民主労働党イ・ジョンヒ代表講演会が東京・大阪で
  韓国民衆の「統合と連帯」に学ぼう

 韓国では来年にひかえる国会議員選挙と大統領選挙に向けて、民主民衆陣営の統合・連携が進展し、昨年の統一地方選挙以降、与党に連戦連勝の勢いにある。こうして、反労働者反民衆政権の色合いを深めるイ・ミョンパク(李明博)政権は、民主民衆勢力に追いつめられている。
 なかでも、民主民衆陣営の統一という韓国民衆の悲願実現の中心に位置するのが、韓国民主労働党である。この七月には、イ・ジョンヒ(李正姫)党代表を団長とする民主労働党代表団が、日本の日韓民衆連帯を推進する政党・労働組合・民衆運動の代表者の招きに応えて、訪日を実現し、東京、大阪でのイ・ジョンヒ代表の講演会が実現され、また社民党、新社会党、全労協への代表団の表敬訪問が行なわれた。
 七月二十一日には東京・文京区民センターにおいて、「韓国政治―-進歩勢力のめざすもの 民主労働党・李正姫代表講演会」が、社民党・新社会党・全労協・日韓関係団体の各氏の呼びかけによって実行委員会の形で開催され、短期間の呼びかけにもかかわらず、主催者発表で満員の230名が参加した。(大阪では、七月二四日に関西講演会が行なわれた)。
 この講演会は、中岡基明・全労協事務局長の司会で行なわれ、主催者挨拶を渡辺健樹・日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表、呼びかけ人挨拶を栗原君子・新社会党委員長が行ない、民主労働党の紹介ビデオの上映に引き続き、イ・ジョンヒさんの講演が行なわれた。
 イ・ジョンヒさんの講演では最初に、日本が体験した原発震災・津波被害に痛みを共にし、また講演の機会を用意してくれた日本人ならびに在日同胞に感謝する言葉が投げかけられた。
 イ・ジョンヒさんの講演内容は、韓国における進歩政治勢力(韓国での歴代独裁政権に対する民主化運動から登場しながら、朝鮮半島の統一と労働者階級の団結および被抑圧各階層との協同の実現をめざす政治勢力)が歩んできた経過と教訓を主としたものであった。それを民主労働党の道、統合と連帯の道、朝鮮半島の平和問題についてという三点について述べ、一時間を超える講演であった。講演録が前もって用意されていたが、彼女はさまざまな経験談をふまえて話しをすすめ、たいへん熱のこもった講演となった。
 民主労働党は、08年の第18代大統領選挙の敗北後における進歩陣営の分裂という困難のなか、「統合と連帯の道」を選択し、10年統一地方選と11年の再補欠選挙では、野党圏連帯を全国的次元において実現し、統合と連帯が大きく前進した。また、この五月三十一日には、進歩新党と民主労働党を含む進歩陣営代表者連席会議が、新しい統合進歩政党建設に関する最終合意文に到達した。各党での合意・承認を経て、九月に姿を現す統合進歩新党は、韓国政治の一つの大きな流れを形成することによって、他の民主勢力や野党とも連帯して強力な進歩政権を実現するだろう。
 このようにイ・ジョンヒさんは、民主労働党の2000年創党以来の歴史的経緯と、今後切り開かれようとしている韓国進歩勢力の統合に向けた確信に満ちた内容の講演を行なった。また、集会参加の在日同胞に向っては、来年の総選挙で全国比例代表に在外同胞に選挙権が付与されることも報告と訴えがなされた。
 イ・ジョンヒさんの講演後、実行委員会から彼女に花束が贈呈され、この後、呼びかけ人の一人である服部良一さん(社民党衆院議員)の挨拶、ノレの会による歌が披露された。
 民主労働党は、分裂の時期を経ながらも躍進を続け、来年の総選挙、大統領選挙においては第三極的立場を鮮明にしながらも、統合と連帯を旗印とした政治をおし進めるだろう。政権交代の実現を含めた、韓国民衆運動の飛躍的前進が期待できる。
日本と韓国では現在の政権党の性格に違いがあるが、民主労働党が韓国民衆運動の確固たる中核としての未来を引き寄せつつある姿は、日本の我々に、民主党主導政権下での民衆運動の停滞を打破していくうえで、多くのヒントを与えるだろう。(東京Ku通信員)
 

