8・5沖縄県民大会に呼応し、東京・大阪で同時行動
 オスプレイは沖縄へ行かせない

 オスプレイ配備反対・普天間基地撤去を求める八月五日の沖縄県民大会は、台風の直撃によって延期されたが、東京などで設定されていた沖縄県民大会との同時アクションは予定通り実施された。
 東京では八月五日の午後一時から、神田の日本教育会館において「10万人沖縄県民大会に呼応する8・5首都圏集会」およびデモ行進が行なわれ、酷暑のなか約一千名が参加した。主催は、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、フォーラム平和・人権・環境など28団体を呼びかけとする実行委員会。
 集会は、一坪関東の下地厚さんの司会で始まり、呼びかけ団体を代表して一坪関東の大仲尊さんが、沖縄県民大会呼応の首都圏での共同行動の形成、沖縄へのオスプレイ配備中止を求める署名運動の開始、七月二十三日(岩国へのオスプレイ陸揚げが強行された日でもある)の首相官邸抗議要請行動など、このかんの経過を報告した。
 ステージには、地上に墜落する形でのオスプレイの大きな模型が展示され、この米軍の新型欠陥輸送機の危険性を認識するうえで、きわめて効果的である。
 つづいて高橋哲哉さん(東京大学大学院教授)から、簡単な講演で問題提起が行なわれた。高橋さんは、「きのう森本防衛相がオスプレイに試乗し、快適だったと言うパフォーマンスが行なわれたが、誰も納得させられるものではない。アフガニスタンの墜落事故ではボイスレコーダーが証拠隠滅されたまま。」「沖縄米軍基地も原発も、わたしの言う犠牲のシステム。オスプレイの本土低空飛行訓練が明らかになり、本土でも反対運動が始まっているが、まだ他人事に止まっている。この本土ルートをもって『日本の沖縄化』と言うのは正しくない。本土ルートが無ければ、本土の人々は反対しないのか。本土沖縄化だから反対ではなく、沖縄への犠牲の押し付け、これに無感覚な植民地主義との闘いでなければならない」と提起した。
 沖縄エイサーの演舞の後、東京沖縄県人会の島袋徹さんが、八月一日に発せられた東京沖縄県人会による「米軍普天間飛行場の固定化とオスプレイ配備に反対するアピール」を読み上げた。
 ゆんたく高江実行委員会からは、「オスプレイ布」を使ったアピールが行なわれた。このオスプレイ布は、米軍機オスプレイの巨大さ(25・8mX17・5m)を感覚するためのもので同寸である。会場の参加者の頭上に布が広げられると、ホールに収まらない巨大さである。これが出す爆音、墜落事故の凄まじさを、いくらかでも想像することができる。
 集会は呼びかけ団体からの発言に入り、平和フォーラムからは自治労東京の金子さん、厚木からは藤田栄氏さん(厚木基地爆音防止期成同盟委員長、第四次厚木爆音訴訟原告団団長)、花輪伸一さん(JUCON沖縄のための日米市民ネットワーク)がアピールした。社民党の福島みずほ衆院議員も発言した。
 集会後半に入り、岩国からのメッセージ(八月五日・田村順玄岩国市議)が、アジア共同行動から紹介された。田村さんは、メッセージの中で、「わたしたちは3日、岩国爆音訴訴訟団の新たな取り組みとして一計を案じ、オスプレイの飛行差し止め・エンジンテストの差し止めを求めて岩国地裁に追加提訴を行ないました。何としても岩国から、オスプレイを沖縄へ送り込むことは阻止しなければなりません」と強くアピールしている。
 なお、七月二十三日の岩国陸揚げに対しては、地元岩国や中国地方からの結集を主力に、阻止集会・海上阻止行動が一千名規模で闘われた。
 最後に、沖縄からの電話メッセージが、山城博治さん(沖縄平和運動センター事務局長)、安次富浩さん(名護ヘリ基地反対協共同代表)の両名から行なわれた。両氏は、延期された県民大会をより強力に準備し、より圧倒的に実現することを表明した(九月に開催)。
また安次富さんは文書メッセージも寄せており、この中で、北部市町村会が七月三十一日に辺野古移設案撤回の決議を初めて採択したこと、また宜野座村の東村長が「オスプレイ配備を強行するなら、村内キャンプ・ハンセン、シュワブの軍用地返還要求もあり得る」と意思表示したことの重要性を指摘している。
なお、大阪でも同日、オスプレイ配備NO!などを掲げる県民大会同時行動が、西梅田公園にて行なわれ約300名が参加した。主催は、沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会、辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動。
直面の課題は、岩国におけるオスプレイ試験飛行の阻止である。米政府が八月下旬に事故調査報告を形式的に出し、これをもって日米両政府は試験飛行を強行せんとしている。そして九月中にも強行せんとする岩国から沖縄への飛行を、なんとしても阻止しなければならない。その前に沖縄県民大会と「本土」での闘いが、圧倒的な規模で問われている。(東京A通信員)


