第41回釜ヶ崎越冬闘争の突入
  かちとろう社会的就労

 十二月十二日、「第41回釜ヶ崎越冬闘争支援連帯集会」が大阪市西成区の「釜ヶ崎ふるさとの家」で開催された。主催は、越冬闘争実行委員会。
 一昨年からの生活保護適用の緊急拡大によって、野宿・青カンの数は減ったといわれるが、釜ヶ崎での失業・アブレはいっこうに改善の兆しすらない。また京都市などでの「アルミ缶回収条例」制定のように、野宿・下層労働者の仕事を奪う攻撃すら強められている。既存の「寄せ場」のみならず、日本全国で貧困・失業・格差拡大がすすむなか、正規・非正規を問わず、すべての下層労働者の犠牲押し付けを許さない闘いが問われている。
 今集会はこうした情勢の中、釜越冬闘争を支援し、自らもけん引していく連帯の集会として、約五十名の結集でかちとられた。
 集会は、釜ヶ崎日雇労組の山中委員長が今次越冬闘争の意義を簡潔・明瞭に述べたあと、越冬実行委員会を代表して三浦氏が、今次越冬をめぐる情勢の特徴と我々の獲得していく方向について、「基調報告」(越冬闘争パンフに収録)にのっとりながら、緻密な提起を以下のように行なった。
 我々をとりまく状況の何が変わり、何が変わらなかったのか。自民党反動政権に代わり登場した民主党連立政権は、「コンクリートから人へ」「国民の生活が第一」をうたい文句に、社会保障費27兆円など暮らし・雇用への措置を掲げたが、腐朽化しつつもいぜん巨大な官僚体制の前に阻まれ、場当たり的な対応に追われている。バラマキ施策では、労働者・貧困層の苦しい立場が変わることはない。新自由主義、グローバリゼーション推進の旧体制にしがみついていては、我々の求める方向での打開はないのである。
 釜ヶ崎の労働者の要求は、この四十年、一貫している。1994年より創りだしてきた「特掃事業」の成果を守り続け、センター夜間開放、対府・市野営闘争を闘い、NPOをつくり、シェルターをたちあげてきた。これらの土台の上に今後も、「仕事をさせろ」「野宿をさせるな」「年齢制限のない仕事をつくれ」という基本要求を大いに主張していく。やりがい、生きがいをもてる仕事を「社会的就労事業」として創出させていく闘い、この闘争方向が緊要だ。
 上場企業がばく大な内部留保をため込む中、今こそ、正規・非正規をつらぬく労働者の反撃の陣形を、歴史的苦闘でつくられてきた釜越冬闘争の中でこそ打ち固めよう。
 以上の実行委の基調提起を拍手で確認し、つづいて各持ち場班、各支援団体からのアピールが行なわれた。
 今次越冬闘争は、十二月二八日の越冬突入集会より、一月七日夜半まで続けられる。このかん人民パトロール、医療パトロール、布団敷き、炊き出し、祭りイベントなどなどが各班によって運営される。
 各班の中心となる仲間たちは、「一人の路上死も出さない」、「生きて春を迎えられる」ために、各自の取り組みへの決意を表明した。支援団体もそれぞれ、各運営に参加していく。
 今次越冬闘争は、集会基調で述べられたように、「雇用創出なき社会」に対し、「社会的就労システムの創出」を求めて闘われる。社会的就労要求は、全国「寄せ場」化の中で、労働者・民衆の生活・労働権と尊厳を取り返すための闘いとなるであろう。
 釜ヶ崎と全国の下層労働者・民衆との連帯で、越冬闘争をガンバロウ!

第14回釜講座12・4講演の集い
    自立支援とは何か

 また、釜ヶ崎と市民をむすぶ市民団体「釜ヶ崎講座」は十二月四日、「第14回釜講座・講演の集い」をエルおおさかで開き、約二十五名が参加した。
 今回は、「更生施設・自立支援施設におけるホームレス支援のあゆみと課題」をテーマに、「自立支援おおよど」施設長の奥村健氏を講師とし、野宿生活者などの自立支援とは何か、という原点を学習できるものであった。また、NPO釜ヶ崎支援機構の山田理事長、釜ヶ崎日雇労組など釜現地からの発言を交えて、多様化する野宿者への支援・ケアのあり様、今後の方向が語られた。
 今後も、釜講座として、住居・医療・法律など広角的な視野で、課題を発信していく必要性を確認できるものであった。
 釜講座は「第8回講演の集い」の時点でも、「ホームレスの仕事づくり」のテーマで、当時の「大淀寮」寮長の山本憲一氏に問題提起してもらった経緯がある。更生施設大淀寮・自立支援センターおおよどは、困窮化・傷病の境遇にある釜ヶ崎労働者などをケアしてきたことには歴史的定評があり、現在も、大阪キタ地域に根ざしつつ、地域密着の施策を展開している。
 野宿者自立支援法の期限があと二年を切るなか、釜ヶ崎と「おおよど」などの、各取り組みの有機的結合が求められているだろう。
 なお釜講座は、来る第41回釜ヶ崎越冬闘争に連帯し、実行委に参加して取り組む。十二月三十日には「釜講座集中行動日」として、夕刻から三角公園の催し等に参加。一月三日・午後一時からは、恒例の「釜講座ツアー」を企画している。
(関西I通信員)
 

