消費税、オスプレイ普天間配備絶対阻止
  再稼働阻止し「原子力ムラ」解体へ


 野田政権は六月四日、「諸懸案を前進させるための環境整備」として、問責決議を受けていた田中防衛相などを入れ替える内閣改造を行ない、消費税増税法案を会期(六月二十一日)内に衆院で可決するために、なりふり構わず自民党との取り引きを進めている。
 09年以来の民主党政権はこうして、それまで半世紀の自民党政治を99%変えることができないまま、自爆して終わろうとしている。自民党と手打ちが成立するにせよ、しないにせよ、早晩総選挙を通じて政界再編成となる。民主党もダメだった、今さら自民党もいやだ、――有権者の意識はこうであり、そこに橋下「維新の会」などの形だけの新興勢力(その実、破産済みの新自由主義右派勢力)が付け込んでいる。来る総選挙をへて何が登場してくるか、予断を許さない情勢である。
当面、消費増税、原発再稼動、沖縄基地問題において、その是非を明確にした政治対応が必要であり、とくに総選挙では、このかんの脱原発の闘いの前進を反映させる対応が問われている。その闘いをつうじて、民主・自民・新自由主義右派と対峙できる、労働者人民の「第三極」政治勢力の前進を図らねばならない。
消費増税問題では、野田首相は、現時期では消費増税に反対とする小沢一郎との会談を決裂させ、自民との協調に走った。与党民主党は事実上分裂状態であり、六月四日の世論調査(『朝日新聞』)でも、消費増税反対は56%で最高値となっている(賛成32%)。ヨーロッパでもギリシャ総選挙、フランス大統領選挙に示されるように、財政危機を大衆の犠牲で乗り切ろうとする政治に反撃が始まっている。消費増税阻止は可能だ。
沖縄基地問題では、日米両政府は1996年SACO合意での普天間基地返還の約束を実行しないまま、欠陥新型機オスプレイを普天間基地に配備せんとしている。七月に那覇軍港にオスプレイを搬入せんとしており、オール沖縄の阻止闘争は不可避である。
オスプレイ配備は96年合意に含まれていたが、日本側が公表文から隠していたものである。しかし、この時はあくまで代替施設への配備計画であり、日米当局も世界一危険と認める普天間基地への配備などではなかった。今回のオスプレイ配備は、SACO合意自体を否定し、普天間基地を固定化する暴挙である。沖縄県民のオスプレイ配備阻止・普天間基地撤去の闘いを、全国民の闘いに発展させよう。
原発問題では、やや詳しく述べる。大飯原発3・4号機の再稼動への突進が、野田政権の命取りになろうとしている。
政府は五月三十日、関西広域連合の知事たちと交渉を行ない、その日の関係閣僚会議(野田首相、細野原発相、枝野経産相、藤村官房長官)において、大飯原発再稼動について地元の理解は進んだとみなし、野田は「私の責任で判断する」と踏み込んだ。
しかし、立地県福井の手続が進んでいるわけではない。西川福井県知事は自分の責任を逃れるため、首相に再稼動開始の号令を出すよう求めている。嘉田滋賀県知事、山田京都府知事、橋本大阪市長らは、「電力逼迫時の一時的再稼動」を認めるとしているが、今の暫定的な安全基準での再稼動を認めているわけではない。世論は再稼動反対がいぜん優勢であり、国・電力会社が発表する電力需給見通しなどは、ほとんど信用していない。それで各県知事も再稼動へ簡単には動けない。
 新しい原発規制機関の設立と、福島第一原発事故の解明結果をふまえた新しい安全基準、この二つさえクリアしない再稼働などというのはトンデモないことである。それは、原発を残すべきと考えている人びとにとっても必要な判断であるはずなのだが、野田や仙石は違う。今夏を稼動ゼロで過ごすと、やっぱり原発はいらない、これが決定的となる。これを恐れる原発利権勢力と彼らは一体となっているからである。
 こうした情勢下、菅前首相が五月二八日、国会の福島事故調査委員会で、当時首相として事故を止められなかったことを謝罪しつつ、「『原子力ムラ』は今回の事故に対する深刻な反省もしないまま、原子力行政の実権をさらに握り続けようとしている。戦前の軍部にも似た、原子力ムラの組織的構造、社会心理的構造を徹底的に解明して、解体することが原子力行政の抜本改革の第一歩だ」と述べた。五月十四日の国会事故調では、東電会長・勝俣が自らは責任逃れをしつつ、菅首相の事故対応を非難した。菅発言は、これにキレタものとも取れるが、内容は正論であった。
 菅は六月二日、湖西市の演説で、「再稼動は、電力不足というより、倒産対策という面がある」と言いつつ、「(総選挙を)国民投票とし、各党がいつまでに原発を止める、止めないと表明することで、みなさんの一票によって、日本の方向を決めていくことが重要だ」とも提起している。
 また六月五日、菅とは別のヘゲモニーで、民主党国会議員117名が再稼動再考を求める署名を首相に突きつけた。再稼動問題でも、民主党は分裂状態である。
 来る「7・16原発いらない10万人集会」の準備では、原水禁系と原水協系が実行委員会を共にしている。それ自体成果であるが、いま要求されているのは、より広い全国民的な共同である。
 菅直人氏は、一国会議員として7・16集会に参加し、「原子力ムラ」との闘いを進める国民的運動との連帯を表明せよ。