中川おさむ衆院議員を講師に7・21釜ヶ崎講座
  野宿者自立支援法の延長ふまえ

 七月二十一日、大阪市の西成市民館において、釜ヶ崎と市民をつなぐ市民団体「釜ヶ崎講座」による第5回学習会が、「延長ホームレス自立支援法及び生活保護の課題と今後のあり方」をテーマに開かれ、釜ヶ崎の住民をはじめ20名が参加した。学習会では、このかん自立支援法の延長に尽力してきた民主党・中川おさむ衆院議員からのお話し、問題提起が行なわれた。
 冒頭、講座代表の渡邉さんが、2002年当時の、大阪からの自立支援法制定要求の闘いにふれ、「いっかんして社会的就労を当時から要求し、法制定とその後の運用で、社会的就労をどう具体化していくのかが問われてきた。釜講座も、その闘いの一つの媒介としての役割を担っていきたい」と挨拶した。
 講師の中川おさむさん(ホームレス自立支援議員連盟幹事長)は、次のように述べた。「自立支援法5年延長という形で、本年六月可決をみたが、問題は多く残されている。厚生労働省の『生活支援戦略』では、困窮者層に対しての実のある救済とはなりえない。今の日本の新自由主義的な情勢下、自己責任のみが強調されるなか、困難は伴うが、就労面をカナメとした政策の実現を、あらゆる人々との協力をおしまず、進めていくことが自分の仕事だ」。
また国会での情勢にもふれ、「TPP、消費税、原発の三つの課題で、明確に反対していくグループ、集団形成に力を入れたい。『維新の会』の国会進出策など情況は混迷しているが、政策実現に力を発揮していく人びとの糾合に努力する」。
また生活保護制度については、「不正受給」とされる問題のみが浮き彫りにされる今の風潮は、真の救済の道とはほど遠く、生活権を実現していくためには、新たな仕事づくりの仕組み、その実現と運用が重要だと強調した。
以上の中川議員の話しの後、NPO釜ヶ崎支援機構の山田さんが、釜ヶ崎からの問題提起として発言。橋下大阪市政が打ち出している「西成特区化構想」については、その構想では、釜ヶ崎で住み暮らす側の要求、とくに就労の要求との大きな隔たりがある。行政側に対しての、今後の西成の市民・住民の側の動き、地域再生への動きを機敏にとらえながら、我々の働きかけを作っていく、と課題を述べた。
釜ヶ崎も熱い夏を迎え、第41回夏祭りの準備に入っている。安心して住み暮らせる釜ヶ崎をめざして、仲間たちの闘いは続く。(関西I通信員)


