朝鮮半島の準戦時状態に終止符を!2・26集会
  共通戦略課題へ日韓連帯を

 二月二六日、3・1朝鮮独立運動92周年「朝鮮半島の準戦時状態に終止符を!2・26集会」が、「日米韓軍事同盟の強化反対」の副題のもと、東京・文京区民センターにて約160名の参加でかちとられた。主催は、日韓民衆連帯全国ネットワークなどによる3・1集会実行委員会。
 集会は、会場周辺での「在特会」など悪らつ排外主義集団による妨害行為にもかかわらず、また同施設で同時に実行委参加団体による勉強会も重なるという事態にもなっていたが、例年と変わらない参加者数であった。これは、朝鮮半島を巡る緊張激化を菅政権が米国の尻馬に乗って煽り、醸成していることへの日本民衆の批判の現れであり、いまこそ日韓の民衆連帯をという正しい対応を示したものであった。
 なお、排外主義集団は、日韓民衆連帯運動に悪罵を投げつけるだけで何もできない焦りからか、酔っぱらって他の集会に紛れ込み、つまみ出されるという体たらくをも演じている。
 集会は最初に、主催者挨拶で日韓民衆連帯ネット共同代表の渡辺健樹さんが、今集会が日韓民衆の共同の取り組みで開催される意義などについて表明した。
 講演は、韓国ゲストのイ・シウ(李時雨)さんが、「紛争の海・西海(ソヘ、黄海)を平和の海へ」という演題で行なった。イさんはフォトジャーナリストの平和運動家で、〇七年には米軍基地の地雷調査を行なったことで、国家保安法及び軍事機密保護法の違反容疑で起訴されたが、一審で無罪判決を勝ちとっている。
 イ・シウさんは講演で、おもに西海を巡る延坪島(ヨンビョンド)事件と国連軍司令部(在韓・在日米軍)の関係について、歴史的にも軍事的にも詳細な分析にもとづいて語り、緊張激化が、板門店と沖縄・日本を結ぶ米軍の違法な戦略によるものであることを立証した。
 また、そのうえで、「日本の運動が持つ理論的緻密さと、韓国の運動の実践的ダイナミックさがより密接に交わり、『ゆるやかな連帯』のレベルを乗り越えるためには、もはや共通の戦略的課題の確認が必要となっている」と述べ、国連軍司令部の矛盾を日韓が連帯して突く課題などを提起した。
 休憩を挟んで集会は、ノレの会の歌の後、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの吉田正司さんが「沖縄民衆の闘いから」、またVAWW−NETジャパン運営委員の東海林路得子さんがメッセージで「日本軍『慰安婦』問題の解決に向けて」、在日本朝鮮人人権協会事務局長の金東鶴さんが「在日朝鮮人への人権侵害との闘い」について、各報告を行なった。
 この後、「2011日韓民衆共同宣言」が発表された。宣言は、昨年の「韓国併合」100年で問われた課題を再確認し、日本政府菅首相が強制併合を合法とする立場を固持し、「慰安婦」をはじめ被害者への補償にも言及せず、北朝鮮敵視政策を改めずにいることを批判し、また、昨年の「天安」艦沈没事件や延坪島砲撃戦など朝鮮半島の緊張に対しては、二〇〇七年10・4南北首脳宣言(「西海平和協力地帯」の設置など)の履行を南北当局に要求している。また、これらに伴い日米韓の当局が軍事協力をいっそう強化している事態に対して、日韓の民衆が日米韓軍事同盟に反対し、朝鮮半島南北の和解と平和・統一、東アジアの平和構築のために連帯を強め、共同の闘いを進めていくことを宣言している。
 この宣言には、日本側は集会実行委の各団体、韓国側は、韓国進歩連帯に参加する各団体とオブザーバーの民主労総、またカトリック正義具現全国連合、祖国統一汎民族青年学生連合南側本部、釜山民衆連帯が参加している。
 集会は最後に、在日韓国民主統一連合、許すな!憲法改悪・市民連絡会、「韓国強制併合」100年共同行動日本実行委員会からアピールが行われて終了した。

  2・26朝鮮高校無償化要求集会に1500名

なお、金東鶴さんの報告にもあったが当日の午前、代々木公園では「2・26朝鮮学校への『無償化』即時適用をもとめる大集会」が開かれ約1500名が参加、卒業間近の三年生を先頭にデモ行進も行なわれた。主催は、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会。
菅政権は昨年一旦、朝鮮高校への無償化適用手続きを開始したが、延坪島事件に無理やりに関連づけて十一月に審査手続きを停止してしまい、朝鮮高校側の異議申し立てに対しても二月四日、文部科学省は「当面は再開しない」と回答した。このままでは、授業料無償化から朝鮮高校生が排除されたまま、卒業生を出すことになる。文科省は直ちに手続きを再開し、実施では遡及措置をとれ。
                               (東京Ku通信員)
 
