オスプレイ沖縄配備反対11・4全国集会
 低空飛行訓練阻止の全国展開へ

 十一月四日、東京都心において「止めるぞ!オスプレイの沖縄配備 許すな!低空飛行訓練11・4全国集会」が行なわれ、会場の芝公園23号地をほぼ埋め尽くす約4000名が参加した。この集会・デモ行進は、フォーラム平和・人権・環境と、オスプレイの沖縄配備に反対する首都圏ネットワークの共催で行なわれた。
 このかん米海兵隊の新型輸送機オスプレイの沖縄配備に反対する東京での闘いは、9・9沖縄県民大会の同時行動として、国会包囲行動に一万人が参加。これは、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックをはじめ多くの市民団体によって作られたオスプレイ沖縄配備反対首都圏ネットの呼びかけに、平和フォーラムの諸労組、及び日共系の団体も合流して行われた包囲行動であった。その後の沖縄での普天間全ゲート封鎖の闘いなどを受け、東京でのこの日の取り組みとなった。11・4は平和フォーラム系の参加を主力に、9・9国会包囲に次ぐ大きな行動となり、またオスプレイ反対運動を全国各地に広げる出発点となった。
 集会は最初に、藤本泰成さん(平和フォーラム事務局長)、野平晋作さん(ピースボート共同代表)が主催者あいさつ。
野平さんは、オスプレイ沖縄配備の中止を求める請願署名(十月二四日提出で計38万4708人分)など首都圏ネットワークの活動経過を報告しつつ、「十一月内に本土でも低空飛行訓練が始まるといわれる。飛行ルートの住民や首長と共に、反対運動を全国展開する必要がある。その際の共通スローガンが問われる。沖縄配備の撤回、これを第一に掲げるべきだ。次いで地元の安全を求めるべきだ」と提起した。
沖縄からの発言が、山城博治さん(沖縄平和運動センター事務局長)と、桃原功さん(普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団事務局長、宜野湾市議会議員)からなされた。
山城さんは、「強行配備で沖縄は怒り、悲しみの頂点にある。これを日本政府は一顧だにしない。だから米軍がより横暴になり、またもや強姦事件を引き起こした。このままでは県民総決起で米軍と闘わねばならなくなる。県民はみずからの手で命と暮らしを守り、決して沖縄を再び戦場にはさせない。」「十二月中旬に再度、普天間基地ゲートを封鎖する闘いを準備中だ。今度は全国結集で封鎖する。全国各地の旗をゲート前に立ててください」とアピールした。
桃原さんは、「第一次の爆音訴訟は、損害賠償はあっても飛行差し止め無しの判決であり、第二次訴訟を闘っている。うるさいだけでなく、また落ちないかを心配している。」「沖縄がどこまで頑張ればよいのか、本土の皆さんに問いたい。とくに全国メディアが沖縄報道を軽視しないよう、本土からの働きかけをお願いする」と訴えた。
 問題提起が、新倉裕史さん(非核市民宣言運動・ヨコスカ)、本山央子さん(アジア女性資料センター)からなされた。
 新倉さんは、「政府は七月に、オスプレイの低空飛行訓練について、航空法を適用しないと閣議決定した。日米地位協定に伴う航空特例法をその理由としている。しかし地位協定第5条2項は米軍の移動についてであり、低空飛行訓練の根拠にはならない。法的根拠なく訓練が行われようとしていること、安保条約下においても違法であること、これを関係自治体にしっかりと理解させることが必要だ」とアピールした。新倉さんの提起は、きわめて重要だ。列島7ルートは、地位協定第2条でいう提供区域、いわゆる訓練空域ではない。米軍に日本の空を、好き放題にさせてはならない。
 本山さんは、十月十六日に沖縄市で起きた米兵集団レイプ事件に対する東京での抗議行動などを報告しつつ、性暴力を容認する社会を変えようと訴えた。
 参加団体からは、鈴井孝雄さん(静岡県平和・国民運動センター事務局長)、田附高正さん(沖縄の闘いと連帯する東京東部集会実行委員会)から発言があり、また岩国の米軍住宅建設に反対する「愛宕山を守る会」からの連帯メッセージもあった。
 集会は、「沖縄を返せ」(普天間を返せ)の歌のあと、「オスプレイは出て行け!沖縄から出て行け!」などのシュプレヒコールを上げて、デモ行進に出発した。
 今後どう闘うか。全国結集で普天間基地ゲートを封鎖する試みに注目しつつ、全国各地の低空飛行ルートにおいて、自治体ぐるみの反対運動を起こせるかどうか、これが当面きわめて重要だ。(東京W通信員)
 

