編集部だより

★柿が、たわわに実る秋。かって秋は、子どもにとって自然の恵みで空腹を満たし、かつ冒険する季節でもあった。子どもたちが駆け抜けると大量の柿が消え、何ゆえか数人の子どもも消える。農家の主につかまり、こっぴどく叱られている。柿・栗・梨・椎の実をほおばり、子どもらは秋を満喫する。しかし今は、真っ赤に熟した柿を見向きもせず、地域で遊ぶ子どもの姿さえ見ることが少ない。★この十二月、滋賀県大津市では、「いじめを受けた子、発見した子は、家庭や学校に相談すること」という、子どもに義務を負わせる条例が市議会で制定されるという。十月十七日に「大津市子どものいじめの防止に関する条例案」が公表され、まもなく提案予定と聞く。★いじめは、誤まった教育政策こそが引き起こしている。新自由主義教育で子ども同士や学校間の競争をあおり、子どもを追い立て、個々ばらばらにする教育が、いじめを激化させている。いじめ通告を「義務」化しても、道徳教育を強化しても、何ら解決しない。教育委員会制度を廃止し、首長の教育統制を強めても、矛盾を拡大するばかりだ。★格差教育ではなく、共に育ち合う教育が必要だ。自然と親しみ群れて遊び、人として育つ教育が、成長期にはとくに必要だ。「あの子はいいな、塾にも習い事にも、一日も行ってない」…つぶやきが聞こえた。(大木)