  6・26三里塚・東峰現地行動
  成田30万回発着・共有地強奪阻止へ
           7・17木の根プール開きも盛況に


 六月二六日、三里塚空港に反対する連絡会は、「6・26三里塚・東峰現地行動」を行ない、約五十人が参加した。
 午前中は、「続・木の根物語プロジェクト」が取り組む木の根プール再開作業に参加。すでにプールの水抜きは完了しており、周辺の整地、プール内の清掃等が行なわれた。
なお、そのプール開きは七月十七日(午前11時)に、「まさかの復活!木の根7・17プール開き」と題して行われた。二十年ぶりの復活である。プール開きには全国から約八十人が参加し、柳川秀夫さん(反対同盟世話人)の挨拶、木の根の一坪共有者でもある加瀬勉さんのアピール、屋台、ライブ、映像上映など盛りだくさんの企画が行なわれた。木の根ペンションは加瀬さんの共有地に立っており、隣接する木の根プールは各地の共有者の土地である。一坪共有地の闘いの再出発として、プール開きは意義深い催しとなった。
 さて6・26東峰行動に話しを戻すが、その午後から東峰共同出荷場で集会が行なわれた。B滑走路南端に着陸するジェット機の轟音(90〜100デシベル)の叩きつけに抗して次々と発言が行なわれた。
 石井紀子さん(東峰地区)の発言。
 「今ごろの雨は、作物にとっては恵みの雨でありがたいのだが、福島原発の事故で躊躇するところがある。3.11以降も畑の作物は逃げられない。ずっーと作物の体がいろなものを浴びて苦しんでいるのだなと考えると辛い。福島のある農家の方で自殺した人もいたが、ほんとに他人事ではない。畑に何十年も化学物質を入れず、体にいいものを入れてきた。それが一瞬で壊されてしまった。この暴力に対して、人間として持てる力を出して抗議しなければならない。空港も腹がたつし、全部の原発を止めなければならない。自然エネルギーに変えていく生活をしていかなければならない。私たちの野菜が再び安全で健康だと言えるように闘っていく」。
 「成田空港会社は、十月からは22万回から23・5万回の発着にすると言っている。空港の中はガラガラで、世界から日本が『汚染列島』だと言われ、観光客が激減している状態なのに、なんで増やす必要があるのか。ほんとうに二重三重に腹が立つ。これは30万回発着にむけたアリバイだけでしかない。一時間に46回の発着回数というのは人間が住める環境ではない。民家があるのに平然とそう言う空港会社なんかは、潰れてしまえと思う」。
 加瀬勉さん(三里塚反対同盟大地共有委員会<U>代表)は次のように発言。
「『日本がんばれ』とキャンペーンがやられている。戦前も同じだった。善意で立ち上がっている人たちが民主党、自民党の翼賛体制に吸い込まれていく。それを阻止するための主体の建設が問われている。かつて原子力船『むつ』を反原発戦線と三里塚戦線の共同闘争で追いかけ、廃船にした。高木仁三郎らは、生涯をかけて原発神話を批判し、三里塚闘争を闘いぬいた。われわれは、過去の闘いを教訓化しながら、現在求められている新しい国際共同行動を展望して取り組んでいかなければならない」と強調した。また一坪共有地の拠点防衛、裁判の取組みと勝利判決をかちとる決意を力強く表明した。
 大森武徳さん(続・木の根の物語プロジェクト)は、「五月から木の根ペンションで生活し、三里塚物産『らっきょう工場』で働いています。三里塚で生活しながら闘っています。子どもの頃、木の根プールで遊んだことがあったが、時間がたって忘れていた。機会があって木の根ペンション、プールの存在を知った。その時のショックをバネにプール再開に取り組んでいる。七月十七日のプール開きはぜひ参加してほしい」と呼びかけた。
 集会を中断し、開拓道路にむかってデモに移った。B滑走路が真正面に見える開拓道路から、「成田空港30万回発着を中止せよ!東峰住民の追い出しをやめろ!一坪共有地・団結小屋裁判の勝利を!すべての原発を停止せよ!TPPに反対する!」のシュプレヒコールを行なった。
 デモは東峰出荷場に戻り集会を再開。
 平野靖識さん(東峰地区『らっきょう工場』)は、「らっきょうの漬け込みに入っている。福島原発事故の影響で『安全』でしょうかという問い合わせがある。過去のものにさかのぼって安全検査をしているが、多額の検査代を支出せざるをえない。いったい誰が払ってくれるのか」と糾弾。
 さらに、「東峰神社の立木が成長している。空港会社は、昨年あたりから神社の屋根を越えたから切ってくれ、と言ってきている。航空法にもとづいて空港は作らなければならない。木は育っているわけだから、使用する滑走路を短くすればいいだけだ。かつての裁判所の裁定で、木が育った場合は協議することになっている。しかし暫定滑走路の見切り供用以降、空港会社はまともな協議を行なおうとしない。不誠実な会社を追及し、空港被害の実態を明らかにしていきたい」と発言した。
 渡邊充春さん(関西・三里塚闘争に連帯する会、東峰団結小屋維持会)は、「関西連帯する会の旗開き(一月三十日)では加瀬勉さん、柳川秀夫さんを迎え、あらためて一坪共有地裁判の意義と運動の方向性を確認した。東峰の共有地裁判は、共有地を守り抜くことを前提にして取り組まれている」と報告。
また、反空港全国連絡会として渡邉さんは、新石垣空港設置許可取消訴訟で東京地裁(六月九日)が、「沖縄県の環境影響評価(アセスメント)に不備が明白にもかかわらず、地裁は国側に裁量権の逸脱や乱用は認められない」と判断した不当判決を糾弾した。
 山崎宏さん(横堀地区・労活評現闘)が、@反原発と三里塚闘争の闘いA空港会社の空港機能拡張計画B一坪共有地裁判の報告と裁判カンパの訴え――などを発言した。
 さらに東水労青年女性部、田んぼくらぶ、成田プロジェクト、安保終了通告の会、高見圭司さんが発言。最後に「団結ガンバロウ」でスクラムを確認した。(Y)


