統一地方選 ― 二大政党の否定
   強めよう住民自治・脱原発

四月十日・二四日投票の統一地方選挙が、被災地をのぞいて終了した。
民主党は、アメリカ・財界・官僚に追従する政治への転換でこのかん評判を落としていたが、さらに震災・原発対応でその能力が問われて大敗した。その政治の本家である自民党は、復調とも言われるが改選前議席を減らしている。小泉路線継承の「みんなの党」は、関東では栃木と神奈川などで大きく議席を伸ばしたが、市長選では落選したり、千葉市議選で惨敗するなど大きな勢力にはなりえていない。
地域政党「減税日本」は、愛知県議選では名古屋での勢いを削がれ、後半戦では、減税を主張するが財政政策を明確にできないなど矛盾が露出して惨敗した。「大阪維新の会」は既成政党への不満票を獲得して、大阪府議選で五七議席を獲得して過半数を占め、大阪市議選でも三三議席を得て第一党になり、また吹田市長選も制した。これら右派地域政党は、局地的に健闘、全国的にはやや善戦という結果であった。
統一地方選は、おもに震災対策を論点として戦われたが、自民党、民主党の二大政党制の実現が困難となり、多党が存立する政治情勢に入ったことを地方政治から示した。また、アメリカ一辺倒の新自由主義勢力の影響力低下も示された。今後は、多くの党が存立する情勢で、右派勢力を媒介とした大連立が模索されるにちがいない。
日本共産党は、七つの県が議席空白となる等、深刻な凋落傾向が止まっていない。
これらの情勢は、左翼を含めて、各党が方向を失って混迷し、震災復興・今後の社会展望を明確に提起できないでいることにも起因している。
また、多くの地域で原発や環境を巡って論議されたことも重要な意味をもっている。東京では、「脱原発」を主張した社民党元衆議院議員・保坂展人氏が、保守分裂にも助けられて世田谷区長選に勝利した。また、「緑にいがた」の中山氏が、新潟市議選で高位当選を果たした。さらに、「みどり未来」など「エコでフェアな未来を自治体から!共同宣言」に加わった市民派・環境派議員も、川崎・岡山・福岡等で当選した。原発立地点の鹿児島県議選、柏崎市議選、石川県志賀町議選などで、反原発・脱原発派が存在感を示している。
しかし、原発をかかえる北海道・福井・島根・佐賀の四道県知事選では、原発容認の現職が「安全対策強化」を掲げ、自然エネルギーへの転換を求める対立候補を退けて当選した。
これらは反原発・脱原発の闘いが、少しづつ高まってくる傾向を示している。
統一地方選を総括し、住民自治を基軸に、震災・原発問題での政治方向を明確にすることが必要だ。(O)