政府、Jパワーが建設再開を強行
 大間原発大間違い!
    函館市も、建設差し止め提訴へ

 9・11東日本大震災による未曾有の被害と、福島第一原子力発電所の炉心溶融(メルトダウン)事故という原発震災によって、今なお十数万人の福島県を中心に、東北各県民がふるさとを追われての避難生活を余儀なくされている。そして、生活の地に帰る術もなく一家離散した状況ですでに一年九ヶ月となり、二回目の厳しい冬を迎えつつある。
誰がこの状態を作り出したのか? 「復興」に便乗し利益を最大限追求する独占資本、健康にはいますぐには問題ないとして「福島」を忘れさせようとする輩、自らの政治責任を放棄し利権を守り、いぜんとして原発を推進しようとする政党、まさしく「原子力ムラ」の人々が息を吹き返し再び動き出している。こんな許せない政治を押しすすめる民主党野田政権であるが、これらと敢然と闘う市民はいまだ健在である。
その闘いは、青森県下北半島の核半島化を阻止するために、六ヶ所村の核燃サイクル基地と東通村の原発建設に反対する闘いであり、大間町で建設中の大間原発の無期限凍結、廃止を訴える闘いであり、また全国各地の原発再稼動に反対する取り組みである。
九月に野田政権は、「2030年代までに原発稼動ゼロ」というアイマイなエネルギー環境政策を表明しつつ、しかしこれすら閣議決定できないまま、大間原発など3基の建設途中の原発にはゴーサインを出した。これを受け、Jパワー株式会社(旧電源開発)は周辺自治体に工事再開を通告、十月一日に工事再開が強行された。
 再処理した使用済み燃料を百%燃料として使う大間原発は、核燃料サイクルの継続と一体の存在である。したがって、この大間原発阻止の闘いは、独占資本のそして、その代理人である政党・政治家のアキレス腱であるが故に、厳しい闘いとなっている。福井県・大飯原発の再稼動の強行に続いて、政府が六ヶ所核燃サイクル基地の継続操業と大間原発の建設を容認したことは、高速増殖炉もんじゅの温存とともに、政府の「革新的エネルギー環境戦略」の矛盾を最大限に露呈するものである。
しかしこのかん、核燃サイクルに反対する闘いは、春の「4・9反核燃」の闘い、秋の共同行動として着実な歩みを作り出している。大間原発建設現地でも、北海道と東北の運動体が共同した企画のなかで現地反対集会、デモ、抗議行動が間断なく取り組まれている。
そして海峡を挟んだ北海道道南での闘いは、今まではともすれば分断されがちな取り組みであったものを共同した闘いへと転換させ、大きなうねりとなって燃え上がってきている。
大間原発炉心から23キロの位置にある函館市を含めた周辺の市民が、国と電源開発に対して「建設差し止め」を求める裁判が続けられており、2010年第一次提訴以降、7回の口頭弁論が終わり、この十二月末には第8回の開廷が決定している。そして十二月内に第三次提訴が予定されており、函館や東京の弁護士による大弁護団が無償の応援をする中で優位に進められている。
 さらに函館市の工藤市長が、政府とJパワーによる理不尽な工事再開の進行に怒りを表し、周辺自治体、商工会などの関係団体を網羅して、「無期限凍結」の要求を明確にした行動を展開している。そして、市長曰く「安全神話を信じた私の責任として妥協なく闘う」とし、「人間の尊厳をかけた闘いだ」とまで言い切っている。
 函館市として提訴の方針である。つい先日の十月二八日には、担当部局に裁判闘争を進める担当者を配置し、「人格権・財産権」を盾に住民の生活を守ることを第一義として闘うことを明確にしている。その意味では、引き下がることを拒否した崖っぷちでの闘いを宣言しているものであり、市民の圧倒的多数はそれを支持している。函館市議会も二回にわたって大間原発に関する決議を採択し、今回は市長と共同歩調を取り「無期限凍結」をアピールしている。
 大間原発は、MOX燃料(プルトニウム混合燃料)を全炉心で燃やすフルMOXの、世界初の原発であるが、実験炉も経ないで商業炉として稼動させようとしている。また、建設地の三方向に活断層が指摘され、きわめて危険な地に立地していることも明白である。こんかい工事再開するまでは38%の進捗率であり、今これを止めることが最良の選択肢である。
 市民は言い続けてきてた、「大間原発は大間違い」と。この声が全国に届き大きな力となる時、大間原発建設が止まり、「原発ゼロ」が現実のものになるに違いない。(北海道M通信員)


