普天間問題
  日米合意パッケージ論が破綻
  海兵隊は出ていけ

 現在、日本の労働者人民の闘いの大きなものは、原発の再稼動阻止と脱原発への政治の転換、住民自治による震災復興、沖縄普天間基地撤去・辺野古新基地阻止、この三つといってよい。
この沖縄基地撤去の闘いでは二月以降、重要な出来事があった。一つは、アメリカ政府が自身の都合によって、2006年日米ロードマップ合意を変更することを一方的に明らかにし、驚いた日本政府もこれを追認して二月八日、両政府が在日米軍再編見直し方針を発表したことである。当然、あの民主党裏切りの2010年「5・28日米合意」も見直しである。
この日米合意見直しで、「米海兵隊のグアム移転および嘉手納基地以南の土地返還を、普天間基地の移設進展から切り離す」ことが表明された。今までは、この二つは一つのパッケージであり、辺野古「移設」を認めなければグアム移転も土地返還も無いと、日米両政府は執拗に言っていたものである。この脅しが、完全に破綻した。
これによって、米政権にとって最重要であるのは、グアム米軍基地の戦略的強化を進めることであり、普天間基地の辺野古「移設」ではないことが明らかとなった。発表では、いぜん「辺野古移設が唯一の有効な進め方」と繰り返しているが、空ろにひびく。
グアム基地の統合強化策は、米オバマ政権の対中国抑止戦略から来るものである。軍事的には、強化されたグアム基地を中国とのミサイル戦争、「エアー・シー・バトル」戦略の拠点とすることである。この戦争では、沖縄から西日本はミサイルが飛んでくる戦場となること、したがって一歩後方のグアムが拠点となることが想定されている。
この「空・海戦」想定では、海兵隊の役割・位置が存在しない。精密誘導ミサイルの時代にあって、上陸奇襲という海兵隊の存在理由そのものが、米国では問われているのである。結局、日本政府だけが、米海兵隊を「抑止力」として賞賛し、沖縄・日本に引きとめようとしている構図なのである。
オバマ政権は、一方では議会の軍事費削減要求に直面して、グアム統合強化を少しづつしか進められず、それで今回の日米合意見直しでは、沖縄海兵隊からの移転人数を減らす、グアム以外にローテーション配置するとされた。これによって普天間基地の継続使用を居直り続けるという危険も出てきた。しかし日本側の対応しだいでは、残留予定の沖縄海兵隊は本国撤収ということもありうる。海兵隊の利権を守っている「思いやり予算」、これを日本が廃止することが必要だ。
もう一つの重要事は、二月二十日に仲井真沖縄県知事が辺野古アセス手続きにおいて、防衛局の評価書では「生活環境や自然環境の保全を図ることは不可能」と明言する知事意見書を国に提出したことである。三月二七日に出される埋め立て部分についての意見書も、同様になるだろう。
これによって、法手続き的には、普天間基地の辺野古「移設」は不可能となった。埋め立て許可をはじめ知事の権限を否定する特例法は可能であるが、オール沖縄が「県外」で一致している中、政治的に強硬策は不可能である。
知事意見書は、県アセス審査会による二月八日の知事への答申を踏襲したものである。県アセス審査会での反基地市民運動による傍聴・意見提出のたたかい、また、このかんの那覇地裁・辺野古アセス訴訟での原告市民側による違法アセスの追及、環境影響についてのぼう大な反証、これらの闘いが知事意見書の背景にある。
民衆の闘いが、知事を拘束している。これは原発を抱える各県での闘いにおいても、きわめて示唆的である。(A)