東峰住民追い出し・年間30万回発着を許すな!
一坪共有地裁判勝利!12・5東峰現地行動

     守りぬこう一坪共有地

 
十二月五日、「東峰住民の追い出しをやめろ!年間30万回発着を許すな!一坪共有地−団結小屋裁判勝利!12・5東峰現地行動」が三里塚空港に反対する連絡会の主催で、労働者・農民・学生など多数の結集をもって、三里塚東峰の共同出荷場(跡)で開催された。
 集会は午後一時半から、全水道東水労青年女性部の湯村さんの司会で始まり、冒頭、基調的なあいさつを東峰部落の石井紀子さんより受けた。
 石井さんは、「今年の夏の異常気象によって、作物が大きな被害をこうむっている。とくに虫の発生が多く、野菜など作物に被害を与えた」、また「空港会社も、羽田のハブ空港化に危機感をつのらせて、共有地強奪、住民追い出し攻撃をさらにエスカレートさせている。しかし今後も、飛行機の騒音にも、虫にも負けず、がんばっていきたい。野菜をうんと食べてください。共にがんばりましょう!」と述べ、支援連帯の奮起が促された。
つづいて参加団体のあいさつでは、東峰団結小屋維持会(関西)および関西三里塚闘争に連帯する会の渡辺充春さんが、「東峰団結小屋−共有地への、裁判を通した強奪攻撃に対して、審問闘争を闘っている。島村さん、小泉さんの畑地と連動させた闘いとして取り組んでいる」ことを報告。またさらに関西での闘いについては、「共有地の闘いを、具体的な生前贈与を含めた闘いとして大きな広がりをめざしている。」「一月には、加瀬勉さんを関西に呼んで大きな集会を予定している」と力強く述べた。
また同じ関西から参加の、日雇全協釜ヶ崎日雇労働組合の代表も発言し、「昨日、『在特会』との大衆闘争を闘いぬいて、今日三里塚へ結集した。朝鮮人学校への暴力的攻撃、在日の商店へのいやがらせ等を許さず、その排外主義を粉砕して闘ってきた。」「釜日労、反失業連絡会は、このかん十数年に渡って、『屋根と仕事』を要求して徹底的に闘いぬくと同時に、全国の反空港闘争や反基地闘争、そして農民の闘争と連帯してきた。TPPを何としても阻止しよう。」「今や二十一世紀の新しい闘いのうねりが高まっている。我々は今後とも、三里塚闘争にこれまでどおり強く連帯して闘うことを誓います」と、力強い労農連帯のあいさつを行なった。
最後に、連絡会の山崎宏さんより、共有地−団結小屋の裁判闘争の若干の報告を受けて前半集会を締め、デモンストレーションに出発した。
横断幕と組合旗を先頭に、高らかにシュプレヒコールを唱和しながら、東峰十字路から開拓道路のコースを行進し、再び出荷場へ戻る。
後半集会では、大地共有委員会事務局として山崎さんが報告、「空港会社は羽田への焦りから、なりふりかまわず、明確な計画もなく、滑走路延伸、発着回数30万回化、騒音の24時間鳴りっぱなし攻撃を行なっている」ことを糾弾し、また、「かって反対同盟青年行動隊だった相川、石井君らの空港側へ立った策動」についても指弾した。
連帯あいさつでは、支援二世の大森君が、木の根ペンションのプールの再建について報告した。つづいて、「しいたけの会」(東水労青年女性部が中心)、成田プロジェクト、「たんぼクラブ」(横堀団結小屋が中心)、安保終了通告の会などから発言を受けた。
最後に、高見圭司さんから、「開拓道路は農民の共有地である。このように団結して共同性をもって闘おう」と発言を受け、団結ガンバローで現地行動を終了した。

また12・5東峰現地行動に先立って、十月三十一日には、裁判闘争勝利・住民追い出し阻止へ向けて「10・31現地調査」が行なわれ、一坪共有者などが各一坪共有地の現況を調査した。調査活動は、三里塚芝山連合空港反対同盟大地共有委員会、三里塚空港に反対する連絡会、加瀬勉さん(大地共有委員会代表)、清井礼二弁護士(一坪共有地裁判代理人)らとともに行なわれた。
参加者は、木の根ペンションに集まって打ち合わせを行ない、加瀬さん、山崎さんのあいさつの後、清井弁護士が報告、「裁判では、1966年の空港位置決定にまでさかのぼって点検し、とりわけ成田空港会社によるB滑走路供用の強行が、明確に円卓会議の確認を破っていることを明らかにしている。」「一坪共有地の地権者は、反対同盟である。大地共有委員会が1983年に発した一坪共有運動取り組み要請などの文書を、反撃の証拠として闘う」と強調した。
調査の行動では、参加者は横堀大鉄塔へ登り、上から空港全体、旧現闘本部(くぼ地)等を俯瞰した。つづいて第二ポイントの東峰団結小屋へ移動し、維持会の渡辺さんから、小屋が立つ共有地は島村さんや小泉さんの畑地と連動している等の説明を受けた。それから、柳川秀夫さん宅(香山新田)を訪問して闘いの交流を行ない、再度木の根ペンションに戻って、大森君からプール再建の提起を受け、全体集約を行なった。
空港会社は、一坪共有地の強奪をねらう訴訟、30万回発着と早朝・深夜の飛行時間延長による東峰住民追い出しに加え、周辺住民をなかば強迫的に動員して四者協を開かせ、何一つ解決策を示さぬまま攻撃している。この成田空港会社の実態に改めて怒りが込み上がるとともに、闘いの決意をあらたにしたのである。(東京Y通信員)