東京10・13
 さようなら原発集会に6500人
  全国の力で大間阻止を

 十月十三日、東京・日比谷野外音楽堂にて、「10・13さようなら原発集会in日比谷」が「さようなら原発」一千万署名市民の会の主催で開かれ、約6500名の参加で野音を埋め尽くし、その後東京電力本社前などを経由するパレードを行なった。
 集会の主旨は、この九月の政府による新しいエネルギー政策の表明、その「三〇年代原発ゼロ」の欺まん的な性格に対し、一千万署名など闘いをさらに強めていくこと、とくに建設再開が強行された青森県・大間原発を止めさせること、これであった。
 最初に、鎌田慧さん(ルポライター)が主催者あいさつを行ない、「『原発社会』から脱却する闘いはしだいに拡大している。JAが脱原発を決定したことの意義は大きい。農業と、自然と、原発は相容れない。署名は集約数810万に達した。一千万を早期完遂しよう」と訴えた。(JA全中・全国農業協同組合中央会は十月十日の全国大会で、「将来的な脱原発」の方針を決定した。)
 続いて落合恵子さん(作家)やフランスの「NPO脱原発パリ」などからのメッセージ紹介、高橋哲哉さん(東大大学院教授)、大江健三郎さん(作家)のアピール、森園かずえさん(子ども福島ネットワーク)の訴えなどが行なわれた。
被災地福島からの森園さんは、「被災地では除染による安全キャンペーンの中、放射能汚染の継続が隠ぺいされ、子どもたちが屋外の行事などへ駆り出されている。県の姿勢が問われている」と訴えた。また東電幹部などを業務上過失で刑事告訴した「福島原発告訴裁判」、ならびに「福島疎開裁判」を紹介し、前者の原告団への参加を呼びかけた。
集会の山場は、下北半島大間町から駆けつけた小笠原厚子さん(あさこハウス)からの緊急アピールであった。「新規の原発を一基たりとも増やしてはいけない。政府は原発ゼロと言ったのに、ウソつきだ。母が土地を売っていたら、今ごろ大間原発は稼動していた。大間で事故が起きれば、地元だけの問題ではなく、全国の人々が被害者になる」と訴えた。
現地では町当局が大間原発推進の態度の中、親子二代で住民の闘いが堅持されている。用地売却拒否を生前つらぬいた熊谷あさ子さんは、原発すぐ側に「あさこハウス」を建て、厚子さんがそれを継承している。このログハウスに長期居住が可能な設備をもうけて、大間原発ストップの現地の拠り所として強化するために、現在カンパが呼びかけられている。(郵便振替02720−5−108903「あさこはうす発展プロジェクト」)
最後の閉会あいさつは、吉原毅さん(城南信金理事長)で、電力不足や電気料金を口実とした財界主流による原発維持論はもはや成り立たない、原発はいらないとする経営者はたくさんいる、この国民多数の声を実現しようと語った。
大間原発を主旨とした東京での大集会は、これが初めてであった。大間原発の建設再開は、このかん大きく進んだ脱原発の国民運動に対する真っ向からの挑戦であり、政府・独占資本・原子力ムラによる巻き返しである。全国の力で、これを粉砕することが問われている。(東京A通信員)