韓国・沖縄の人々と連帯し
  平和をつくろう!2・25集会

  韓国「政治決戦」に連帯

 二月二五日、3・1朝鮮独立運動93周年を迎え、東京・文京区民センターにおいて「韓国・沖縄の人びとと連帯し平和つくろう!2・25集会」が開かれた。主催は、日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)等が呼びかけの2012・3・1集会実行委員会。集会は、例年どおりの「在特会」など民族排外主義右翼の妨害をはねのけ、約180名の参加で行なわれた。
 今年のこの集会では、本年四月総選挙、十二月大統領選挙が行なわれる韓国から、「世の中を変える民衆の力」(民衆の力)共同代表で、全国女性連帯共同代表の孫美姫(ソン・ミヒ)さんがゲストとして講演を行なった。
 集会は、日韓ネット共同代表の渡辺健樹さんの主催者挨拶に続き、孫美姫さんの講演が行なわれた。講演内容は多岐にわたり、それは3・1独立運動の意義、日本軍「慰安婦」問題での闘い、朝鮮半島情勢と2012年の韓国情勢、とりわけ総選挙に対する進歩・改革陣営の対応と選挙後の構想までを網羅する大変すばらしいものであった。
 孫美姫さんは講演の中で、「慰安婦」問題で闘っている「挺身隊問題対策協議会(挺対協)」の水曜デモで、その1000回記念の国際行動において、ベルリンでの行動に参加したことを報告し、ハルモニたちの高齢化から多くの方が亡くなり、大変きびしい状況を呈しており、日本の併合支配よる犠牲者への謝罪と補償の実現に時間が無くなっていることに警鐘を鳴らした。
 また、韓米FTA反対闘争と韓米合同軍事演習反対の闘いについて、李明博政権を追いつめ、朝鮮半島の自主的平和統一実現の闘いへと結びつけていくことが語られた。
 総選挙に関しては、統合進歩党と民主統合党との選挙協力の協議が、二五日当日に決裂したことが報告された。しかしながら交渉は継続されるだろうとも語られた。総選挙後の大統領選に向けた構想も語られた。野党と運動圏が分裂しなければ、総選挙も大統領選も必ず勝利するだろう。在外同胞も選挙権の獲得が成されたので、平和統一志向の候補者に手を貸すべきだと訴えた。
 以上の講演後、「ノレの会」による韓国民衆歌謡が歌われ、その後各団体の報告が、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの吉田正司さん、戦争と女性への暴力リサーチ・アクション・センターVAWW−RAC(VAWW−NETから名称変更)共同代表の中原道子さん、高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の森本章子さんから行われ、また反原発のたたかいのアピールも原水禁の井上年弘さんより行なわれた。
 もう一人の韓国ゲストのチェ・ウナさん(韓国進歩連帯の統一局長、6・15共同宣言実践委員会事務局長)が紹介された後、「韓米合同軍事演習に反対する日韓(韓日)民衆の共同声明」が読み上げられた。この3・1集会実行委と韓国進歩連帯による「共同声明」では、現在、二月二七日から四月三十日まで強行されんとしている韓米合同軍事演習は、北東アジアの平和を破壊する軍事挑発であると正しく指摘され、韓米と日本政府に対し平和実現の要求が提示されている。
 以上の集会に示されるように、韓国の「2012年政治決戦」は、日本の運動圏にも高い関心事となっている。
 本年行なわれる韓国の総選挙と大統領選では、李明博政権の失敗と与党ハンナラ党(最近党名をセヌリ党に変更、セヌリとは新しい世の中という意味)の腐敗で、進歩・民主勢力が勝利するだろうこと、それも圧勝の可能性さえ考えられている。それに向けた進歩・民主勢力の統合再編が昨年末に行なわれた。とくに進歩勢力の統合再編による「統合進歩党」の結成は、われわれ日本の左翼勢力が規定するところの「第三極」の形成と映る。
統合進歩党に参加した諸勢力は、民主労働党をはじめ、進歩新党から分離した統合連帯、およびノ・ムヒョン派で民主党との統合を拒絶した国民参与党の三つであり、最近では韓国民主労総が参加している。ナショナルセンターが党ヘ参加と言うのは、革命政党などの党のイメージとしては考え難いが、統合進歩党を統一戦線として考えるならば否定はできないだろう。
いっぽう最大野党の民主党も、市民勢力や韓国労総との統合のうえに「民主統合党」を結成している。世論調査では、民主統合党に支持が集中しており、このことが統合進歩党との選挙協力に後ろ向きになる力となっているとおもわれる。民主統合党だけでも十分に勝てる、というわけだろう。しかし歴史の教訓は、進歩・民主陣営の分裂は、反民主・反統一の保守勢力に漁夫の利を与えることを示している。
韓国の進歩・民主勢力の勝利は、朝鮮半島の自主的平和統一にとって大きな前進となるだろう。北東アジアの不安定要因たる朝鮮半島の軍事的な対立構造を終わらせる始まりとなり、中国を含めたアジアの平和実現に大きく寄与することになるだろう。
そうすればつまり、戦後構築され続けたアメリカ帝国主義のアジアでのプレゼンスは、無意味なものと化してしまうことになる。当然、沖縄における米軍の存在そのものが、問われることとなる。その中で、民主党野田内閣の反動的裏切りも、白日の下に晒されることとなる。
日韓民衆連帯の力で、北東アジアの平和をかちとろう。韓国進歩勢力と連帯して闘おう。(KU)