下請け・派遣による賃金ピンハネと犠牲の押し付け
 露骨で悪質な被曝隠し 3・11以降も

 福島第一原発の大事故は、東電(電力会社の中心)―通産省―歴代自民党政権の癒着した醜い関係を満天下に暴露した。だが、3・11はそれだけに止まらず、日本の経済・政治構造、科学技術と企業の関係などさまざまな分野の従来のシステムの抜本的変革を突きつけた。
 そんなシステムの一つに、歪んだ日本の労資関係もまたある。
 七月二十一日付けの『朝日新聞』によると、昨年の十二月初旬、破壊された福島第一原発での作業(後に、1号機西側の高台で資材を運ぶ作業と判明)で、露骨で悪質な被曝隠しが行なわれていたといわれる。
 原発での作業員の被曝限度は、「年間50ミリシーベルト」などと法令で定められているのにもかかわらず、下請け会社の役員が、線量計に手製の鉛カバーを装着させ、線量計が発する数値をごまかして作業させていたのである。
 その会社は、東電が発注した仕事の元請会社(東電のグループ会社)である「東京エネシス」の下請け会社である「ビルドアップ社」(福島県の中堅建設会社)である。
 被曝隠しの工事には、12人が参加し、そのうちビルドアップ社側は役員(現場リーダーでもある)を含め4人、残りの8人は青森、福島、福岡の建設会社など3社から送り込まれた労働者である。
 今回の被曝隠しは、線量計の数値を誤魔化す労働安全衛生法違反であるばかりでなく、派遣業の許可のない会社から労働者が送り込まれており、職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)でもある。実は、今回の被曝隠しでは、作業を拒否した労働者が3人おり、この人たちの場合もまた違法派遣であった。というのは、会社都合で雇用契約期間中に辞めさせられた場合には、一定額の賃金補償がなされなければならないのに、それが行なわれていないからである。
 八月三日には、やはり「東京エネシス」の二次下請けの若い男性労働者が、今度は線量計を身に付けずに、4号機西側で作業していたことが発覚した。この労働者は、六月から働き、被曝線量が社内の管理目標に近づいていたといわれる。
 被曝隠しは、以前から横行していたが、3・11以降も続いているのである。
原発労働は、ただでさえ危険で過酷な労働であるが、今回のような事故現場での労働はさらに比較できないほどの危険性をもつものであるのは推測にかたくない。それにもかかわらず、法律違反の原発労働を強いることは、悪質極まりない。このことは、下請け会社の責任のみならず、下請け構造や派遣業を利用して、責任を回避してきた東電本社にもまたあることは言うまでもない。
 下請け労働者などに正規労働者以上の危険性を押し付けてきたのは、従来から明らかであった。すなわち、「(事故前の2010年度の―引用者)原発で働く電力会社社員に比べ、請負会社など社外の作業員の放射線被曝が平均で約4倍の線量にのぼることがわかった。全体の9割近くが社外の作業員であるため、総被曝線量では約30倍になる。」(『朝日』7月26日付け)のである。原発労働は、より危険な作業を下請け労働者に押し付ける形になっており、日本全体の下請け労働の不公正さを象徴するものでもある。
 このことは、当然のこととして、下請け労働や派遣労働の低賃金にも現われている。
 7月27日付けの『東京新聞』によると、昨年七月一日から八月九日の一ヶ月余り、福島原発第一の一号機の収束作業で働いた長崎県出身の男性労働者が、7月26日、下請け上意の日栄動力工業(東京都港区)を職業安定法と労働者派遣法に違反する多重派遣をしていたとして、東京労働局に訴えでた。
 この労働者に仕事を紹介し、給料を支払っていたのは前田工業(長崎県松浦市)だが、放射線管理手帳上の所属会社は、大和エンジニアリングサービス(同県佐世保市)になっていたのである。さらにこの二つの会社の間には、佐世保市の創和工業と福田工業が介在している。
 しかも、大和エンジニアリングは、日当と危険手当の計2万4000〜2万5000円を支払ったのにもかかわらず、この男性労働者にはわずか1万1000円しか支払われていないのである。重層的な下請け構造の下で、この労働者は明らかに賃金をビンハネされているのである。
 同じことは、被曝隠しのビルドアップ社の場合にもみられる。東電が原発工事を発注する場合は、労働者一人当たりの日給5万円が相場であるが、重層的な下請け構造を通して、ビルドアップ社のような地場の建設会社などに回ってくると、2万5000〜3万円程度に減少し、さらに派遣会社を通して労働者が受け取る賃金は、1万5000〜2万円程度になっているといわれる。
 下請け構造と派遣業によるピンハネと下層労働者への犠牲の押し付けという現状にたいして、労働運動総体での変革が緊要な課題となっている。(H)