韓国進歩連帯への弾圧
 ハン・チュンモク共同代表釈放かちとる
  野党と民衆運動の分断を狙う
    

 一月二十一日、韓国進歩連帯のハン・チュンモク(韓忠穆)共同代表が、執行猶予三年を宣告されて半年振りに釈放された。
 韓国『統一ニュース』によると、「裁判所はハン・チュンモク共同代表を含めた3名に、国家保安法上の特殊潜入・脱出、会合通信、指令授受などに対して無罪を宣告したが、『同調罪』を適用して有罪を宣告した」とされ、懲役一年六ヵ月・執行猶予三年が科せられたうえで、昨年六月に拘束されてから半年振りにソウル刑務所から釈放を勝ち取った。
 他の2名の、チョン・デヨン前執行委員長は懲役一年六ヵ月・執行猶予三年、チェ・ヨンオク自主統一副委員長には懲役十ヶ月・執行猶予二年が宣告された。
 ソウル中央地方法院は、検察側が主要な問題点としなかった「同調罪」を適用した理由として、「被告人らの行為と主張は、北朝鮮政権の主張と路線を共にし、同調することだと判断する」として有罪を宣告した。韓国民主統一運動の指導者であるハン・チュンモク氏らが、運動体への「指令、指導」を行なうことはあれ、北朝鮮から指令を受けるなどということがあるだろうか。ましてや単純な同調などありえるだろうか。
 「同調罪」の適用に関して弁護側は、ハン・チュンモク共同代表らに無罪判決を出せば、裁判所が李明博政権や右派勢力から非難をあびせられるだろうから、としている。
 また、李明博政権の圧力で6・15共同事業への参加が禁止される中、昨年、単身北朝鮮を訪問した進歩連帯常任顧問の韓相烈牧師には、懲役五年の重刑が宣告されている。
 韓国進歩連帯は、記者会見を行なって裁判所を批判した。会見文で、「韓相烈牧師の北韓訪問は個人の信仰的良心に従った決断だった。あえて問題とみなそうとするなら、それは南北交流協力法違反で罰金程度の軽い懸案にすぎない」とし、「今回の判決は、民族の平和統一遺志と、6・15首脳会談以降進められた南北民間交流を否定した反統一的蛮行だ」と主張している。
 現在、李明博政権は吸収併合とも言える対北政策も一向に支持されず、米軍との軍事演習を繰り返すなど軍事挑発で政権浮揚を図っている。李明博政権が、進歩連帯の幹部を狙い撃ちで弾圧しているのは、昨年の統一地方選挙での与党惨敗に示されたように、進歩連帯をはじめ民衆団体も加わった形で、野党共闘が実現することを恐れているからである。来年は総選挙、大統領選挙があり、「進歩勢力の大統合」の動きも始まっている。野党と民衆運動との間に楔を打ち込むために、公安勢力を動員しているのである。
 日本の労働者人民は、こうした韓国民主統一勢力への弾圧をけっして許さず、また日米韓の軍事結託をすすめる菅政権を退陣させ、朝鮮半島の自主的平和統一への支持、北東アジアの平和実現のためにいっそう奮闘しよう。(Ku)
 

日米合同軍事演習反対!
2・13あいば野集会に800名

  新「防衛大綱」の実践化阻止を

 二月十三日、陸上自衛隊あいば野演習場をかかえる滋賀県高島市において「日米合同軍事演習反対!2・13あいば野集会」が開催され、小雪の舞う冷たい天候を吹き飛ばすかのように約800名の参加をえて成功裏に闘い取られた。主催は、2011あいば野に平和を!近畿ネットワーク、およびフォーラム平和関西ブロック。
 まず、しないさせない戦争協力関西ネットの仲間が開会宣言、続いて主催のフォーラム平和の仲間が、「本日一時に基地の責任者に、共同軍事演習を即時中止するよう要請行動を行なった」と報告すると、会場からは大きな拍手と「よしっ」の掛け声がかけられ、一瞬の内に緊張感溢れる雰囲気がつくり出される。主催挨拶はさらに、今回の日米共同演習が十一回目であり、今回は「新防衛大綱」にもとづく新たな性格のものであることを明らかにし、この危険を見据えて今こそ反戦平和の運動を全国に作っていこうと訴えた。
 続いて、近畿ネットの仲間が報告し、2000年以降このあいば野に米海兵隊が登場して都市ゲリラ対応型の共同演習が毎年行なわれ、それにイラク、アフガンの実戦部隊が参加していることが明らかにされた。
 連帯あいさつでは、社民党衆院議員の服部良一氏が、沖縄辺野古の問題がはっきりしない限り国会で菅政権の予算案に賛成することはできない、と断言して大きな拍手が送られた。
 岩国から駆けつけた「愛宕山を守る会」の岡村寛さんは、愛宕山での米軍住宅建設阻止の闘いの現状を報告し、厚木からの空母艦載機および沖縄嘉手納からの空中給油機の移転と、そのための軍人軍属4000名の住宅建設が、日米安保の再編、在日米軍基地の再編・強化としっかりリンクされており、岩国、沖縄、あいば野、横須賀で連携して基地撤去の闘いを強化しようと呼びかけた。
 その後、各戦線で闘う仲間たちの決意表明を受け、最後に集会決議を満場の拍手で確認、時折小雪の舞う中、800名の堂々たるデモンストレーションをもって、今津駐屯地への大衆的抗議行動を貫徹しぬいた。
 この、あいば野での闘いの意義はもう言うまでもない。昨年来の沖縄での全島挙げての闘いが続く普天間移設・辺野古新基地建設、これに連動して工事強行で緊迫する高江ヘリパッド建設、また「本土」各地での米軍・自衛隊の再編、これら全てが新防衛大綱の実践化であり、そのための日米軍事一体化を基調とするものである。
 米国西海岸の海兵隊基地で開始されている陸上自衛隊の強襲上陸作戦訓練(離島防衛を名目とするもの)、またアフガンの市街戦を想定した米国本土演習への自衛隊の参加など、すでに国民の目の届かない米国では実戦共同訓練が行なわれている。
 それが、新「大綱」でいう「動的防衛力の強化」であり、1979年以来の防衛大綱での「専守防衛」「基盤的防衛力構想」を大きく見直し、「脅威対向型」への転換をすすめる訓練であることは明らかである。さらにPKO「5原則」や武器使用規準の見直しを含め、新大綱は、日米韓での共同作戦を念頭においての「集団的自衛権」行使へ既成事実化をすすめるものである。
 菅政権による日米安保「深化」を許さず、日米軍事再編を阻止しよう。(関西S通信員)