3・11以降の闘いの前進を、どう総選挙に反映させるか
  脱原発・消費増税阻止の共同を

 野田民主党内閣は三月三十日、消費税増税法案を閣議決定し、国会に提出した。我われは、この反人民的法案に断固反対するとともに、総選挙への備えを急ぐことが必要な情勢となっている。労働者人民にとっての総選挙への備えとは何か、それは、3・11以降の脱原子力発電などの闘いの前進を、どう国政選挙に反映させるかということである。
さて今回三度目の消費税法案は、かってなく絶望的に提出されている。絶望的と言うのは、消費増税をめぐって民主党内は小沢派などの造反に揺さぶられ、与党国民新党も事実上分裂、野党の自民・公明とは話しが着かないまま、こういう状況での提出だからである。
 小沢派にせよ、国民新党・亀井にせよ、基本的には消費増税に賛成である。しかし、デフレ・震災復興下で消費税を上げることには国民のひろい反発があり、かれらも「現状では消費増税に反対」とせざるをえない。自民党に至っては、消費税10%は元来かれらの公約であり、賛成しない方がおかしいのであるが、今のところ総選挙・政権奪還の政治目的の方を優先させているのである。
 そして与野党のこうした連中の眼中にあるのは、大阪の橋下一派の取り込みを含めたところの、総選挙をつうじた政界再編成であり、それをやれば、後は消費増税でも何でもやれるという算段なのである。
 野田政権が消費増税法案を衆院でなんとか突破させたとしても、参院で立ち往生し、民意に問うとして衆院解散をせざるを得なくなる、あるいは自民・公明と取り引きが成立しての解散となる、どちらにせよ総選挙は近い。
 今度の総選挙は、消費増税法案の成立の見通しが着かないままの総選挙であれ、最悪の場合は成立した後の総選挙であれ、消費増税の最後の審判としての意味をもつ。われわれ労働者人民は、消費増税法案断固反対の世論と運動を強化し、消費増税に反対なのか、賛成なのかを諸政党・候補者にきびしく問う必要があることは言うまでもない。
 しかし、3・11以降の労働者人民の闘いの成果を、国政選挙に反映させ、闘いをさらに前進させるという観点からは、消費増税反対はメインテーマにはならない。この観点からは、脱原発をメインテーマとすべきことが明らかである。
 脱原発の要求は、一見シングル・イシューである。しかし現在の原発再稼動阻止・原発廃止の闘いは、国民大衆と政府・財界とのかってない力比べの闘いとなっており、労働者人民とブルジョア支配階級との階級闘争の総力戦となっているのである。この勝敗は、消費増税、沖縄基地撤去を含むすべての課題の勝敗に影響する。
 脱原発を主要争点に、総選挙への対応を急ぐべきである。このかん脱原発を争点に、かってなく多くの人々が大衆運動に、公共空間に、ぞくぞくと登場してきた。しかし、これら巨万の人びとが、来る総選挙で、「脱原発」あるいは「原発ゼロ」を掲げる社民党や日本共産党に投票するかというと、直接にはそうはならない。社民党や日共は多少の受け皿とはなるが、現状では脱原発世論の多くは、総選挙で受け皿を用意されないままとなっている。
また、民主的で脱原発の立場の地方議員を主力とする「みどりの未来」の人々が、今年七月に「緑の党」を結成し、来年の参院選比例区を戦うとしているが、大きな脱原発世論の受け皿としては、いぜん力量が小さいと言わざるをえない。
 総選挙に間に合う方針は何か。脱原発での総選挙対応の一案としては、政党を問わず、すべての予定候補者に質問を行ない、原発容認候補をあぶり出し、落選させる闘い方などが考えられる。シングル・イシューで「原発再稼動に反対か・賛成か」などを問い、その結果をひろく公表するのである。この取り組みの実施主体は、広い枠組であればあるほどよい。
こうした総選挙対応の闘い方について、責任ある大衆団体の熟考を期待したい。それは急ぐ必要がある。
そのうえで中期的には、昨年「9・19明治公園」に表現されたような、広範な諸勢力が結集する「第三極」的な統一戦線の形成が問われている。「第三極」政治勢力を形成し、消費増税・原発再稼動をもくろむ民主・自民などブルジョア政治勢力を打倒せよ。