12・16総選挙
  安倍自民党の奪権阻止
     脱原発・消費増税反対等の候補に投票を

 野田首相が、民主党「泥舟」化による政権危機から逃れるため、突然十一月十六日に衆議院を解散、十二月十六日の総選挙となった。これは野田にとっては、不信任決議を受けるよりは、与党負け覚悟の勝負に出たという類のものであり、また大枠では、野田民主党と自民・公明との、このかんの3党合意に沿った解散となっている。
労働者人民の脱原子力発電などの闘いは、野田民主党を動揺・分解させてきた底流の力であった。しかし、その力が、政権を追いつめて総選挙を強制したとまでは言えず、むしろ支配層のペースによる解散である。こうした階級的力関係の結果、現時点においては、自民党が政権復帰する危険性が高くなっている。
総選挙での第一の課題は、より右傾化した反動野党の筆頭、安倍自民党の政権復帰を阻止することである。
安倍晋三が総裁に復帰した自民党は、原発・憲法・教育などにおいて野田民主党よりもいっそう悪質であり、「右傾化する日本」そのものである。安倍自民党は十一月二十一日、その総選挙公約を発表した。
その「原発」では、「再稼動は順次判断、電源構成のベストミックスを確立」とし、今後も原発を維持・強化する。「教育」では、「自虐史観偏向教育は行なわせない、教育委員会の責任者を首長が任命、教科書検定の近隣諸国条項を見直す」。「TPP」では、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加反対」と条件を付けつつ、参加方向をとる。「憲法」では、「国防軍の保持、改正提案要件を衆参過半数に緩和」の改正案の国会提出。その他、「集団的自衛権行使の明確化」、「従軍慰安婦問題の言説に反論」、「尖閣に公務員常駐、『竹島の日』に国の式典」など極右色満開である。
 特徴的なのは「経済成長」の公約である。「日銀法改正も視野に、政府・日銀の連携強化」とし、政見では、日銀の国債引き受け・公共事業バラマキを主張した。常軌を逸した利益誘導政治(官僚主導政治)への復帰である。デタラメ、極右の安倍自民党を粉砕せよ。
第二の課題は、脱原発、消費増税・TPP・オスプレイ配備への反対、これらが明確な議員を一人でも増やし、それらの闘いに有利な国会状況を勝ちとることである。これらの政策をとる候補者に投票せよ。
 とくに、「3・11」以降の脱原発の前進を、総選挙と国会構成に反映させることが問われる。脱原発世論の拡大によって、今や政治家による「脱原発」言説の大安売り状況となっている。これは闘いが拓いた地平でもあるが、多くの罠が仕掛けられた状況ともいえる。再稼動反対などの実質を求めなければならない。
第三の課題は、現在の議会政党情勢の混迷を超え、議会諸政党にたよらない労働者人民の政治勢力化を進めていくことである。
前回総選挙での民主党支持率を例外として、近年、すべての議会諸政党の支持率は低迷している。今回総選挙でも、一党の単独過半数はありえず、不安定な連立政権が続くとみられる。最悪は自・公・維新の連立であるが、自公民の大連立もありえる。いずれにせよ高い支持率による安定はない。
橋下「維新の会」は、東京都知事から転じた石原らの一派と野合し、十一月十七日に野合版の「日本維新の会」となった。旧来のタカ派自民党系との野合によって、維新の脱原発も消え、イメージダウンしてしまった。
十一日二八日には「日本未来の党」が結成された。これは、09年政権交代で与党に参加し、その後離反した諸勢力の再結集である。違うのは、その再結集が「3・11」後であること、脱原発の新しい勢力を含めている点である。
日本の労働者人民は、民主にも自民にも、乱立諸政党にもあきあきしている。国会では何も本質的には変わらない、世界を変えるのは、我われ労働者人民自身の闘いと連帯だ。総選挙後の激動にそなえよう!