では、12・28〜1・7の期間で第43回越冬闘争に突入する。安心して住み働ける釜ヶ崎の実現のために、また、この冬、一人の犠牲者も出させないために越冬闘争が貫徹される。釜ヶ崎講座を含めた越冬支援共闘の集会は、十二月二十三日に行なわれた。(関西I通信員)


三里塚11・28
 横堀団結小屋破壊を糾弾する!

 十一月二八日、千葉地裁八日市場支部は、成田空港会社が三里塚闘争と一坪共有地運動への敵対の一環として横堀団結小屋破壊を設定した意図を忠実に代弁し、強制撤去を強行した。われわれは、千葉地裁の成田空港会社と一体となった暴挙を糾弾する。
 二八日、午前六時、横堀団結小屋前に集まった仲間たち三〇人は、「横堀団結小屋破壊許さない!一坪共有地を守りぬくぞ!」の横断幕を掲げ、「団結小屋破壊工事をやめろ!強制執行をはねかえすぞ!われわれは最後まで闘うぞ」のシュプレヒコールを横堀地区一帯に響かせた。
 柳川秀夫さん(空港反対同盟代表世話人)、加瀬勉さん(大地共有委員会代表)、山崎宏さん(団結小屋住人)は、団結小屋内で待機する。外の仲間たちは、ガッチリとスクラムを組んでいった。
 午前七時過ぎ、執行官と執行補助員がガードマンに守られながら小屋前に到着し、栗原執行官が柳川さん、山崎さんに立ち退きを通告する。ガードマンが仲間たちに襲いかかってきた。だが仲間たちの反撃によって蹴散らされた。形勢不利と判断した敵は、「打ち合わせ」どおりに機動隊に「援助要請」し、一人一人の腕を持ち、引き抜いていった。さらに執行官、ガードマン、機動隊は、団結小屋敷地内に進入し、柳川さん、山崎さん、加瀬さんを排除した。
 団結小屋は破壊されたが、新たな闘う拠点として成田空港の完成化を阻む横堀大鉄塔隣の案山子亭に、反対同盟、大地共有委員会の連絡先は移設された。用地内拠点の横堀大鉄塔と案山子亭、木の根ペンション、一坪共有地を守り抜き、全国の脱原発運動をはじめ民衆の闘いと結びつきながら、空港会社の野望を打ち砕いていく陣形をさらに構築する。(「三里塚空港に反対する連絡会」の声明より、編集部責任で要約)