大結集の9・19明治公園「脱原発1000万人アクション」集会
   「さようなら原発」に6万人

 九月十九日の午後、東京・明治公園において「さようなら原発1000万人アクション」集会が開かれ、公園の内外を六万人が埋め尽くす大集会となった。主催は同アクション実行委員会で、このかん脱原発一千万署名運動とともに、9・19には五万人の参加実現を、と呼びかけてきた。
 その目標を上回る、画時代的な大結集であった。原水禁、平和フォーラム、各市民団体等の以外では、一月ほど前に日共系もこれに合流する方針を決めたので、かなりの規模になるとは予想できていた。しかし、ここまで集まるとは! いつもの団体参加ではない、個々人や小グループが数多く参加しており、原発世論の大きな変化を実感させるものであった。
 集会では、一千万署名運動の呼びかけ人九氏の内五氏(鎌田慧、大江健三郎、落合恵子、内橋克人、澤地久枝)が発言。とくに大江氏が、核惨害を二度と許さない我々の脱原発の意思を「政党の幹部、経団連の実力者に思い知らせなければならない」と述べたが、これは作家の発言としては珍しく、敵を明示した政治的に明確な発言であった。
 また、核被災地の福島県からは武藤類子さん(ハイロアクション福島原発)、海外からはフーベルト・ヴァイガーさん(環境団体FOEドイツ代表)、俳優の山本太郎さんが発言した。2022年までの原発全廃を決めたドイツのヴァイガーさんは、「脱原発はもはや、できるかできないかではなく、政治的にやるかやらないかの問題だ」と指摘した。
 発言の後、立錐の余地もない会場全体で、「再稼動させるな」、「再処理工場はいらない」などの脱原発コールを行ない、3コースに分かれて都内をデモ行進した。
この9・19明治公園は、短時間の集会の内容(それは一千万署名運動の三項目要請と同じ)というより、どれだけ集まるかが政治的に重要であったと思われる。野田民主党政権は、原発再稼動の方針を明確にしたが、それを許さない日本の労働者人民の大きなうねりが登場してきた。(東京W通信員)


全国の日雇労働者も9・19明治公園に合流
  下請け労働者を被曝させるな!

 九月十九日、明治公園で行なわれた「さようなら原発」集会(6万人結集)に、大阪・釜ヶ崎からも約五十名がバス『勝利号』で参加し、日雇労働組合全国協議会の各支部(山谷、寿、笹島)の仲間たちと共に闘い抜いた。
 3・11の福島原発事故とそれ以降の対応によって、原発の「安全神話」のウソがあばかれ、原発開発の闇の部分が明らかになるにつけ、反原発の声がいまや押しとどめようもなく大きく広がっている。3・11以降、全国で反原発のさまざまな取り組みがなされ、それが9・19の6万人結集として結実したものだ。
 今こそ、停止中の原発の再稼動を許さず、稼動中の原発もすべて停止させ、すべての原発の廃止(廃炉)へと闘いを進めることが問われている。
 原発は「最先端技術の結晶」「安全」「クリーン」「安価」といった「神話」は、完全に崩壊した。もっとも、この「神話」そのものすら、地方の過疎化に依存し、また下請労働者の被曝の上にしか成立しないものであった。
 「クリーン」なのは、近代設備の整った美しい運転管理室だけで、従事者の大半は重層的下請け構造の中で原発現場に駆り出され、とくに日雇労働者は事業者の電力会社もその人数・名前すら把握できずに、被曝労働を強制され、殺されてきた。
 また原発事故は、20kmあるいは30kmといった範囲を超え、その影響は広く拡散し、また日々拡散し続け、数百kmまでの人々の生活・人生を破壊し、生命の危険にさらしている。とりわけ子どもたちにとっては、深刻な問題で将来に大きな不安を与えている。
 これが、大きな反原発の声の根拠だ。
 釜ヶ崎労働者、そして全国の日雇労働者は、「下請け労働者を被曝させるな!」「重層的下請け制度をぶっ壊すぞ!」を合言葉に、反原発闘争に起ち上がった。
 9・19の闘いをさらに発展させ、すべての原発を止め、「脱原発」社会を実現していこう。釜ヶ崎労働者は、すべての闘う仲間とともに、この一翼を担う。(釜ヶ崎S)
 

