編集部だより

★放射能が漏れ続けている。原発近くの住民は、いつ戻れるか。近親者の遺体は見つけ出すことができるのか。大地はいつ再生するのか。史上まれに見る大地震と大津波の被害のみではなかった。「フクシマ ダイイチ」の被害は、これからも広がるだろう。★原発施設が津波に襲われ、非常電源も機能しなくなったことについて、東電や評論家たちは「想定外」という。しかし、それは誤魔化しである。すでに早くから反原発団体や心ある専門家たちは、地震の危険性を指摘してきた。アメリカでさえ、「全電源の喪失」を30年前から想定している。このことを日本の関係者は軽視してきたのだ。★世の中、「想定外のこと」は、日常茶飯事である。原発関係者は、こんな常識を顧みず、「人間が自然をコントロールできる」と傲慢にも思い込んでいたのではないか。★この傲慢さは、いつしかある種のデマゴギーさえも生み出している。「(二酸化炭素を出さない)クリーンな原発」という宣伝である。この宣伝文句は、いつしかカッコ抜きの「クリーンな原発」として人々の脳裏に焼き付けられる。原子炉は、二酸化炭素を出さないとしても、大小のトラブルで放射性物質をしばしば放出している。先のクリーンという宣伝文句は、この点について全く触れない。この巧妙さは、まさにデマゴギーの一種である。(竹中)