  ナデシコ雑感
      政治利用の国民栄誉賞は興醒め

 七月には、早朝眠い目をこすり、こすり、女子ワールドカップ・サッカーをついつい観てしまった。
 日本代表の初優勝には驚かされてしまった。しかし、確かに近年成長著しい日本代表は、FIFAランキング4位で、男子の20位前後とは格段の違いがあり、フロックとは言えないだろう。ただ、NHKの放映スタイルがスポーツ実況というよりも、東日本大震災の民放によるAC放送機構のコマーシャルに類似しており、気分の悪い思いもさせられた。
 その後、女子サッカー日本代表チームに、国民栄誉賞の授与が決まった。この国民栄誉賞は総理大臣顕彰で、今回で十九回目だそうだ。77年の福田赳夫内閣のときに制定され(第1回受賞は王貞治氏)、時の内閣の人気低迷打開策として受賞が決まってきたように思えてならない。
 日本女子代表の優勝が決まったその瞬間、小生は、「これで菅は、国民栄誉賞を出すな」と思いついた。そのとおりとなるシナリオが、菅政権発足時からはらまれていたと思える。政権交代の歴史的意義を後退させ、政権維持だけに全てを従属させているような菅政権にとっては、今回の優勝も、延命のための格好の素材となっただろう。
 楽しみの一つとなってきたスポーツ観戦に水を差すのが、政治利用というものだ。(K生)