東京2・11
  さようなら原発1000万人アクション集会に一万二千人
  稼働ゼロから原発ゼロへ

 二月十一日、脱原発一千万署名を推進している人々による全国一斉行動が取り組まれ、東京では代々木公園において、「さようなら原発1000万人アクション2・11」集会・パレードが行なわれ、約12000人が参加した。主催は同アクション実行委員会。
 この集会は、昨年9・19明治公園の六万人集会に次いで多人数が参加したものとなり、また3・11福島現地集会への勢いをつける行動となった。
 集会では、脱原発一千万署名の呼びかけ人としては大江健三郎さん、澤地久枝さん、落合恵子さんがアピールした。大江さんは、放射性廃棄物を生み出し続ける原発は、人間の倫理に反するもの、今、それを再稼動せんとすることはモラル・ハザードであると訴えた。
 福島からの訴えとしては、永山信義さん(福島県平和フォーラム)、東京への避難者である増子理香さん(つながろう!放射能から避難したママネット@東京)、二本松市の生産者である菅野正寿さん(NPO法人福島県有機農業ネットワーク理事長)が発言した。
 永山さんは、「福島県では避難者16万人、うち県外避難者6万2千人、小学生1万人減少という現実。ゴーストタウン発言で鉢呂元国交相が辞任させられたが、ゴーストタウンの原因を作った者たちの責任は追及されていない。政府・官僚・電力会社などの責任を徹底追及し、脱原発を世界に発信しよう! 皆さん、次は郡山でお会いしましょう!」とアピールした。農業者の菅野さんは、「落ち葉、稲ワラ、堆肥が放射能汚染され、地域循環型の有機農業が大きな打撃を受けた。しかし再生へ向け、踏み出さねばならない。安全が確認された作物から、学校給食に使ってもらいたい」と訴えた。
他の発言では、俳優の山本太郎さんが檄を飛ばし、また、中学3年生でタレントの藤波心さんが、「原発がないと経済がダメになるという人がいるが、原発があるから経済もダメになるのではないか。私たちは原発に支えられていたのではなく、何も知らない私たちが原発を支えていたのでは」と語った。彼女が『ふるさと』を歌うと、会場も唱和。涙ぐむ人も。ふるさとを破壊した原発推進派への怒りがこみ上げる。
集会後、参加者は2コースでパレードを行なった。なお集会では、中東民間メディアのアルジャジーラが世界へ中継放送し、またドイツ左翼党の環境部門のメンツナー氏らが視察している。
現在、稼動原発が54基中たった2基となり、四月中に稼動ゼロが迫りつつある。国民多数派となったと言ってよい脱原発の勢力と、大飯原発3・4号機を突破口に再稼動をねらう原発固執勢力との闘争も、いよいよ激化しつつある。
震災一周年。首都圏からも多くの団体がチャーターバスなどによって、郡山市での「3・11原発いらない!福島県民大集会」に合流する。
東京で残った者は、次の行動に取り組む。追悼と脱原発の誓いを新たに「3・11東京大行進」が、午後2時・日比谷公会堂裏集合、主催は首都圏反原発連合。
「3・11原発ゼロへ!国会囲もうヒューマンチェーン」が、午後4時・社会文化会館前集合、主催は再稼動反対!全国アクション。午後5時に国会包囲を開始する。
続いて、「3・24さようなら原発一千万署名集約集会」が、日比谷野音・午後一時半で行なわれる。署名は二月末で500万筆ほど集まっていると推定される。
その後、大江健三郎氏ら著名氏の呼びかけによって、7・16「10万人集会」が都内で予定されている。9・19を上回る超党派で、国民各界各層総結集といえる規模を実現することが必要だ。(東京W通信員)