国会をただちに解散せよ
    消費増税・原発再稼働の民自公3党打倒

 野田政権は、国論が二分されている二つの重要問題、すなわち原子力発電所の再稼動問題と消費税の増税問題において本性をあらわにした。すなわち六月十六日に大飯原発3・4号機再稼動の最終決定を強行し、また六月二六日には消費増税法案を自民党などとの醜悪な「大連立」によって、衆議院で可決強行・通過させた。
しかし国民の半数以上が、性急な原発再稼動や少なくとも現時点での消費増税に反対であることは明らかであった。もはや現行民主党政権は、民意を無視して暴走を開始したのであり、これによって日本人民は野田政権を即刻打倒する権利を得たことになる。
また、現在の国会も民意との乖離がはなはだしい。これはブルジョア議会制度の本質をバクロするものでもあるが、過去二回(消費税導入時、5%への増税時)の消費税採決と比べても、異常な翼賛国会となっている。
衆議院をただちに解散せよ。そして国民の判断を問え。それが、自滅寸前の民主党首相に残された唯一の仕事である。

 大飯原発再稼動の強行は、野田政権が、電力会社など「原子力ムラ」と経済産業省に乗っ取られた政権であることをバクロした。野田やめろ!再稼動やめろ!の人波は、6・29の二十万人(主催発表)を頂点として、首相官邸・国会周辺を埋め尽くした。(記事2面)
国会が消費税で翼賛状態となり、再稼動問題でも機能しない中、今回、人びとはツイッターなどで情報を共有化し、普通の個々人が動き出し、結果、巨万の直接民主主義の行動を実現した。これは日本の労働者人民の運動史上画期的な出来事であるが、国際的には。エジプトのタハリール広場、ニューヨークに始まるオキュパイ(占拠)に示された今日的な直接行動の世界潮流、これを日本で実現するものでもあった。
首相官邸前行動は、脱原発闘争のみならず闘い全般に大きな力を与えた。しかし、急速に拡大した脱原発の戦線では、今後は、連帯の持続、日常的な組織力というものが問われざるをえなくなる。

 消費増税関連法案の衆院通過に先立つ六月十五日に、民主党は自民、公明と消費増税等についての「3党合意」を行なった。このことは、民主党が09年マニフェストの積極面を完全に投げ捨て、「国民の生活が第一」の党ではなく、財界と財務省に乗っ取られた党であることをバクロした。
その民自公「3党合意」を法案化した消費増税関連法案は、三法案から成る。その柱の「消費増税法案」は、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる。
「社会保障制度改革推進法案」は、このかん民主党の主要公約であった最低保障年金制度の創設、後期高齢者医療制度の廃止などを棚上げにし、新設する社会保障制度改革国民会議なるもの(識者20名のただの審議会)で検討し直すとして、事実上撤回するもの。民主党が言ってきた「税・社会保障の一体改革」ではなく、明らかに消費増税先行である。
また社会保障の面では、「認定こども園法改定案」をふくめ、社会保障事業の規制緩和と民営化、自助努力や受益負担の強調、生活保護の適正化の名による締め付け、これら新自由主義政策色が復活している。(なお障害者自立支援法改正問題では、長妻厚労相の時期に障がい者が過半を占める委員会が設けられ、その「骨格提言」が出されていたが、結局、民主党政権はこれを無視した法改定を強行した。)

これら消費増税、原発再稼動を止めるためには、「3党合意」によって民自公の私物国会となった国会、これを解散させることが必要だ。
会期延長で国会は9月8日までとなったが、消費増税法案について、「参院で徹底審議し、廃案に」(『赤旗』主張)という方針は、民自公への幻想を抱かせるだけである。今の国会はいらない、今の政府もいらない、野党をして内閣不信任案を突きつけさせ、解散に追い込んで廃案をかちとる、これが今の方針であるべきだ。
 谷垣自民党は当初、早期解散要求であったが、「3党合意」が成るや、消費増税を成立させてから解散、と豹変した。自民党も、民主党以上に、帝国主義各国による現在の共通の政策に、すなわち投機資本と多国籍企業は規制せず、大衆の犠牲によって財政再建を進め、世界資本主義体制を守るということに忠実である。
民主党からは消費増税法案の衆院採決で、57人が反対し、16人が棄権・欠席した。そのうち小沢一郎ら約50人が新党結成に向かい、党内に残った鳩山由起夫ら24名は「消費増税に反対する議員の会」を作った。これらは民主党の公約裏切り、その当然の帰結であり、また、ブルジョア政界再編が開始されたことを示すものでもある。
闘いは、首相官邸前の大結集のように、大衆闘争・大衆組織の発展がすべての基礎である。そのうえで、議会制度対応では、このかんの闘いの発展を国政選挙に刻印させることが必要だ。原発再稼動・消費増税を認める候補者を、一人残らず落選させよう。