「日本維新の会」を打倒せよ
  橋下一派の全国政党化は、その破産の始まり

 国会では八月二九日に参院で、首相問責決議案が可決され、八月十日に成立させられた消費増税法案の以外の重要法案が審議ストップ、そのまま九月八日で通常国会は終了した。今はブルジョア政治家の頭は、解散・総選挙の備えばかりとなっている。
 来る総選挙で、日本の労働者人民がもっとも警戒を強め、闘いの用意を固めなければならないのは、政権を握る民主党でもなければ、最大野党の自民党でもない。野田民主党は09年政権交代の積極面をすべて清算したことによって、まったく人心を失った。自民党にも復権の力量はない。自民党は今回、民・公との3党合意で消費増税を強行しておきながら、その消費増税と3党合意を糾弾する首相問責決議案(自・公以外の参院野党七党の提出)に賛成するという、まさに支離滅裂をやってのけた。谷垣総裁は「解散に追い込むためにやむを得なかった」と弁明したが、消費増税を成立させてから早期解散と言っても何にもならない。お前の党こそ早期解散せよ。
 こんな民主や自民は、もう終わっている。両党に、ブルジョア的政界再編成を主導するような力はないのである。
労働者人民が今もっとも闘いの用意をすべきは、橋下「大阪維新の会」に代表される、急速に台頭してきた新自由主義的で右派的な新興勢力である。「維新の会」は、崩れゆくブルジョア二大政党の一部と、地方政治家の一群とを吸収して、近く国政政党化(「日本維新の会」結成)を行なう。「維新の会」は九月四日、総選挙公約「維新八策」の改訂版を発表し、総選挙で国政に大々的に進出して、政界再編成のリーダーシップを握らんとしている。
橋下「維新の会」が、民主・自民に対抗する「第三極」を自称しようとも、その本質が、市場による「選択の自由」を基本原理とする、おなじみの新自由主義であり、すでに破産を実証された小泉改革、この焼き直しであることが明らかとなっている。小泉の新自由主義と違っているのは、関西が母体の「維新の会」が、「道州制」や「地方都市の自立的経営」を強調し、そのメンバー的には中田前横浜市長、山田元杉並区長、東国原前宮崎県知事ら地方政治家をあらたに糾合しつつある点である。
 そして「維新の会」は、安倍元首相や石原都知事に代表される、自民党と保守勢力の中の旧来の右派勢力・改憲勢力との結びつきも強めている。我々日本人民は今、新自由主義的で、かつ極右的な性格をもった反動勢力によって、国会の多数が占拠される危険に直面していると言ってよい。
 この情勢に輪をかけているのが、八月以降急速に高まった、「竹島」「尖閣」をめぐる国益国防ナショナリズムの挙国一致的な宣伝、「韓国・中国になめられるな」式の排外的民族主義の扇動である。
 そして橋下は八月二十一日、「竹島問題だって従軍慰安婦という日韓の課題が根っこにある。強制連行の事実があったのか、確たる証拠がなかった」、「河野談話はそのまま本当に踏襲するのか」と暴言を吐き、安倍や石原らと結託して、93年河野官房長官談話を抹殺する意図を露骨にした。これは、かれらの「竹島」領有権主張が朝鮮強制併合の無反省と裏表であることを示すとともに、日本政治総体を非自民・細川連立政権の以前に逆行させる、極反動の発言である。
 史実を知らない若い世代が、こうした反動的ナショナリズムに刈り取られる危険性には注意しなければならない。しかし、新自由主義右派の橋下にいぜん人気があるのは、その右派性が受けているのではなく、民主・自民に対する「第三極」としての、また霞ヶ関や役人の特権と闘うという、その見せかけに負っているのである(その実、大阪でやっているのは、憲法に違反して、公務員労働者の基本的人権を破壊することだけである)。
 橋下一派が、かりに一時的に政界再編をリードできても、かれらの破産と分解は不可避である。橋下一派の全国政党化は、小泉に輪を掛けた市場原理主義の陳腐性、反中央・反官僚の見せかけと住民自治否定の本質、これらを全面的に露呈させる。国政政党となれば、中央政治が悪いと、責任転嫁することもできなくなる。国政としてのエネルギー政策の決定においては、橋下の「反原発」のいい加減さも暴露されるだろう。
 橋下一派との闘いを、全国政治レベルで強化する必要がある。労働者人民の運動を基礎とした「第三極」政治勢力の共同が必要だ。
 そして橋下一派の破産は、その出身地・大阪の地方政治での失敗から始まるだろう。マネーゲームによる西成再生か、新しい労働と福祉による西成再生か、「西成特区構想」をめぐる闘いは、全国政治に先駆けた橋下一派との主戦場になりつつある。橋下と、それに取り付くブルジョア政治屋どもを打倒せよ。


9・9オスプレイ配備反対
沖縄県民大会に10万1千人


 九月九日の日曜日・午前十一時から、沖縄では「9・9オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が同実行委員会の主催で開催された。普天間基地のある宜野湾市の海浜公園には、シンボルカラーの怒りの「赤」を身に付けた人々、約万人が大結集した。
 県民大会は、沖縄県民の生命を危険にさらすオスプレイ配備を絶対許さず、普天間基地の即時閉鎖をかちとること、この全県民的意思を明らかにした。県議会全会派が参加する中、仲井真知事が参加を拒否したことは言行不一致である。県民は、知事がオスプレイ阻止の断固たる行動を取ることを求めている。
 また同時刻には東京で、「オスプレイ配備を中止に追い込もう!国会包囲」の行動が取り組まれ、国会周辺に約人が結集、手をつないで国会を包囲した。主催は、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックをはじめ多くの団体が参加する「9・9沖縄県民大会と同時アクション」。
 野田政権と米国政府に対し、この日に示された、欠陥米軍機オスプレイ配備絶対阻止の巨万の意思を軽く見ることのないよう警告する。岩国での試験飛行を中止し、ただちに日本からオスプレイを撤収せよ。(詳報次号)