9・19脱原発inあいち
  本気で一千万人署名

 九月十九日、「9・19さよなら原発1000万人アクションinあいち」の集会・デモが、同実行委員会の主催で名古屋市の白川公園において開催され、主催者発表で二千名が結集した。
 集会は午後一時半から、暑い太陽が照りつける中で始まった。静岡や福井など原発をかかえる県で、脱原発のたたかいを続けている仲間からのあいさつの後、福島の仲間からのたたかいの報告があった。集会には愛知県、三重県、岐阜県など東海地方の市民・労働者が結集し、プラカードやノボリ旗が色とりどりに林立していた。
 この集会に前後して、東海地方でも街頭や職場、各家庭で、「さようなら原発」一千万署名市民の会が呼びかけている全国署名運動が展開されている。福島原発の爆発等で、日本はすでに大量の放射能で汚染されてしまった。これからは、この放射能の被害を少しでも小さくしながら、それでも放射能とつきあっていかなくてはならない。
 一千万署名運動は今、本気で取り組まれている。いまこそ声をあげて、大きな力にして原発を止めなければならない。
 九月十九日の集会は、このたたかいの中間の決起集会となった。
 集会のあとで、名古屋市の目抜き通り・栄を長いデモで、多くの市民に脱原発を訴えて歩いた。デモは、中部電力の本社まで一時間かけて展開された。とめておこう浜岡、浜岡原発を廃炉にせよ、などの声が突きつけられた。
 一千万署名運動をこれからも、気を抜かずに続けていきたいと思う。(東海S通信員)


9・11経済産業省・保安院を「人間の鎖」包囲

     許すな原発再稼動

震災六ヶ月目の九月十一日、東京・霞ヶ関の経済産業省を人間の鎖で包囲し、再稼動反対・脱原発を求める行動が、約二千人の参加で行なわれた。主催は、たんぽぽ舎など市民団体による「9・11再稼動反対・脱原発!全国アクション実行委員会」。
事前に行なわれた日比谷公園での集会と東電などへのデモ行進では一千人程度であったが、「経産省包囲」開始の午後三時半には二千人近くが集まっていた。庁舎周囲900mの手つなぎ包囲は余裕をもって完成した。JOC臨界事故の時の包囲行動では手がつながらなかったことがあるが、今回は運動の盛り上がりを示している。
経済産業省は福島原発事故の最大責任官庁であり、通産省時代から原発推進の主力官庁であった。その内部にある原子力安全保安院は、身内を何もチェックしない原発推進院でしかなかった。政府は来春、保安院を経産省から切り離し環境省の外局とする方針であるが、今現在、組織は何も変わらないまま保安院も経産省も、原発再稼動へ動いている。とくに野田新政権になってからは、「定期検査後の再稼動」の方針を強く打ち出してきた。
ふざけるんじゃない!政治や行政はなにをやってるんだ! 怒りの包囲行動となった。また、上関原発建設に反対して山口県庁前でハンストをやっていた若者グループが、この日から経産省前でのハンストに突入した。
9・11には、この経産省包囲にも連動し、全国各地で脱原発行動が取り組まれた。東京・新宿で行なわれた高円寺グループ(素人の乱)などによる「原発やめろデモ」に対しては、警察は都公安条例違反、公務執行妨害で十二名の大量逮捕を強行した。全員を釈放せざるを得なかった不当弾圧であったが、権力側の9・19への牽制か、として逮捕への批判が高まった。(東京A通信員)


ふざけるな!東京電力
厚顔にも15%の電気料金値上げを画策


  高過ぎる原価設定を是正せよ

 大手報道機関によると、東京電力(東電)は来春から15%程度の電気料金の値上げを画策しているといわれる。
 原発事故で、今後も福島第一、第二の原子力発電所の停止が見込まれ、その代わりに火力発電を増やすので、燃料費が増大する、というのが値上げの理由である。
仮に15%の値上げが、経産省によって許可されると、「標準家庭」で月7千円弱の電気料金が、1千円ほど増えるといわれる。
本紙500号(六月一日)の記事がいうように、菅政権のでたらめな東電賠償支援策によって、早速、東京電力は厚かましくも電気料金の値上げを画策しているのである。
従来、電気料金は国(経産省)の全面的な認可制であった。公共料金システムは、大別して二つの方式があるが、それは「適正利潤」なるものが含まれるか否かが基準となる。たとえば、旧国鉄や高速道路事業など利益を追求しないといわれる公共企業体により供給されるサービスの対価としての公共料金の場合は、「適正利潤」は含まれない。しかし、電気、ガス、タクシー料金などの場合は、「適正利潤」が含まれる(これを総括原価方式という)。この後者の場合もまた二つに大別される。一つは、一定の株式配当率を可能とするような利益にするタクシーやバス事業の場合であり、もう一つは、電力会社がもつ資産に「適正な報酬率」なるものを乗じて「適正利潤」を算定する電気やガスなどの事業の場合である。
電気料金は、電力自由化の一環として一九九九年に改正され、従来とは異なり、値上げ時のみ経産省が原価構成を点検する認可制が残り、値下げ時は点検のない届出制になった。そして、輸入に頼る石油や液化天然ガス(LNG)の価格変動リスクに対しては、一定の範囲内では「燃料費調整制度」(一九九六年)によって、燃料費の変動を料金に反映できる仕組みになっている。
だが、電気料金を決める総括原価方式は、電力会社が電気の供給に必要な年間費用を事前に見積もり、それを回収できるようにし、それに更に「事業報酬」と呼ばれる「利潤」を上乗せしているため、絶対に電力会社が儲(もう)かる仕組みである。しかも、この「事業報酬」は、発電所や送電網などの総資産額に報酬率(東電の場合は3%)をかけて算出されるため、原発建設などで資産を膨らませば膨らませするほど、増える仕組みなのである。そこには、節約などを促がす契機は全く存在しない。そのため、高度成長期以来の「消費は美徳である」という風潮に乗って、無制限に電気を浪費させるように巨大設備で電力を生産し、企業や家庭の消費を促がしてきたのである。
このような電気料金体系について、電力会社はもちろん、経産省もまたなんら反省し改善することなく、これまで済ましてきたのである。
しかし、東電の原発事故に伴う賠償問題に関連し、東電の資産評価をする政府の「東電に関する経営・財務調査委員会」の九月六日の会合では、東電の電気料金の原価を過去10年間調べた結果、見積額が実績を常に上回り続けている項目があったことが明らかにされた。会合後の記者会見で、下河辺委員長は、「見積もったコストより実際はかかっていないものが多い。10年間分を累積すれば、(その差は)看過できないものになっている」(『朝日新聞』九月七日付け)と、指摘した。
こうしたデタラメな電気料金設定には、電力会社や経産省に責任があるのであり、この問題を解決しないかぎり、電気料金15%値上げなど全く認めることはできない。
また、燃料費の増加分は、東電資産の売却や役員報酬の引き下げなどとともに、原発事故に連帯責任をもつ銀行・保険会社・東京都・大企業など株・社債の大口保有者に責任を取らせるべきである。

