大阪ダブル選挙
  橋下一派の没落は不可避
    確信をもって新自由主義右派との闘争強化を


 十一月二七日投票の大阪市長・府知事ダブル選挙で、「大阪維新の会」の橋下徹・松井一郎が、国政主要諸党が支持する平松・倉田らを圧倒して勝利した。市長選では橋下75・1万票、平松52・3万票で、知事選では松井200・6万票、倉田120・1万票の大差であった。市長選の投票率は前回43・6%を大きく上回る60・9%であった。
橋下一派は今絶頂にあるが、今後は、この選挙で政治・社会の閉塞情況の打破を求めた大衆の期待を裏切りながら、転落の坂をころがり落ちていくことが避けられない。我々労働者人民は、とくに大阪の仲間たちは、橋下一派との、ひろくは新自由主義右派政治との闘いに、今こそ確信と展望をもって臨むことが必要だ。
橋下一派の没落が不可避であることの理由の第一は、橋下一派の本質が、すでに破産済みの小泉政治の焼きなおしであり、なんら新鮮味もなく、大衆の長期の支持を維持できるような内容を何ら持たないからである。
 今回の選挙結果そのものの特徴は、多数派である無党派票を、橋下・松井がかっさらったということである。民主党、自民党の二大政党から大衆がますます離反し、その大衆の現状への不満は、民主・自民を批判する日本共産党や社民党などへの支持にも向わず、その多くが新自由主義的で右翼的な地域政党に吸収される。この傾向は、地域政党「減税日本」の河村一派が勝利した今年二月の名古屋市長選・愛知県知事選、大阪府市議選を含む今春の統一地方選と、このかん各地に現われていた傾向であるが、高い注目度で投票率を押し上げた今回の大阪ダブル選挙では、その傾向がつよく現われた。橋下一派は、春の府市議選での集票力を後退させなかった。
 〇九年の政権交代時の民主党に集まった支持は、民主党の数々の公約裏切りによって消滅したが、自民党への回帰も起こらず、日本では二大政党制が可能なのか疑われる両党の支持率(このかん双方とも20%前後を低迷)となっている。客観的には「第三極」勢力が台頭できる情勢なのだが、日共も社民も、また我われ革命的諸派も有効な対処ができているとは言いがたい。
 それでは、「大阪維新の会」のような地域政党が国政に進出すれば、右派的な「第三極」が形成されるのか、と言うとそうでもない。橋下は、その「大阪都」実現のための地方自治法改正において諸党の支持が得られなければ、国政選挙に進出すると表明した。右であれ左であれ「第三極」形成のためには、民・自と異なる政治路線が必要である。しかし橋下の新自由主義右派政治は、民主、自民、みんなの党がそれぞれ濃淡の違いはあれ共有している政治、「第一極」政治そのものである。橋下一派や河村一派が国政に進出すれば、この路線での政界再編成が促進される。その場合、かれらは国政での新自由主義右派の合体に吸収されるだけであって、その見かけだけの独自性などは消滅する。
 かって「自民党をぶっこわす」と叫んで「改革」の象徴であった小泉は、「格差拡大」の象徴となった。橋下も、遅かれ早かれこれと同じあり様となるだろう。
 橋下一派が没落する理由の第二は、その主張のメインの「大阪都構想」がまさに新自由主義であり、地方自治・住民自治・地域再生に敵対する以外の何物でもないからである。
 「大阪都構想」は、都道府県を廃止する道州制と形式上は逆だが、大都市中心主義の広域行政をやり、市場原理主義を徹底し、大都市間の国際競争に勝ち抜こうとする発想であり、まさに道州制そのものである。これは多国籍企業としての大資本の要求に沿ったものであり、街の一部は繁栄しても住民は切り捨てられる。「大阪都」の下に新たな「区」を設けて、などの主張は陳腐すぎる。東京の区は、都からの配分金に依存させられ、独自の区政の余地は市町村より小さい。
橋下一派は都市経営には関心があっても、基礎自治体の住民自治には関心がない。関心があったら、「教育基本条例」案などは出せないはずである。
橋下一派が行き詰まる第三の理由は、この「教育基本条例」「職員基本条例」に代表される具体的施策が矛盾を露呈し、破綻してくるということだ。
選挙戦では当初、橋下陣営は二つの条例を争点化して教員・公務員攻撃をファシスト的に煽ってくるものと思われた。が、かれらは府市一元化による大阪再生を抽象的に掲げることをメインとし、選挙公報では二つの条例に触れもしなかった。
にもかかわらず橋下は勝利後、「教育基本条例も反対論が出尽くすなかで、支持された」と強弁したが、かれらの数少ない具体的施策である「教育基本条例」などが選挙で実質的に争点化されたとは言いがたい。それが問われるのは、まさにこれからだということである。(関係記事2面)
 今回の橋下一派との闘いでは、日共が市長選では独自候補を下ろしたことも含め、反独裁・反ハシズムをかかげての統一戦線が進んだことは成果であった。左翼的・民主的な勢力は「教育基本条例」反対をメインに、共同して反独裁を訴えた。しかし、その「反独裁」の主張では、無党派の多数を引き付けるまでには到らなかったことも事実である。よく総括する必要があるだろう。
 ともあれ、左翼的・民主的な勢力の共同が出発点である。国政諸党が軒並み愛想をつかされ、その間隙を抜いて、橋下一派のようなデマゴーグ集団が登場している。こうした政治情勢を打開するためには、労働者人民の闘いに依拠した「第三極」政治勢力の形成、その推進者としての革命勢力の強化、これ以外にはないのである。
 橋下一派を、野田民主党政権、自民党もろとも粉砕しよう。


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