すべての沖縄軍事基地撤去、すべての原発廃炉ををかちとろう
   基地も原発もいらない

 六月二十一日に日米安保協議委員会(2プラス2)が行なわれた。その共同発表では、このかんの沖縄県政の変化と県民意思が何も無かったかのように、昨年の2プラス2による「5・28」合意のとおり、普天間基地代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区および水域に建設すると繰り返している。そして、その基地は滑走路二本V字形であること、また移設完了時期としてきた2014年は延期するとしている。空母艦載機の訓練基地案として、鹿児島県馬毛島を明記し、また、日米共同開発の迎撃ミサイルSM3の第三国移転を認めるという、武器輸出解禁の重大な合意を強行している。
 すでに六月十三日には、普天間海兵部隊に新型機オスプレイが来秋から配備されることを日本政府も沖縄に通告し、宜野湾市民をはじめ全島民の怒りが高まっている。「県外」移設を公約とする仲井真県政は、いまこそ公約実現の行動を開始すべきであり、それへの全国民の支援が求められている。
 日米安保協での菅政権の二人の閣僚が、また菅首相自身が、米政府・ペンタゴンと日本の防衛・外務官僚の使いパシリにすぎないことが明白となった。現実性がない辺野古新基地建設に固執しているだけの菅首相は、この問題だけでも即刻退陣すべきである。
 さらに菅政権と民主党は、六月三十日に「2010年代半ばまでに段階的に消費税を10%に引き上げる」ことを決定した。TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題の方は大震災で結論を先送りしているが、いわゆる税・社会保障一体改革の方では、いよいよこの結論を出してきた。民主党内の抵抗で時期明記は削られたが、総選挙公約の破棄そのものである。
 またさらに、六月十八日には海江田経済産業相が、福島原発と浜岡原発を除くすべての原発についての再稼動宣言を出した。原発利権勢力が巻き返しを図ろうとしている。
 沖縄に基地をおしつけ、過疎地に原発をおしつける政治は、今こそ根本的に変えられなければならない。原発の是非は、技術問題だけではなく政治の問題である。エネルギー政策についての同志からの提起を、以下に掲載する。(編集部)
 
  住民自治・地方再生のエネルギー政策を

     再生可能エネルギー100%をめざす

 原発反対・脱原発運動に恐怖を感じた東京電力は、「電力が不足する」等のデマを流し続け、原子力発電所の維持と存続を画策している。しかし我われは、地域の合意形成を基礎とした、自然エネルギーによる電力の自給を主張する。それは、高度な住民の自治的団結をもとにした、自然エネルギーの100%自給体制である。
 祝島では、上関原発を建設させないために、自然エネルギー100%の自給を目指し、地域作りとして運動を進めている。そこでは、経済・福祉など様々な面での自立を含めた地域づくりが進められ、経済性をもった生産活動として食の生産と提供、「長島の自然を守る会」と連携したエコツーリズム事業、芸術やメディアの情報発信である「祝島アート事業」など様々な事業が計画されている。また島の特産であるひじきやびわ茶を生協などで販売したり、高齢者のケアを含めたライフ事業、緊急時の医療体制の構築等、福祉の取り組みも島起こしとして、積極的に推進されている。
 さらに1000年続く文化と伝統を活かしたプロジェクトや、幅広い支持を基礎にした寄付プログラムもスタートさせている。人々の様々な個性を生かして、地域での自立した経済・社会づくりが模索されている。
 我われは、旧来の社会の崩壊が加速し、新たな社会を創造する動きが顕在化する情勢にあって、「育児・教育・医療・看護・介護など人々の相互扶助生活を中心に据え、その周辺に地産地消型を志す建設・土木・漁業・農業・牧畜・林業・製造業・物流・電力等の諸産業をおこし、住民自治の土台となるできるだけ自立的な経済構造を創り」「地域社会間の横の相互扶助関係を発展させる」と主張する。祝島の経験は、人間の豊かさの実現を目的とする地産地消型社会の建設にとって、大切な実践であり、我われは、様々な地域の実践に学び政策を豊富化する
電力・エネルギー問題は、地産地消型社会の建設、住民自治の実現としてとらえることができる。そして、太陽光発電など、自然エネルギーによる発電は、小規模分散型であり、地産地消型社会の建設にとって欠くことのできないシステムということができる。我われは、住民の自治的団結によって、地産地消型社会を建設し、再生エネルギーによる地域社会建設をも追求する。
   