  核燃サイクルを廃止し、「電力埋蔵金」を流用せよ

二〇一〇年度末現在、公益財団法人「原子力環境整備促進・資金管理センター」(原環センター)では、使用済み核燃料の再処理後の超高濃度汚染水の最終処分費用として8200億円、周辺廃棄物の最終処分費用として170億円、そして再処理費用として2兆4410億円、合計で約3兆2780億円が積み立てられている。世に言う「電力埋蔵金」である。
これらは、2000年6月に制定された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」と、2005年5月に成立した「原子力発電における使用済燃料の再処理及び官吏に関する法律」に基づいて、原子炉設置者(電力会社)が拠出したものであり、これを原環センターが管理しているものである(ほとんどが国債で運用)。
しかし、これらはもともと電力消費者が電力会社に支払う電気料金の一部である。雑誌『AERA』によると、「各家庭の積立金負担は明らかにされていないが、関係者に依れば、毎月200円前後になる」(8月22日号)といわれる。
自民党の歴代政権は、日本を「潜在的核保有国」として維持しようと、もともと無理な核燃料サイクルに固執してきた。高速増殖炉計画などは、フランスやアメリカでさえ放棄しているのにもかかわらず、日本だけは建前だけでも、と維持してきたのである。だが、日本でも関係者のほとんどが、核燃料サイクル構想の実現を信じていない。まさに、核燃料サイクルなどは、全くの無駄遣いだ!
脱原発の一環として、ただちに核燃料サイクルを廃止し、この積立金を再生可能エネルギー特別措置法の財源、原発被害者の救済や原発被災地の復旧・復興ための財源などとして流用すべきである。超高濃度汚染水などの最終処分の費用として積み立てられたものは、流用できないとしても、少なくとも使用済み燃料の再処理費用として積み立てられた分2兆4410億円は、早急な法律改正で流用できるのである。東電の厚顔な電気料金値上げには、明確に反対の声をあげよう!   (T)


脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求める全国署名
  核燃撤退など三項目を要求

 今年六月以降、原子力発電の廃止等を求める国民多数の声を政府・国会に突きつけるために、「脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求める全国署名」が行なわれている。
 これは、著名9氏(内橋克人、大江健三郎、落合恵子、鎌田慧、坂本龍一、澤地久枝、瀬戸内寂聴、辻井喬、鶴見俊輔)が呼びかけ人となり、原水禁なども参加し、「さようなら原発」一千万署名市民の会の呼びかけとして展開されているもの。
署名は、両院議長・首相宛で、その要請事項は次のとおり。
1、原子力発電所の新規計画を中止し、浜岡をはじめとした、既存の原子力発電所の計画的な廃炉を実施することを求めます。
2、もっとも危険なプルトニウムを利用する、高速増殖炉「もんじゅ」および核燃料再処理工場を運転せず、廃棄することを求めます。
3、省エネルギー・自然エネルギーを中心に据えた、エネルギー政策への転換を早急に始めることを求めます。
署名の第二次集約は十二月二十日、最終締め切りが来年二月二八日、震災一周年の三月十一日に提出が予定されている。
署名用紙の請求先は、〒101−0062 東京都千代田区神田駿河台3−2−11総評会館 原水禁気付 「さようなら原発」一千万署名市民の会。