5・27「くり返すな!原発震災」集会など続く
  6・11脱原発百万人アクションへ

 福島原発震災による放射能汚染が拡大し、東電・政府によるデータ改ざんも明らかになるなか、五月二七日の東京・日比谷野外音楽堂で、「福島の子どもたちを放射能から守ろう!原発も再処理もいらない!」「くり返すな!原発震災 つくろう!脱原発社会!」の集会が行なわれ、小雨降る中、約一千名が参加した。主催は、原子力資料情報室、たんぽぽ舎などによる「原発とめよう!東京ネットワーク」と、原水禁などの呼びかけによる「再処理とめたい!首都圏市民のつどい」の共催。
 集会は、主催あいさつを原子力資料情報室の伴秀幸さんが行ない、これに続きプログラムにはなかった福島みずほ社民党党首が登壇、「福島のお母さんの訴えで、これまでの基準の年20ミリシーベルトではなく1ミリシーベルト以下を目指す、そのための財政的措置を国がとる、と文科省に言わせることができた。」「政府が脱原発をめざすように、原発ゼロになるように、世の中を変えましょう」とアピールした。
 このあと、福島原発事故と福島の子どもたちの被曝問題について、国際環境NGOのFoeJapanの満田夏花さん、福島老朽原発を考える会の青木一政さん、六ヶ所再処理工場について、ふぇみん婦人民主クラブの山口泰子さん、柏崎刈羽原発については、「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」の山口幸夫さん、浜岡原発については、たんぽぽ舎の槌田春美さんから、それぞれの報告があった。
 この後、「6・11脱原発100万人アクション」については司会から、また「9・19全国集会」については原水禁の市村忠文さんから提起がなされた。
 デモは、東電本社前で抗議、銀座通りを行進した。また当日、「全国ピースサイクル」は終日、政府関係各省、東電本社に対する原発停止の申し入れを要請署を提出して行ない、それぞれ交渉の場を実現している。
 脱原発、エネルギー政策の転換を求める全国の労働者民衆の声、闘いは各地で拡大しており、東日本大震災の三ヶ月目の六月十一日には、全国各地で創意工夫した取り組みが準備されている。
 東京では、原水禁、たんぽぽ舎などの呼びかけによる芝公園での集会・デモ、その他に代々木公園、また新宿での反原発行動が準備されている。これら三系統の行動は、最終集合場所として新宿アルタ前に結集することが呼びかけられている。
 また6・11行動は、全世界に呼びかけられており、すでに数カ国の脱原発、緑グループから賛同の行動をとるとの返事が得られている。(東京K通信員)


政府は東電賠償支援策を撤回せよ
  結局、電気料金値上げで国民が賠償負担

 菅政権は五月十三日、東京電力の福島原発大事故での賠償支援策を発表した。その内容は、@東電は破綻させずに存続させ、資産売却や役員報酬・賃金カットなどによって賠償資金を捻出させる、A東電だけでは巨額の賠償ができないとして支援機構を作り、この機構に公費の注入、金融機関の融資、他の原発保有電力会社からの負担金拠出を行なう、B東電は支援機構へ長期返済を行なうが、そのために電気料金を値上げする、というものである。
 これは、東電の大口債権者や政官財「原子力ムラ」は何も負担せず、東電自身も会社存続が前提とされているため負担が小さく、結局、電気料金を支払う国民が長期にわたって賠償額を負担するというデタラメ極まりない政策である。莫大な核汚染被害を受けた国民が、みずからに弁償する、これも「がんばれ日本」ですか。政策の即時撤回と見直しを求める。
 必要な見直しの第一は、東電の株・社債の大口保有者(銀行、保険会社、大企業、東京都など)は、東電の原発「安全神話」と原発推進を支え利益を得てきた共犯者であり、賠償で連帯責任を負わせねばならない。その債権の全部あるいは一部の放棄は当然である。
 資本主義社会では、資本の債権がすべてに優先され、労働の債権(賃金など)は無視されたり後回しにされたりする。倒産処理では一部債権放棄が行なわれたりするが、この東電賠償問題では、倒産処理ではないことを口実に、東電の資本家的債権者たちは何一つ負担しようとしていない。債権放棄を認めたら、今後どこも東電に融資しなくなるという反対論は、現行経営形態の維持を前提とした誤謬である。
見直しの第二は、この東電の経営形態の変更、さらに電力供給体制の改革に踏み込むべきことだ。
東電の何兆円もの資産・内部保留を賠償に有効に回すためには、一時国有化など抜本措置が必要だ。政府は「電力の安定供給」を東電存続の口実としているが、国鉄の分割民営化で列車は止まったか。経営形態が変わっても、現場は給料がちゃんと出ていれば仕事を続ける。一方的に東電労働者の大幅賃金カット(これは下請会社の賃金カットに波及する)を決めていることこそ、電力安定供給の仕事の熱意、福島事故現場処理での士気を削ぐものだ。
経営形態変更を機に、まず東電管内から、電力独占体制の解体・発電送電分離の改革に着手すべきだ。この改革については、新自由主義的な立場からの電力規制撤廃論、再生可能エネルギー・中小規模発電をあらたな儲け口にしようという企業家の立場からの賛成が大きくなっている。電力地域独占の解体においては、かれらとの一時的共闘はありうるだろう。しかし電力は公共財の最たるものであり、市場まかせではない民主的統制の供給システムが問われることになる。
第三は、国策として原発を推進してきた国の責任はどうなるのか、である。東電が自己の負担を減らすために、国策に民間会社として協力してきたのであり国も負担せよと言っているのは認められないが、東電の賠償とは別に、国家賠償が問われているのも事実である。
第四に、民亊責任ではなく、刑事責任はどうなるのか。東電の社長が謝罪したり、賠償の仮払いが始まったりしているのは、民亊責任の原子力損害賠償法に従っているにすぎず、東電は刑事責任の「業務上過失」を認めていない。結果として放射能を出してすみません、と言っているにすぎない。刑事責任を厳しく追及し、賠償に反映させなければならない。(W)