    再生可能エネルギー普及のための制度・政策

 自然エネルギー=再生可能エネルギーには、太陽光・太陽熱・風力・地熱・バイオマス・温度差等がある。その中でも太陽光・風力・バイオマスの国際的な総発電量は、2010年で原子力による総発電量を追い越している。ことに、ヨーロッパ等では風力発電が盛んで、世界的にはあと数年で原子力の3.8億キロワットをほぼ追い越すと言われている。しかし、風力発電による電磁波の発生等、実害が深刻になり、研究を深める必要性が指摘されている。
 さらに、再生エネルギーの普及にとっては、発送電分離をいかに実現するのかが最大の課題になっている。発電した電力を地域に送電し、あるいは融通し合って、地域での生産や生活を維持するためには、送電線が解放されていなければならない。しかし、現実には、電力会社が独占権を守ろうとして高い送電線使用料を設定し、実質的に分離を阻止している。東電を一時国有化する等抜本的措置を講じ、電力独占体制の解体・発送電分離の改革を、まず東電から着手すべきであろう。送電網自体が、社会的なインフラという意識で、改革に着手しなければならない。
また、再生可能エネルギーを普及させるには、自治体や国による補助金の拡大が求められる。住民の自治的団結を基礎に、地方自治体や国に働きかけ、地域振興のために予算を支出させることが必要だろう。太陽光発電等は、普及すればするほどコストを安くすることが可能であり、普及が一層拡大するに違いない。
 祝島では、発電した電気を「太陽光の固定価格制度を利用して、祝島からエネルギーを輸出できるようにする。」として電気を売った資金を地域作りに活用していこうと計画している。
 また秋田県では、1000基の風力発電機を設置し、売電によって1000億円の売り上げを見込んでいる。地域でエネルギーを自給した上で、余った電力を売り、地域に循環させて地域経済を発展させる計画である。再生可能エネルギーの普及には余剰電力の買い上げシステムと、その資金を地域に投下して、地産地消型経済を発展させることが求められている。労働者・市民に負担を負わせることがない電力の買い取りシステムが必要である。我われは、これらの課題を一つ一つ克服し、再生可能エネルギーの普及を追求する。

  脱原発へ向けた当面の電力政策
    
 我われは、地産地消型社会の建設を進め、再生可能エネルギーを活用した発電システムの普及に努める。この小規模分散型システムは、遠隔地からの送電を必要とせず、送電などのロスを省くことができ、効率的なシステムということができる。
 しかし、再生可能エネルギーの普及が、早急に実現するわけではない。原子力安全・保安院は「原子力発電なしでは日本はやっていけない。原子力の代わりは停電だ。」と発言して電力不足を宣伝している。しかし、水力・火力等既存のシステムを稼働すれば、電力は充分に間に合うことが知られている。東電が天然ガス火力の稼働率を5から、6割に抑え、原発を稼働させているに過ぎない。電力需要は、2001年にピークを迎え、それ以降も電力消費のピーク時でさえ、原発を稼働する必要がないと言われている。脱原発は可能である。政府や東電は、原発を維持し、日本の核武装化を進め、莫大な利益を上げようと画策している。我々は、見え透いたデマに惑わされず、脱原発の道を邁進する。
 まず、前述の方針に基づき原発を停止し、ここ数年、天然ガス火力や石炭をガス化して、発電する火力に転換する。ガスコンバインドサイクルは、エネルギーの約60%をエネルギーに変えることができる。また、安価で豊富な石炭をガス化して、コンバインドサイクルで利用する「クリーンコール」技術では最先端の技術を誇っている。これらの技術を活用して発電することは、今すぐにでも可能である。
 さらに、独立系発電事業者の電力利用も考えられる。東京ガス・新日鉄・JFEスチール・神戸製鋼・出光興産・コスモ石油・日立造船等大企業は、自社で発電する能力を持つ。送電線の一時国有化等によって、これらの電力を安く大量に供給する道も開ける。これらの電力の活用を図りながら、太陽光や太陽熱等、再生可能エネルギーの普及を追求し、電力システムの小型化・分散化を同時に進めていくことが求められている。都市ガスやプロパンを利用して、電気と湯を同時に生み出すエネファーム=燃料電池が実用化され普及している。また、太陽光・太陽熱のデュアルソーラーシステムも実用化されている。電力を供給するとともに、熱を冷暖房などに利用し、エネルギーを無駄にしない技術も省エネには欠かせない。エネルギーを無駄にしない、再生可能エネルギーによる電力供給に、徐々に切り替えていかなければならない。 
さらに、電力を地域で融通し合い自然条件に左右されないシステムが構築することが大切である。しかし、天候や自然条件の変化によっては、地域間で融通し合えるシステムが工夫される必要がある。
 これらの改革については新自由主義的な立場から電力規制撤廃論・再生可能エネルギー・小規模発電を利潤追求の場にしようとする傾向がある。我われは、彼らとの一時的な共闘はあり得るが、市場任せではない民主的統制の供給システムを追求する。
 これらの改革は、闘争なくして実現できない。反原発・脱原発の運動を担い、闘争を高揚させて改革を実現しよう。地域の労働者・市民と連携し、運動の力によって、一歩一歩前進させよう。ともに闘わん。(O)